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銀行の貸し渋りは、再び起こるのか?

保証協会保証付きの融資について、保証協会の保証率が80%未満に減少していく計画が進んでいます(制度融資の種類などにより、一律ではない模様です)。

 

政策的な問題もあり、段階的に行われる公算ですが、保証協会の立場から言うと、一時期よりは減少したとはいっても毎年数千億円の代位弁済を受け、財政的に余裕がないことが背景にあります。

 

「万一の際には、銀行にも責任を一部負ってもらう」ことになる、責任共有制度という制度は平成19年に初めて導入されたものではありますが、あまりよい覚えのない方も多いのではないでしょうか。

責任共有制度による貸し渋り

リーマンショックの前年に初めて導入されたこの制度、当時メディアなどで採りあげられることもなかったのですが大きな混乱を引き起こしました。

 

ビジネスローンがあまりにも高い貸倒率となってしまい金融機関が一斉に取扱いを休止・縮小しているタイミングで責任共有制度が導入されてしまい、金融機関からみて「保証協会保証付きで融資をしても、一部はプロパー扱いになる」ことから、保証協会保証が付いても融資を謝絶してしまい保証協会保証付きでの融資すら受けられない企業が激増したのです。

 

長期資金の折返しや短期資金の更新が突然断られてしまったというご相談が当時激増したことを、今でもよく覚えています。翌年のリーマンショック発生により、政策的な中小企業支援が必要になったことから、緊急保証融資を中心に保証率を100%に戻すような動きがあって、一時的に落ち着きを取り戻しましたが、改めて今回動き出した、といったところでしょうか。

今回は金融機関ごとに対応が分かれる

今回は以前に比べると、金融庁は地銀や信金・信組に対して中小企業向け貸出残高や融資姿勢を個別にチェックしていることから以前ほど突然対応が硬化することはない、という論調もあります。 

 

が、金融機関(もしくは各支店)それぞれの事情によって対応が変わらないものから、大きく貸し渋りが発生するもの迄大きく分かれることになるだろう、というのが本来予想されるべきものです。

 

なにしろ、金融機関は現在、金融庁より収益(率)の改善を要求されています。収益(率)の低位な金融機関については、他金融機関との統合・合併を要求されますから、金融機関側も必死です。

 

金融機関にとって収益の改善、という面で考えると

 

  • 融資が増える→金利収益が増える
  • 貸倒が増える→収益は悪化する

 

わけですから、収益を増やすために融資を増やすか、貸倒を減らす(融資はできない)かの判断は二者択一となりますが財政的に余裕がある金融機関は一定のリスクをとって融資を増やす方向に舵を切れても余裕のない金融機関、より具体的には貸倒引当を充分に積んでいない、純資産(自己資本)が不十分な金融機関は、リスクをとりたくともとれないため、融資をしようとする手が縮こまってしまうことになります。

 

具体的な動きは4月以降になるでしょうけれども、マル保融資のみ、マル保融資中心での融資を得ている企業は、お取引金融機関の出方を慎重に図っておくべきでしょう。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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