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待ちの営業から脱却する方法|社長依存を卒業して組織営業に切り替える2つの仕組み

「以前は黙っていても受注があった」「何十年も同じ得意先から仕事をもらってきた」しかしある日、その受注が突然止まる。このような経験をしている、もしくはその予兆を感じている経営者は少なくありません。

 

この記事では、「待ちの営業」が生み出す会社の脆弱性と、社長・創業者依存の営業体制から脱却して組織営業に切り替えるための2つの仕組みを解説します。

「待ちの営業」とはどのような状態か?その末路はどうなるのか?

営業を行わなくても受注できた会社は数多くあります。次の2つはその典型例です。

 

業種 状況 末路
建設業 公共工事を中心に多くの受注があったため、営業マンといっても受注案件を進行させる業務ばかりだった 公共工事が年々減少し売上が激減。人員削減・経費削減で対応してきたが限界に
製造業 大手メーカー数社への依存度が高く、特定メーカーからの受注対応が営業マンの主業務だった 大手メーカーからの下請け切りにあい、売上が一気に大幅減少して赤字転落

 

このように、待ちの営業が中心の会社は、今まで受注してきた得意先からの受注が減少したとたん、何もなすすべがなく売上が減少していくことになります。なぜなら、その間「真の営業力」を全く育ててこなかったからです。

 

真の営業力とは次の3つです。

 

  • 何もないところから新規見込み客を開拓する
  • 新規見込み客に取引してもらい、顧客化する
  • 既存客に何回も何回も取引してもらうようにする

 

黙っていても受注がまいこんでくる会社は、その間どうしても危機感が薄くなります。営業マンの日々の業務は受注案件の進行に追われ、「真の営業の仕事」ができなくなる。そうして営業力はじわじわと弱体化していきますが、待ちの営業で受注できている間はその弱体化に気付きません。受注が減少し始めてから、やっと気付くことになります。

創業社長の会社の売上があるとき止まるのはなぜか?

創業社長で、年々売上を大きくしてきた経営者の場合、また異なるパターンで「待ちの営業」の罠に陥ります。次のような状況に当てはまることはないでしょうか。

 

パターン 具体例
① 社長が売上を支えている 住宅販売会社で売上の7割は社長自らが獲得してくる
② 社長が現場を動かしている 5店舗ある飲食店で社長自らが頻繁に各店を動き回り、逐一指示している
③ 社長の人脈が売上源 太陽光発電販売の会社で売上の半分以上を社長自らが獲得してくる

 

創業社長が売上を作ってきたのは事実であり、それは評価されるべきことです。しかしある程度の規模になると、社長一人の力では限界点に達します。そこで営業マンを採用しても、社長の期待に沿えない結果になるケースがほとんどです。

 

その原因は、自分と同じ水準の仕事の出来を、社員にも求めてしまうことにあります。優秀な創業社長は必ずやっていることがあります——見込客・顧客ごとの商談記録をつけること。ところが社員は誰もそれをやっていない。「なぜ自分と同じことができないのだ」と嘆いても、それは社長が優秀だからこそ陥る落とし穴です。営業マンが優秀なら、そもそも自分で会社を立ち上げているでしょう。

待ちの営業・社長依存から脱却するための2つの仕組みとは何か?

個人まかせの営業から、会社としての組織的な営業に切り替えるために必要なのは次の2つです。

仕組み①:営業マンの「行動」を管理する

まず重要なのは、営業マンに「売上を上げてこい」ではなく「行動してこい」と言うことです。

 

あなたの会社の営業マンは今日、どれだけの新規見込み客に電話したか、どれだけの既存客に連絡したか——これを記録・管理することが組織営業の出発点です。成果(売上)ではなく行動量を管理することで、営業マンのプレッシャーが下がり、動きやすくなります。

 

その記録体制として、ExcelではなくSalesforceのような営業管理・顧客管理ツール(CRM/SFA)の導入を推奨します。顧客との取引記録・商談記録・接触履歴のデータをためていかなければ、情報という資産は積み上がっていきません。また、営業マンが報告してきたら社長や上司がアドバイスを返す。このサイクルが回り始めることで、営業マンは良い方向に変わっていきます。

仕組み②:営業マンの育成を仕組みとして行う

できる営業マンと普通の営業マンの差は「能力」ではなく「習慣」です。できる営業マン(または社長自身)の仕事の仕方を全営業マンができるように教育していくことが、育成の本質です。

 

育成の方法として、次の順番が有効です。

 

ステップ 内容
① 社長が先にやってみせる 下手でもかまわない。社長が電話アポをかけ、記録をつける姿を見せることで「できない」という言い訳をなくす
② 同席して実際にやらせる 社長または優秀な営業マンが同席し、商談の進め方を実地で教える
③ 記録を見てアドバイスする CRM/SFAに蓄積された営業記録に対して、社長や上司がアドバイスを返すサイクルを作る

 

これらを継続することで、営業を「社長個人まかせ」から「会社としての組織的な営業」に切り替えていくことができます。なお、これは飲食店や小売店にも当てはまります。その場合、営業マンの報告が店長の日報に変わるだけです。

組織営業への転換で今日から始めることは何か?

売上を上げることができる経営者は「売上を上げるには戦略と仕組みが大切」と言い、できない経営者は「目先のテクニックや即効性」ばかりを求めます。企業の中を全て変えるぐらいの抜本的な改革が必要ですが、まずは次の一歩から始めてください。

 

取り組み 具体的なアクション
① 現状の依存度を把握する 上位3社の売上構成比を計算し、どれか1社が半減した場合の影響額を算出する
② 行動記録を始める 営業マンが今日どれだけ新規・既存客に接触したか、1日・1週間の行動量を記録させる
③ 社長が先に動く 社長自らが1,000件のリストを作り、電話アポをかけ、記録をつける。「変われ」と言う前に自分が変わる
④ 管理ツールを導入する ExcelからCRM/SFAへ移行し、顧客ごとの商談記録・接触履歴をデータとして積み上げる

よくある質問

Q. 待ちの営業から脱却するには、まず何から始めればよいですか?

A. まず自社の売上依存度を数字で確認することから始めてください。上位3社の売上構成比を計算し、そのうち1社が半減した場合に会社全体の売上にどう影響するかを算出します。危機感が数字で明らかになったら、次に社長自らが新規アプローチ先リストを1,000件作成し、電話アポを始めます。社長が先頭に立って動くことが、組織が変わるための最初の条件です。

Q. 創業社長が自分の代わりに営業できる人材を育てるにはどうすればよいですか?

A. 「自分と同じレベルで動いてくれる人を採用する」という発想を捨てることが最初のステップです。社長が優秀だからこそ、普通の営業マンとのギャップが大きく感じられます。重要なのは採用基準ではなく育成の仕組みです。社長がやっていること(商談記録をつける・既存客に月1回連絡するなど)を明文化し、それを会社のルールとして全員に義務づけます。ルールが守られているか記録で確認し、守れていない場合はアドバイスを返すサイクルを作ることが、育成の本質です。

Q. 営業管理ツール(CRM/SFA)はどれを選べばよいですか?

A. 規模・予算・ITリテラシーに応じて選択してください。中小企業では、Salesforce(機能豊富・高価格)、HubSpot(無料プランあり・中規模向き)、Zoho CRM(コスト重視)などが代表的です。最初はExcelから始めても構いませんが、顧客数・商談数が増えてくると連動・検索・集計に限界が来るため、早めの移行が長期的にはコスト効率が良くなります。どのツールを選ぶかより「毎日記録をつける習慣を全員が守る」体制を作ることの方が重要です。

Q. 組織営業の体制を作っても、社員がまた「受注を待つ」体制に戻ってしまわないようにするにはどうすればよいですか?

A. 行動量を数値管理し続けることが最大の防止策です。「今月、営業マンAは新規に何件電話したか・既存客に何件連絡したか」を毎月集計し、それを会議で共有します。数値が下がったら即座に原因を確認し、アドバイスする。このサイクルが止まると組織は元に戻ります。また、グループAで解説した歩合給制度を導入することで、動かなければ収入が下がる仕組みを作ることも有効な手段です。

Q. 営業マンが商談記録をつけない場合、どうすればよいですか?

A. 「記録をつけることも営業の仕事の一つ」と位置づけ、それを守らない場合は業務未遂と同じ扱いにすることが必要です。社長や上司が記録に対してアドバイスを返すことで、記録をつけることのメリット(フィードバックが得られる・仕事が評価される)を実感させることも有効です。また、記録をつけることを前提とした給与評価(記録がなければ歩合が発生しないなど)と連動させると、行動が定着しやすくなります。

Q. 創業初年度から売上が大きかった会社が、数年後に低迷するのはなぜですか?

A. 創業当初から売上が大きい会社には2つのパターンがあります。①前の会社が立ちいかなくなりその顧客を引き継いで創業したケース、②前の勤め先から多くの仕事をもらえることで初年度から売上が大きかったケース——です。いずれも共通する問題は「顧客は引き継げても、売上が上がる仕組みは引き継げなかった」ことにあります。既存客1件あたりの売上をどう大きくするか、新規客をどう獲得するかという仕組みがないまま経営を続けた結果、既存客の自然減に対応できず売上が年々低下していきます。特にパターン②では、前の勤め先との関係を維持することにエネルギーをかけすぎるあまり、新規開拓の取り組みが後回しになりがちです。「売上が上がる仕組み」を意識的に自社で構築してこなかった点において、本記事で解説した「待ちの営業」と本質的に同じ問題です。0から創業して売上を積み上げてきた会社との差は、この仕組みがあるかどうかにあります。

 

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