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「勘定合えど銭足らず」は笑い事ではない

納得してはいけない言葉

「勘定合えど銭足らず」といえば経営者にとって悩ましく、しかし実感を伴う言葉に聞こえるものかもしれません。中小企業経営者は毎日懸命に現場で仕事をこなしながら、回収や支払の決済まで行い、会計処理まで確認するのが当たり前。こんなにも仕事に全てを費やして、最後に出てくる結果は現預金が増えていないというのは、なんとも悲しいことです。なんとも世知辛い現実を示すフレーズです。

 

しかし、企業経営や財務に関わる者がこの言葉に納得したり、「そうだ」と思うだけでは失格だということを、どれほどの方が認識しているでしょうか?

 

銭=現預金・キャッシュ は企業の活動においては血液の役目を果たすとされています。

新たに事業を始めるのにも、仕入に対して支払をするのにも、社員に給与や賞与を支給することにはじまり、借入の返済や納税、最終的には事業承継を行うことにすら、お金は必要。気分のいい話ではなくとも、破産すら、タダではできません。

 

「どんなに優れた利益を生む企業ですら資金ショートすれば倒産になる」

「一番大事なことは、十分な資金を確保することだ」

 

誰もが知っています。なのに、自分の会社に「銭が足りていない」結果が出てきたことを、どうして皮肉交じりのコトワザで済ましてしまうのでしょう?

「財務」の機能

これまでに4,000社近い中小企業経営者からの相談を伺ってきましたが、その中で非常によく聞いてきたのが

 

  • 私には財務がよく分からない
  • 財務面を強化したい

 

という言葉。経営・財務を基盤とするコンサルタントとしては、もちろんお手伝いするべきものですが、財務が強化されるとはどういうか、意味を取り違ってしまっては元も子もありません。改めて、財務という言葉の持つ意味を確認します。

 

一般に、財務と言えば以下のように考えられます。

 

  • 資産や負債の管理
  • 資金の調達や管理
  • 収益の管理

 

これらの結果作成される貸借対照表や損益計算書等を通じて企業の収益性や安全性、将来性や価値等を見える化、問題点を把握し将来の経営判断の材料とすること。

 

といったところでしょうか。でもちょっと小難しい言葉。もう少し身近な言葉にしたいです。そもそも、財務が機能していれば、企業の状態が資金計画等によって見える数字で表現され、

 

  • なぜ銭が増えていないのか(原因)
  • どうすれば銭が増えるのか(対応)
  • どのくらいまで銭を増やせば、将来の安心が得られるのか(目標量)
  • いつまでに、安心感のある水準に銭を増やすことができるのか(目標期限)

 

が分かるもの。原因、対応、課題が明らかなら

 

  • 何をすればよいのか分かる
  • どんな出来事に対しても、目標に近づくための納得した決断ができる

 

ことになります。大事なポイントはここです。誰だって将来のことを全て見通すことはできません。が、今ある情報を最大限活かし、納得の行く決断ができることが、財務が機能しているということなのではないでしょうか。

 

従って、「社長の迷いを断つ情報や環境」こそが財務の機能と考えます。

 

企業経営者の多くは、この機能をもっていません。だから「勘定合えど銭足らず」という言葉を、そのまま受け止めることしかできないんです。銭足らず=資金不足という致命的な弱みを自覚したまま、不安な気持ちで毎日を送っている経営者は、この問題に取組むべきです。

 

何も、複式簿記や税法を知る必要はありません。資金繰り・資金計画を長期に渡り実行していくことが、一番の近道。目指すは、財務機能が働くことで、「勘定が合って、どうすれば銭が増えるのか分かる」ことですから。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行、6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱い。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社へ入社。約10年間で対応してきた相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。セミナー講演回数も数十回と、コンサル活動の傍ら現場で必死に対応する企業経営者の叫びを直接伺ってきた者として今日もどこにでも伺います!

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