経営改善計画はどう実現する?数値目標を行動計画に落とし、未達を正しく評価する方法
金融円滑化法の期限切れ後、経営改善計画は「作って提出して終わり」ではなく、その現実性と達成度が継続的に評価される時代になりました。決算評価とは別の、もう一つの企業評価です。ところが現場では、「将来のことなど分からないのに計画など作れない」と作成が止まったり、数値目標を立てても現実味がないまま放置されたりするケースが後を絶ちません。
本記事では、経営改善計画を「絵に描いた餅」で終わらせず、実際に機能させるための3つの勘所、計画を立てる意味、数値目標の行動計画化、そして未達の正しい評価を、認定支援機関の視点から解説します。計画書の項目立てそのものについては、別記事「銀行が納得する経営改善計画書の書き方8項目」もあわせてご覧ください。
この記事のまとめ
- 「未来は分からないから計画は無意味」は誤りです。未来が不確実であることと、計画を立てられないことは、まったく別のことです。
- 数値目標は、それだけでは実現しません。経費・仕入を予測したうえで、数値目標を「行動計画(アクションプラン)」に置き換えることが鍵です。
- 行動計画表には「どの項目が・いつ・どれだけ改善するか」を明記します。金融機関は行動と結果数値を合わせて検証できます。
- 計画の未達は、数値だけで判断してはいけません。未達要因を「外部要因(制御不能)か、内部要因か」で仕分けして評価します。
「未来は分からないから計画は無意味」は誤り
中小企業を経営していると、銀行等から「将来の損益の見込みを教えてください」と依頼されることは少なくありません。多くは損益計算書をベースに、今後5年分の売上・原価・経費などを数値で埋めていくもので、最近では銀行側が書式を渡してくることも一般的です。ところが、その大半の経営者は「将来のことが分からないのに作れない」「机上の空論で、やっても何も変わらない」と考え、作成が止まってしまいます。
しかし、未来のことが分からないことと、その計画を立てられないことは、まったく別のことです。銀行にとっては、当たるか当たらないかという以前に、経営者がどう将来を見据え、どう手を打とうとしているのかを知ることに意味があります。計画は予言ではなく、意思と行動の設計図なのです。
銀行から将来の損益計画を求められたら、どうすればいいですか?
「当てにいく」のではなく、「根拠をもって描き、後で検証できる形にする」と考えてください。固定費は変動要因がなければ予測しやすく、変動費や仕入(原価)は売上に連動して見込みます。大切なのは精度の高さそのものより、なぜその数値になるのかという根拠と、後から検証・修正できる構造を持たせることです。
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数値目標は「行動計画(アクションプラン)」に落とし込む
いったん作成した経営計画の数値目標を、どう実現していくか、ここが多くの経営者の悩みどころです。数値目標は、掲げただけでは現実味を持ちません。それを日々の行動に翻訳して初めて、達成への道筋が見えてきます。
数値目標を実現するには、何をすればいいですか?
まず、経費のうち固定的なもの(家賃・光熱費など)は変動要因がなければ予測しやすく、変動的なもの(旅費交通費など)や仕入(原価)は活動量に応じて見込みます。そのうえで、「いくら売る・いくら抑える」という数値目標を、「誰が・何を・いつまでにやるか」という行動目標に置き換えていくのです。数値はあくまで結果であり、動かせるのは行動だけだからです。
行動計画表(アクションプラン)には、何を書きますか?
「行動計画表 書式」「アクションプラン表 書式」で検索すれば書式は入手できますが、中小企業再生支援協議会が公表したサンプルでは、その行動を達成できた場合に、損益計算書の
- どの項目が?
- いつ?
- どのくらい(金額・パーセント)改善するのか?
を明記する形になっています。これにより金融機関は、過去の数値を分析して将来を推測するのではなく、「何をして、どうなるのか」「過去の行動計画が実施されているか」「損益計算書に計画どおり反映されているか」を、行動と結果数値を合わせて検証できるようになります。融資担当者が減り、1社にかけられる時間が限られるなかで、企業が自ら行動と結果を示せることの価値は、年々高まっています。
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計画の未達は「数値だけ」で判断しない
一つひとつの数値が必ず計画どおりになることに、気を使いすぎる必要はありません。大事なのは、検証と改善を重ねて最終的なゴールへ向かうことだからです。金融機関は概ね計画数値に対して80%の達成を目安としますが、達成できた・できていないを短絡的に論じるのは、企業・金融機関の双方にとって適切ではありません。
計画が未達でも問題ないのは、どんな場合ですか?
実務でよく間違われるのは、計画倒れの要因が「自社ではどうしようもないもの」だったのかを仕分けしないまま、未達であることだけを問題にしてしまうことです。外部要因=自らコントロールできないもの(震災、関税など政治判断の影響、世界的な経済動向、突然の競合発生など)については、計画どおりにならなくとも「最初の一度は」やむを得ません。
震災とそれに伴う売上減少を予測できた人が、どこにいるでしょうか。ただし、あくまで一度です。一度発生し認識できた外部要因には適応し、時間とともにその影響を織り込んで精度を上げていくことが求められます。未達のときは「なぜ未達か」を、まず外部要因か内部要因かで考える、これが正しい評価の出発点です。
ただし、資金計画だけは精度を重視する
損益計画の数値が多少ぶれることは、検証と改善で取り戻せます。しかし資金計画は別です。あまりに精度が悪かったり誤差が大きかったりすると、資金ショートの懸念に直結します。計画全体は「検証しながら育てる」姿勢でよいのですが、こと資金繰りに関わる部分だけは、現実的で精度の高い見通しを持っておく必要があります。ここが、経営改善計画を「生きた計画」にできるかどうかの分かれ目です。
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