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金融検査マニュアルが撤廃される?

7月1日、中小企業等経営強化法は施行され、固定資産税の減免条件などを中心に、少しずつ世の中への露出が強まり始めました。しかし、この法律の根幹はあくまでも一部税の優遇などのような単一の政策などではなく、中小企業の選別・振り分けのためのツールに過ぎないことは、本メルマガの読者様であればお分かりいただけることと思います。

 

今回は、その流れのなかで、中小企業にとって財務評価の根幹ともいえる「金融検査マニュアル」について、今後の方針をお伝えします。

金融検査マニュアルの役割は、既に終わっている

金融検査マニュアルといえば、ここ20年ほど銀行の行う財務分析の根拠といってよいものです。

 

山一証券や北海道拓殖銀行の経営破たんによる金融不安の中、各金融機関がどれだけの不良債権をもっているか=どれだけの貸倒引当を積めば、安全といえるかを国の統一された基準をもって明らかにするものとして各融資先企業の格付け(債務者区分の決定)を行い、格付けに応じて引当金を積み上げていくという仕組みは確かに必要なものでした。

 

が、一方でどの銀行も金融検査マニュアルに依って取引方針を決定し、対応していくことからどの銀行も、同じような決定しか下せない弊害を生みました。

 

銀行の独自判断をする力が失われたため、一つの銀行がダメ、と言い出してしまうと他の全ての銀行が同じくダメ、となるため、企業側としても判断の多様性がなくなり、身動きがとりにくくなってしまったのです。

新たな中小企業評価の目玉

中小企業等経営強化法に基づく、ローカルベンチマークの活用による企業評価は、金融検査マニュアルによる評価と異なり「本業の実態損益が改善すれば、評価されやすい」「生産性の改善が証明できれば、評価されやすい」特性をもっています。金融検査マニュアルが、本質的に「今企業をたたんだ場合、銀行がどれだけ回収不能になるか」をベースにしていることと比べると、企業の本道に近いものですがよりこちらに重点をシフトするため、金融検査マニュアルについてはそもそも、撤廃される方向になっています。

 

貸倒引当については、まったく別の手法で、おそらくはより各銀行が自らの基準で計上することになるでしょう。

 

極端な話、例え金融検査マニュアルにおいては「破たん懸念先」であっても、新規の大口受注に対しては短期紐づき融資は行う、銀行はその貸倒を個別判断で「要注意先」相当で構わないとする金融庁はそれを「追認」する、こんな形が可能になるわけですね。

 

新しい企業と銀行の関係は、ある意味今まであったルールが撤廃され、新しいルールは本来の経営改善や経済的合理性に基づくもの、要する「銀行にとってリスクがコントロールできる範囲で銀行にとって収益になるもの」であれば、常に交渉余地がある、と言えます。

 

ただし、「企業が自ら持ちかけ、納得のいく説明をする」ことが必要です。基本ルールを超えた話ではあるわけですから、企業経営者は自社のプレゼンターとなって、銀行が興味をもつように、説明責任は果たしていくべきだ、ということです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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