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正しいプロパー融資が出来ている中小企業は、数%しかない

かつては銀行員だった私が、今銀行(金融機関)に伺うのはその大半が、お客さんの借入についてのご相談・打合せのためですが、今も昔も「この方は凄い銀行員だなー」と思う・思わないのポイントは同じです。それは、財務基準や内部規定・ガイドラインを超えてしまう話になった時に、

 

どうすれば、「超えないで済むか」よりも
どうすれば、「超えていても上司や審査部を説得できるか」

 

を先に考えようとしてくれる方。説得することを考えられる方というのは、要するにそれだけの影響力が上司や審査部に対してあるのです。説得材料をそろえようとするので、会社のいいところや努力をきちんと聞いてくれもします。

 

影響力をもっていない方は、上司や審査部から言われるままですから、基準内にお客さんを押し込めようとしてしまうもの。

 

あなたの現在の担当者は、いかがでしょうか?

正しいプロパー融資が出来ている中小企業は、数%しかない

もし宜しければ、ご自身の会社の借入内容と比較して、確認いただければと思うのですが、本来の融資のあり方お金の借り方というものに立ち返ると、今日の中小企業のうち「正しいお金の借り方になっている」企業というのは数%しかない、というのが、私がいろんな企業様の決算書を拝見してきて思う実感です。

 

正しい借り方とは?単純に言えば

 

  • 経常運転資金はプロパーの短期で、期日一括返済。期日には利息だけ支払って継続が前提。当座貸越の利用もあり。
  • スポットの運転資金は同じくプロパーの短期、返済は期日一括だったり、分割だったり様々。期日は元本の返済を行う。
  • 設備資金は保証協会保証付きでもOK、キャッシュフローや償却期間とのバランスをとった長期での分割返済

 

ということです。一方、現実にはどうなっているかというと

 

  • 短期融資が極端に少なく、長期融資のみ
  • 短期融資であっても期日には一度元本を返済する形がほとんど
  • プロパー融資は長短に関係なくほとんどない

 

と、随分おかしな状態になっているのです。どうしてこうなってしまったのかといえば、そこには金融機関・専門家・企業経営者それぞれの都合や、勘違いが存在します。

金融機関は

金融機関は、バブル経済崩壊以降、平成8年~10年に起こった金融不安が決定的な引き金となってプロパー融資がずっと減少傾向にありますが短期で、プロパーで貸すべきものを保証協会保証付き(マル保)の長期融資に借替をしてきてしまった、という事実が存在します。この背景には、ちょっとイヤらしい言い方をしてしまうと

 

  • マル保の方がリスクはないので貸す側にとって安心
  • 長期の方が金利を高く設定できるので儲かる
  • 短期・一括返済方式は1年に一回以上借替をしなくてはならないので正直事務負担が大きく、面倒くさい

 

というのが本音です。正直お金の貸し手として正しいかと言われれば間違っているのですがそれを専門家も、企業経営者も受け入れてしまっていたのです。

専門家は

本来は専門家(主に税理士先生やコンサル)が、それを是正する動きをするべきなのですが、こちらはこちらで問題がありました。

 

  • 表面上、短期借入が減少して長期借入が増加するのは財務指標上の評価が上がる(流動比率が向上、固定長期適合率が減少する、など)ため、本当に適切かどうかを考えず、経営者や金融機関を止めなかった
  • 金融機関を説得するために表に出ようとする専門家が非常に少なかった

 

のです。私自身もそうであったかなかったか、よくよく省みなくてはなりませんが、当時専門家がブレーキとしての機能を果たせてはいなかったのは確かです。

企業経営者は

その状況で、直接判断し、責任すらとらなくてはいけない経営者はなぜ受け入れてしまってきたかと言えば

 

  • 自ら銀行に逆提案する考え方には至りにくかった

 

という面もあるにせよ、私としては「短期よりは長期で借りた方が、与信期間が長い分安心」と考えてしまっていたことが大きいと考えます。確かに、長い期間で契約した方が間違いは起こりにくい、と思ってしまうものですが、これが落とし穴なのです。

落とし穴にはまっている中小企業

こうなると、何が問題かというと

 

  • 短期一括返済の継続がなく、長期分割返済の融資ばかりなので、月次での借入返済金額が大きくなる定期的に借り直し(折返し融資)が出ているうちはともかく、一度新規融資を断られると、途端に大きな返済金額が資金繰り負担を与え、あっという間に資金ショートしてしまう
  • 保証協会依存が高すぎると、何かあったときに保証協会に頼れない

 

この二点です。お客さまからはよく「でも、短期の資金がもし継続できなかったらどうすれば?」というご質問をいただきますが、短期融資の方が融資難易度は低いこと、そもそもどうしても継続できないことが避けられないのならばそれは条件変更(リスケジュール)を行うかどうかの話ですからきちんと「短期で借りるべきは短期(のプロパー)で」という原則は何も崩れるものではありません。

改めて、プロパー融資を正しく得るために

金融機関にとっても本来の姿ではないものですから、現在急ピッチで短期プロパー融資の見直しが、金融機関側でも進んでいます。上記を踏まえて、是非正しい融資の姿を企業側からも働きかけていただきたいのです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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