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新規銀行が名刺を置いていった場合

銀行は新規融資先開拓を

あなたの会社に、新規の銀行がとびこんでくることはありますでしょうか。また、そもそも銀行は、新規でとびこんでいく企業を、どうやって見つけているのでしょうか。私の銀行員時代の経験からお話します。

 

まず、新規融資先、つまり今まで融資取引のなかった企業に対し、新規融資を行うことは、銀行の営業の成果としては、重要度が高いのです。銀行の規模をはかるには、やはり融資量が一番です。その銀行が、全体でどれだけの融資を行っているか、それが銀行の規模をはかる一番の指標となります。

 

自己資本比率が低く回収中心に進めている銀行を除き、どこの銀行も、規模を大きくしていくことを重視しています。規模を大きくするためには、融資量を増やさなければなりません。一方で、既存の融資先だけでは、融資量の増加に限界はあります。

 

そのため、新規融資先の獲得を、銀行は重視します。また、銀行のもう一つの考え方として、リスク分散、があります。融資先の数を多くすれば、銀行から見たらリスク分散、つまり融資先一社が倒産することによる影響は少なくなります。

 

こういったことで、新規融資先を多く獲得する得意先係は、評価が高くなります。そういう銀行の雰囲気を感じ取っていた私は、新規融資先の開拓は業務の中で積極的に行っていました。

銀行は新規企業をどうやって探すのか

では、銀行はどうやって、新規融資先を探していくのでしょうか。私の場合、本部から送られてくる、新規融資先の候補リストを使っていました。それは、帝国データバンクの企業データから取得されます。帝国データバンクは、各企業に評点を付けていますが、その評点により、新規開拓に訪問する企業を、銀行員は決めます。

 

銀行員の感覚としては、50点以上だったらまずまず、55点以上だったら良い企業として、50点以上の企業を中心に、まわります。

 

そのため、あなたの会社も新規銀行にとびこんできてもらいたいのであれば、何はともあれ、帝国データバンクの点数をいかに高くするか、がポイントになるのです。そして銀行員は、新規開拓ですから、おそるおそる、企業に訪問します。余談ですが、このような新規開拓に尻込みしてしまう銀行員は多いのです。

 

既存融資先だったら、気楽にまわることはできても、新規企業であれば、相手のことを知らないのだから、尻込みしてしまう銀行員は多くいます。だからこそ、新規融資先を積極的に獲得してくる銀行員は、銀行内で重宝されたのです。

銀行員が新規企業に訪問してもなかなか会えない

とびこみ訪問ですから、企業の経営者や銀行担当者が不在のことも多いでしょう。新規開拓を行う銀行員としては、それは折込済みであり、その場合は「社長に名刺を渡しておいてください。」と名刺を、その場にいた渡すことになります。

 

ただ、名刺を渡しても、その後、二度とその企業に訪問しない銀行員も多いものです。なぜなら、新規融資先の候補リストは、山ほどあるからです。どんどん、次の企業にまわることでしょう。一方で、企業側としては、「もう1回来てくれないかな」と思う経営者も多いものです。

 

しかし、やって来ない。「もう二度と訪問してくれないのかな。残念。」と、あきらめてしまう経営者は多いものです。しかし。ここで、企業側から、名刺を置いていった銀行員に、電話をしてみてはどうでしょう。

 

銀行員の方としては、新規開拓のために訪問し、留守で名刺を置いていった企業から電話がかかってくると、大変うれしいものです。私はそのような電話がかかってきた場合、「来た!」と思ってとてもうれしく、すぐにその企業に訪問していました。

 

銀行員としては、100社まわっても、実際に話を聞いてくれるのは5~10社ぐらいです。

 

だから、企業の方から銀行員に電話をかけると、大変喜ばれます。そもそも、企業は、銀行取引においては、多くの銀行と融資取引を行うことが鉄則です。

 

なぜなら、

 

  • 多くの銀行とつきあっておいた方が、融資の選択肢が広がる。また、ある銀行が融資をしてくれなくても別の銀行が融資をしてくれるなど、企業側のリスク分散となる。
  • 銀行同士の競争が起き、融資金利が低くなりやすい。

 

からです。取引銀行を増やすために、新規でとびこんでくれる銀行があって、名刺だけ置いていくのでしたら、企業側から積極的に電話してみましょう。

 

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