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「これが最後の融資ですよ」は何を意味するか

「最後の融資」の言葉へ至る経緯

銀行から融資を受ける際、「これが最後の融資ですよ。」と言われたとします。

 

言われた企業側としては、この言葉は何を意味するのか、不安になってしまいますね。言葉どおり受け止めるのであれば、もう次の融資が出ることがない、ということになります。

 

しかし、本当にそうなのでしょうか。私が銀行員時代、この言葉を融資先企業の方に伝えたことは、何回かあります。その時の経緯は、だいたい次のようなものです。

 

企業から融資の申込みを受けた。銀行内で、融資審査が行われた。しかし、審査はスムーズに通らず、銀行内で融資を出すか出さないかについて議論が何回も交わされた。

 

ただなんとか今回の融資は出したいと、審査通過に有利な材料を得るために、企業からも追加の資料の提出を受けるなどして、あらためて審査が行われた。

 

そのような努力の甲斐もあって、やっと今回の融資審査は通った。

 

ただ、今回の審査は難航したため、企業側に、次の融資は簡単に出るとは思ってもらいたくないと銀行は考えた。

 

銀行の担当者は、その企業に「これが最後の融資ですよ。」と伝えた。

 

「これが最後の融資ですよ。」と銀行から言われたことがある方は、だいたいこのような流れがあったのではないでしょうか。

「最後の融資」と言われた場合の銀行のスタンス

ここから考えると、「これが最後の融資ですよ。」と言われた場合、銀行はその会社に対し、融資審査は厳しく行う、というスタンスであることになります。

 

しかし、本当にこれが最後の融資となってしまい次に融資を申込んでも絶対に通らないかというと、そうではありません。

 

なぜなら、次に融資を申込んでも通らないということであれば、そもそも今回の融資自体を出していないはずだからです。

 

今回は融資が出たということは、その会社に対しての銀行の「取引方針」は、下記の区分が銀行にあるのだとしたら、

A.

積極推進方針

B.

推進方針

C.

現状維持方針

D.

消極方針

E.

取引解消方針

「C.現状維持方針」となっている可能性が高いと思われます。ちなみに「C.現状維持方針」の企業に対しての銀行のスタンスは、その企業に対しての融資量を維持する程度にとどめる、という方針です。

 

しかし、今後の企業の状況によっては「D.消極方針」、つまり新たな融資は困難になる方針、に転落してしまう可能性もある、という背景があって、「これが最後の融資ですよ。」という言葉になって現れるのです。

 

具体例で言うと、次のようなイメージです。

 

A銀行で、現在受けている融資は80百万円である。今回は20百万円の融資を受けてA銀行での融資残高は100百万円になったが、A銀行からは「これが最後の融資ですよ。」と言われた。ちなみにA銀行には、今回の融資後、全部の融資を合わせて1ヶ月2百万円ずつ返済することになる。

 

この場合、1年後にはA銀行での融資残高は76百万円になります。この会社は利益がそんなに出ていなく、返済は手元にある預金から行っている形(利益によるキャッシュフローで返済できていない)になってしまっているので、このままでは資金不足に陥ってしまいます。

 

このような状況において、この会社は、1年前にA銀行から言われた「これが最後の融資ですよ。」の言葉どおり、A銀行から融資を受けることはできないのでしょうか。

「最後の融資」という言葉の行く末

答えは、その時の、企業の業況によります。

 

つまり、この会社が、前期に比べて売上は落ちず、しっかり利益を黒字にしていて、かつの総借入金額(全ての銀行での借入金額を合計したもの)が増加していないのであれば、前回に出た時に付けたA銀行における融資残高100百万円、つまり現在の融資残高は76百万円なので、今回は24百万円ぐらいまでの融資は出る可能性が高くなります。

 

しかし、この会社が前期に比べて売上が落ちたり、赤字に転落してしまっていたり、またこの1年で総借入金額が増加していたりしていれば、1年前に「これが最後の融資ですよ。」と言われたとおり、A銀行から融資を受けることが困難となります。

 

「これが最後の融資ですよ。」と言われた後の行く末は、こんな感じになります。

 

ということは、「これが最後の融資ですよ。」という言葉を言われたのであれば、その次の決算がどうであるかが、いつにもまして重要となります。

 

だから、次の決算が出たら、その銀行に早く提出して融資を申込みしてみて、その銀行のスタンスをすぐにはかるべきです。そして融資が出ないとしたら、すぐにでもリスケジュール、つまり現在の融資返済の減額交渉を行っていく必要があります。

 

そうしないと、融資が受けられないのに銀行への返済ばかりが進んで、早晩資金がショートしてしまうことになります。「これが最後の融資ですよ。」と言われたら、企業としてはその後の銀行対策、そして資金繰り対策により慎重であらねばなりません。

 

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