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銀行と中小企業の立場は、もう同じ

新しい銀行の取組みの中には単なるビジネスマッチングや保険等の金融商品販売の他

 

  • 海外からの従業員の受入れの募集
  • M&A仲介
  • 補助金、助成金の紹介

 

等も含まれています。担当者レベルの個人的な資質にも依りますが、海外従業員の受入れ、は私のお客さまでも複数検討されていて、導入決定している企業もあります。

 

資金が落ち着いた後に顕在化するのは人の問題。企業にとって有益ならば、銀行の新たな取組みに乗っかってみるのも、問題はありません。

 

重ね重ね、「お付き合い」だけでなら不要ですけれど。金融庁発表資料によると、2016年9月末時点での全国115銀行が持つ不良債権残高は、7.9兆円と過去最低金額を更新した、とのこと。

 

2002年3月には43兆円以上あったことを思うと、随分と減少したものです。

 

銀行の財務の健全性は、自己資本比率が最も重要とされており、国際的な基準まで存在していますが、現在必要水準ギリギリ、という銀行も見当たりません。よって、銀行は今、一息ついている、といいますか、一息つきたい、できるだけ先送りしたい、というのが本音なのでしょう。

忍び寄る危機に、いつまで目を背けていられる?

金融庁は、それを良しとしていません。既に、国内銀行の4割は「本業で赤字」であり、数年後には5割以上が本業赤字になるという試算が既にあります。

 

事業性評価による新たな融資の切り口も金融仲介機能のベンチマークによる、金融庁の銀行評価の新しい姿も、金融庁が銀行に対して「新たな取組みをもう始めないと、近い将来立ちゆかないよ?」と考えていることの表れ、です。

 

本音としては「状況が悪化してから何とか助けて、と言われても膨大なコストがかかる」といったところでしょうか。

金融庁は、長期戦を想定している

金融庁の銀行に対する今後の検査姿勢は

 

  • 銀行に自ら、取組み内容を提出させて、その推移を追う
  • 新たな評価手法、ビジネスモデルをもってこれまでと異なる収益を上げることを求める
  • 地域経済や企業への貢献を求める

 

こととなっていますが、銀行はそのための「中期経営計画」を発表、その推移・進捗を金融庁が追うことになります。

 

金融庁にとっては、今なかなか動こうとしない銀行に対しても「今期は一旦銀行の言うことを聞いておいて来期以降に、計画と現実のギャップが出てきたところで詰めていく」ことが狙いです。本格的な鍔迫り合いは、来期になるでしょう。

銀行が企業に求めるものと、同じ

一息ついて、先送りしたい銀行と今すぐの改革を求める金融庁。これ、「銀行を企業に」「金融庁を銀行に」言葉を変えると「一息ついて、先送りしたい企業」と「今すぐの改革を求める銀行」となって、再生フェーズの企業と、銀行とで起こっていることと同じですよね。

 

企業が経営改善計画を出して、その重要ポイントの進捗を定期的に銀行がチェックしているのですから。

企業の計画と進捗報告が、より力を持つ

銀行は、チェックする側でありながら、チェックされる側にもなる、ということです。

 

これまでは便宜的に「計画書をなんとなく作ってさえいればよかった」なんて言ってこられたのも、融資先企業の計画が結局どうなっているのか、チェックされることがなかったから。

 

銀行にとっては、随分と負担が増えることでしょう。

 

だからこそ、自ら説得力のある計画と、進捗報告できる企業はより銀行を納得させ、間接的には裏側にいる金融庁を納得させ有利な条件での経営を続けていける、ということになります。

 

なにしろ、銀行担当者が企業の計画の精度、内容を向上させることは極めて困難なのに、金融庁から求められてはいるのですから「はじめから素晴らしい計画と進捗状況がある」企業は重宝されることになるのです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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