知識武装
私は資金調達コンサルタントなので、顧客の社長が銀行を訪問する際、同行し、借入の相談、返済減額の相談など、社長と一緒に銀行と交渉することがよくあります。
昨年まで私は銀行員でしたので、銀行側の立場でしたが、コンサルタントを行うようになってからは、まったく逆の立場です。銀行と交渉する立場です。
そこでよく感じることがあるのですが、それは、
「銀行は、銀行が得をするようなことばかりを、真相を社長にわからないように話している」
ということです。
私は元銀行員なので、銀行員が話している意図がよく分かります。
銀行の思うようにやられないように、交渉で気をつけているのですが、私のようなコンサルタントがついていなければ、よほど百戦錬磨の社長でないかぎり、銀行員が話すことをうのみにしてしまうでしょう。
例えば、銀行員がよくいう言葉に
「社長の定期預金通帳を預らせてください」
というものがあります。
これは、定期預金を担保にする、という意図が銀行側にあります。
それを、いかにも担保とは違う、と言いたげに、「預らせてほしい」と言うのです。
しかし、人がいい社長が、
「通帳を保管しておくのも面倒くさいし、通帳をあずかっておいてもらおう」
と、安易に銀行に定期預金通帳を渡すと、その後は、融資を全額返済しないかぎり、その通帳が社長の手元に返ってくることはありません。
銀行が社長、もしくは会社の定期預金通帳を預る、これは「預金担保」と言って、もし会社が倒産した場合、担保にとった定期預金を、銀行は返済に充当します。銀行としては、貸倒れの危険が少なくなります。銀行が得をするだけで、会社にとってはなんのメリットもありません。
社長・会社の定期預金は、会社の資金繰りが厳しくなってきたときの備えとしておくのが適切です。それを担保にとられてしまったら、資金繰りが厳しいときに困ります。
以上、一例を挙げて説明しましたが、このように、銀行員が言うことは、
「銀行だけが得をすること」
これだけです。言葉巧みに、あなたの会社にもメリットがある、というようなことを銀行員は言いますが、そのようなことはほとんどウソです。銀行員の言葉にだまされないでください。
このことは、以前銀行員だった私が言うことですから間違いありません。
銀行員の言葉にだまされないためには、何よりもあなたが「知識武装」する必要があります。