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営業マンが売ってこない会社が変わる4つの仕組み|行動管理から給与設計まで

営業マンが売上を上げてくることが主体の会社において、売上が低迷している会社は、必ずと言っていいほど、営業マンのほとんどが売上を上げてくることができない状態になってしまっています。

 

では、なぜ営業マンは売ってこないのか。「不況だから」「うちの営業マンが優秀でないから」と考える経営者は多いですが、本当の原因はそこではありません。

 

本記事では、営業マンが売れない会社に共通する問題を整理し、①売れない根本原因の理解 ②社長の行動改革 ③営業活動の仕組みと管理 ④給与設計による動機づけという4つの仕組みを解説します。

 

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なぜ営業マンは売ってこないのか?売れない会社に共通する根本原因

売れない営業マンの、一番大きな特徴は、「自分が売りたいものを売る」というところにあります。

 

お客さんが必要なもの、ほしいものを売るのが、本来の営業マンの役割であるはずなのに、なぜか多くの営業マンは、ここを間違っております。驚くことに、多くの営業マンは、お客さんがどんな要望を言っているのか、メモもとろうとさえしません。ましてやその営業マンの会社内で、顧客ごとの営業記録体制も整備されてさえいません。

 

例えば、オフィス機器の営業マンが「コピー機いりませんか」と言ってきたところで、十分にあれば、いらないものはいらないのです。一方で、オフィス内で社員どうしのコミュニケーションがうまくとれていないとか、そのような悩みがあるのであればその悩みを聞き出せるのが、優秀な営業マンです。その悩みを引き出し、それを解決する方法を提案し、結果、それに必要なオフィス機器を販売できる。そして信頼が高まるため今後もその営業マンに相談できるようになる。それができる人が売れる営業マンです。

 

このお客さんは、何に困っているのか、何を必要としているのか。それを聞き出すことができれば、そのお客さんに売るものは決まってくるはずです。それを売れば、自然とその営業マンの売上は上がるようになるのです。

 

そのために、お客さんから悩みや要望を聞き出すとともに、聞いておいたことを必ず記録して後で見返せるようにしておくことが必要です。時々メモもとらないような営業マンがいますが、それでその営業マンの姿勢が分かってしまいます。

社長が営業できない会社はどうすれば変われるか?

売上が低迷している会社の営業マンが行動できない背景には、多くの場合、社長自身が営業を行っていない、もしくは行い方を知らないという問題があります。社長が営業ができない会社には、次の2つのパターンがあります。

 

パターン 具体例
パターン①
後継社長で営業経験がない
製造業で仕事のほとんどは3社からもらっている体制がここ20年続いている。後を継いで15年たつが新規得意先はなく、その3社からの受注も落ちてきている
パターン②
創業社長だが得意先依存で営業経験がない
創業時に前職での得意先を多く引き継ぎ売上があったが、その得意先への売上が年々少なくなってきている

 

社長が営業を行わない会社のほとんどは、社内にも営業を行う人がいないという特徴が見られます。このような状況で誰が営業をやるべきか。考え方として次の3通りがあります。

 

  1. 社長自ら営業をはじめる
  2. 社内で営業を行えそうな人を見つけ、営業を行わせる
  3. 外から、営業ができそうな人を採用する

 

うまくいきやすい順番に並べると、1>2>3となります。外から営業マンを採用しても、自社の営業のやり方が全く確立されていないのに、やりようがないでしょう。そもそもそれができる人であれば、自分で会社を立ち上げることでしょう。

 

社長が営業をやったことがなければ、社長は営業のやり方が分からないかもしれません。しかし、営業のやり方は「習う」というよりも「開発する」という考え方をもった方がよいです。営業に関する本で基礎をつけながら、多くの実践を行って試行錯誤していくことによって、自社の営業のやり方は開発されていくものです。

 

私が見てきた会社の中で、社長が営業ができない、社長が売上の上げ方を知らないのに、売上が向上している会社を見たことがありません。まずは社長自らが1歩、踏み込んでください。

営業社員が動かないとき、まず何から始めればいいか?

われわれが、営業マンが売上を作っていくことが主体の会社において、売上が上がる仕組みの構築に入る時、いつも問題となるのが、営業マンの抵抗です。

 

売上が低迷してしまっている企業は、次のような「売上が向上していっている企業には存在している仕組み」のほとんどがない状態です。

 

  • 新規見込客・既存取引先ごとの商談記録
  • 電話アポイントの手順表(こう言われたらこう話す、というもの)
  • アポイント率を高めるための事前郵送物
  • 営業訪問の際の話し方・ツール
  • 新規見込客発掘のためのホームページ・ダイレクトメール
  • 飛び込み電話営業のための新規アプローチ先のリスト

 

これらはあくまで道具でしかなく、実際に重要なのは、それを活用する営業マンの「行動」です。売上が低迷している企業のほとんどでは、その「行動」ができていない状態にあります。

 

例えば、営業社員5人の会社であれば、まずは1,000件の新規訪問リストを作ることから始めます。「新規訪問リストを作れ」と命令しても作り方が分からないでしょうから、名簿会社などから法人のリストを入手して、経営者の方で作ってしまうのです。そして1日20件、5名の営業社員ですから1日100件まわらせれば、10日で1,000件全て回ることができます。

 

その結果をABCDEランクに分け、今後のフォロー方針を決めていきます。

 

ランク 状況 フォロー方針
Aランク 商談の席についた見込み客 商談を進める
Bランク 応接に入れたがタイミングが合わなかった 1ヶ月に1回訪問
Cランク 名刺交換だけできた 3ヶ月に1回訪問
Dランク 名刺交換もせず断られた 6ヶ月に1回訪問
Eランク 担当者が留守だった 翌日訪問

 

また、営業社員には「仕事をとってこい」と言うのではなく、「名刺を配ってこい」と言います。そうすると営業社員は名刺を配るだけでよくなるので、プレッシャーがほとんどなくなって動きがスムーズになってきます。

なぜ営業マンは新しい取り組みに抵抗するのか?抵抗をなくす3つのポイント

このような仕組みを導入しようとすると、営業マンだけでなく、営業部長や社長までもが「うちはそんなことやったことがないからできない」と抵抗を示すことが多いです。

 

「いや、今までうちは電話でアポイントをとったこともないから、そんなこと、できませんよ。」「うちは営業日誌を書いたことがない会社なので、商談記録を書いていくのは、やれと言ってもうちの社員はやらないと思いますよ。」このような言い訳を言って、社長や営業部長から大きな抵抗を受けるのです。

 

抵抗をなくし、営業マンが「売上を作っていく行動」をとれるようにしていくためには、次の3つのポイントがあります。

 

ポイント 内容
① まず上が抵抗をやめる 社長や営業部長が「考え方」と「行動」を先に変える。上が変わらないのに部下が変わるわけがない
② 行動を「管理」する 「成果」ではなく「行動」を求める。電話アポなら「アポが取れた件数」ではなく「20件に電話をかけた」という行動量を管理する
③ 見本を見せる 下手でもかまわない。営業マンの「恐怖心」を少なくするために社長や営業部長が実際にやってみせる

 

売上を上げていくことができる営業マンになるためには、「能力」よりも「習慣」が重要です。その「習慣」をつけることを営業マン個人にまかせるのではなく、会社全体として習慣づけをしていく。それは、個人まかせの営業ではなく、組織としての営業ができていくことにもつながります。

営業マンのやる気を引き出す給与設計はどうすればよいか?

私がご相談を受けている中で、営業マンが売上を上げてくることが主体の会社において、売上が低迷している会社は、必ずと言っていいほど、営業マンが売上を上げても上げなくても、ほとんど給料が変わらないという状態になっています。

 

やればやるほど、報われる会社。その報われるの意味は、報酬であったり、評価であったり、地位であったりしますが、そのような報われる会社にすることが、営業マンの動機づけで一番重要です。

営業マンの歩合給はどう計算すればよいか?

営業マンの給料は、粗利益に応じて歩合計算をするように決めるとよいです。歩合の計算の根拠は、売上ではなく粗利益にするべきです。

 

なぜなら、売上が歩合の根拠であると、大きく値下げをしてほとんど粗利益がなくなってしまっても、歩合計算がなされてしまうことになるからです。営業マンが粗利益を意識して売上を上げてくるようにするために、粗利益を歩合の計算の根拠とします。

 

また、社員であれば保証給を設定します。そして一方で歩合を計算し、保証給を上回ったら歩合給として支払うようにするとよいでしょう。

 

例をあげます。

 

設定例:粗利益の20%を歩合計算、保証給18万円
売上400万円・粗利益140万円の月 歩合計算28万円 → 給料は28万円
売上100万円・粗利益40万円の月 歩合計算8万円 → 保証給の方が上回るため給料は18万円

歩合給を導入するとどんな問題が起きるか?その解決方法は?

このような給料にすると、次の問題が発生します。それぞれの解決方法とあわせて解説します。

 

(1)ある月に売上・利益を集中させれば、歩合計算が有利になる

 

保証給があるばっかりに、売上を翌月にまわすという意識が働いてしまいます。解決策としては次の方法があります。

 

  • 前月の歩合計算が保証給を下回る部分は、その後数カ月持ち越しとするルールにする(例:1月の歩合計算が保証給を12万円下回った場合、2月の歩合計算からその12万円を差し引く)
  • 数ヶ月の単位で歩合計算をし、それを次の数ヶ月の給料根拠とする(例:1月〜6月の売上で計算された歩合を、7月〜12月の給料に反映させる)

 

(2)営業マン全てが、自分の売上を上げるための仕事しかしなくなる

 

保証給があるから、「固定給として18万円が確保されているため、自分の売上を上げる行動以外の仕事もしなさい」と言えるようになります。また、会社全体での仕事量のバランスを考え、保証給の水準で調整します。

 

(3)会社全体で集めた見込み客からの売上と、営業マンが独自に集めた見込み客からの売上がある

 

会社全体として集めた見込み客(ホームページからの問合せなど)の場合、営業マン独自で集めた見込み客からの売上に比べ、歩合の率を低くします。どこから集めた客なのかを把握できる体制を作っておくことが重要です。

 

(4)複数人数で上げる売上はどう考えるか

 

見込み商談となった場合、その商談を持ってきた営業マンが一人では成約に結び付けられない場合、その営業マンにその商談を成約させるためのチームを作らせ、歩合の取り分(例えば7:3など)をあらかじめ決めさせます。

 

(5)営業部長や社長の同行により決まる売上はどう考えるか

 

社長が同行して売上が決まったからといって、その営業マンの歩合率を下げるようなことはしないでください。そんなことを行うと、その営業マンのモチベーションは下がってしまいます。営業部長や社長は、その役割から多くの給料をもらっています。それには部下のマネジメントの分も入っています。

 

(6)売上計上しても貸倒れとなった場合はどうするか

 

売上計上ベースではなく、入金ベースで歩合計算は行うべきです。そうしないと、営業マンは売掛金回収まで意識が働かなくなり、多くの貸倒れを発生させてしまうことになります。

歩合給は賞与と月給、どちらで反映させるべきか?

この給料制度には、もう一つのねらいがあります。売上を上げてこない営業マンは退職に向かわざるをえないようにする、ということです。毎月の給料に反映させることで、売上を上げなければ生活ができない水準になり、自ずと行動が変わります。賞与への反映では、この効果は生まれません。

 

売上を一向に上げてこない営業マンがいつまでも居座ってしまう会社は、赤字社員を抱えてしまうことになり、業績が悪化してしまいます。また、そのような営業マンは、まわりの士気も下げてしまう悪影響もあります。

 

給料制度は、仕事ができる社員を照準にするべきであって、仕事ができない社員に気を使った制度にするべきではありません。

 

また、歩合制度にすると、人件費が変動費化するという効果もあります。人件費が固定費化してしまうと、売上が落ち込んだ時に大きく赤字になりますが、歩合にすることで売上低迷時のリスクを抑えられます。

 

なお、給料制度の変更は労働法律ともからんできますので、必ず社会保険労務士の助言をもらいながら行うようにしてください。

 

実はエクステンドは、給料総額の8割は歩合で決まった部分の給料である会社です。そのため、歩合の設定の仕方のノウハウは多くあります。今回の記事で述べたことは、そのノウハウに基づいています。

営業が機能する会社にするために、まず何から手をつけるべきか?

営業マンが売ってこない問題は、営業マン個人の能力の問題ではありません。仕組みがないことと、経営者が先に動いていないことが、根本原因です。

 

仕組み やること
① 原因を正しく理解する 「自分が売りたいものを売る」から「顧客の悩みを聞く」姿勢に転換する
② 社長が先に動く 社長自らが営業を「開発」し、先頭に立って行動する
③ 行動を仕組み化・管理する リスト作成・ABCDEランク管理・「名刺配り」からスタート。成果ではなく行動量を求める
④ 給与設計で動機づける 粗利益ベースの歩合給+保証給で、売れる営業マンが報われる構造をつくる

 

この給料制度の設計一つで、将来の売上は大きく変わっていきます。あなたの会社の売上を向上させるために、まずどの仕組みから着手するか、考えてみてください。

よくある質問

Q. 歩合給と固定給、中小企業にはどちらが向いていますか?

A. 営業マンが売上を上げることが主体の会社であれば、歩合給(保証給+歩合)の制度が向いています。固定給のみの場合、売上を上げても上げなくても給料が変わらないため、営業マンの動機づけが難しくなります。ただし業務の性質上、営業以外の仕事の割合が多い場合は保証給を高く設定するなど、自社の実態に合わせた設計が必要です。

Q. 歩合給を導入する際、最低賃金を下回らないようにするにはどうすればよいですか?

A. 保証給を都道府県の最低賃金を下回らない水準に設定することが必要です。給料制度の変更は労働基準法・最低賃金法にかかわるため、必ず社会保険労務士に相談しながら設計・変更を行ってください。一方的な不利益変更は労使トラブルの原因になります。

Q. 現場が忙しくて売上向上のための時間がとれない場合は、どうすればよいですか?

A. まず、自分がやった仕事を5分単位で記録することから始めてみてください。「22:15〜23:20 顧客リスト整理」というように記録し、1か月データがたまったら集計します。そうすると、いかに効率の悪い時間の使い方をしているかが分かります。無駄な仕事時間を省き、同じ業務をより短い時間で効率的にこなす工夫をしていきます。それでも時間がない場合は、夜の時間を活用することをおすすめします。例えばいつも21時に仕事が終わる方なら、帰宅後の22時〜25時を売上向上活動にあてることができます。ホームページの内容を考えたり、DMの内容を考えたり、顧客名簿を整備したりする時間に使うのです。時間がないのではなく、時間の使い方に問題があることがほとんどです。

Q. 営業マンが抵抗をやめない場合、どうすればよいですか?

A. 抵抗が続く場合、まず社長や営業部長が率先して「見本を見せる」ことが有効です。下手でもかまいません。社長自らが電話アポイントをかけ、商談記録をつける姿を見せることで、「できない」という言い訳がしにくくなります。それでも行動できない営業マンに対しては、社長や営業部長が同席する形で実際にやらせてみることが次のステップです。

Q. 商談記録(営業日報)はどんなツールで管理すればよいですか?

A. まずは紙の日報やExcelからでもかまいません。習慣づけることが最初の目標です。慣れてきたら、SFAツール(営業支援システム)やCRMツールの導入を検討すると、顧客ごとの時系列履歴管理や情報共有がしやすくなります。重要なのはツールより「毎日書く習慣」を会社全体で定着させることです。

Q. 「営業日報は報告のための報告で意味がない」という意見がありますが、本当ですか?

A. これは売上が低迷している会社でよく聞く典型的な言い訳です。「報告のための報告になるから書かせていない」という企業ほど、なぜか売上低迷のご相談にみえる。営業日報を書いていないことが、売上低迷の大きな要因の一つだからです。営業日報には次の4つの重要な役割があります。①顧客へのお役立ち度を会社として把握する(顧客に対しての責任)、②上長と部下のコミュニケーションにより営業マンの質が向上する、③トップ営業マンの行動・提案内容を全員が学べる、④顧客ごとの時系列記録として蓄積され、今後の営業戦略を考える資産になる——です。ツールについては、まず紙の日報からでもかまいません。エクステンドも紙の日報からスタートし、後にシステムに移行しました。重要なのはツールより「書く習慣を全員で定着させる」ことです。慣れてきたらSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)への移行を検討すると、顧客ごとの履歴管理・情報共有が飛躍的にしやすくなります。

 

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