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企業格付け「正常先」に戻す時、金融機関は何をする!?

ある調査会社の発表によると8年連続で企業倒産が減少し、バブル期並みの低水準になっているようです。資金繰りが安定し企業倒産が減少していくことは非常に喜ばしいことではありますが、果たしてその実態はどのようになっているのでしょうか?

 

2009年に金融円滑法が施行され、2013年に同法が終了した現在も継続している金融機関の柔軟な対応が背景にあるとしたら決して楽観視できる現状とは言えません。

 

柔軟な対応と言えば確か年度末だったでしょうか、ある金融機関の方とお話をしている時のことでしたが、小生の方から今の融資実態はどうですかと問いかけると、多くの中小企業が利益はでているもののその額が小さい為に利益償還をしていくと多大な年数がかかり、その一方で資金需要があるが故に借り換え(保証協会付債権)を進めていると言うのです。

 

その企業の置かれた状況にもよりますが、何となく納得できるようで出来ないような感が歪めませんでした。

 

いずれにしても金融機関の対応が柔軟な今この時に体力をつけ、事業の継続・発展を願うばかりです。

企業格付け「正常先」に戻す時、金融機関は何をする!?

今日は久しぶりに事業再生についてお話したい思います。先だってある企業の支援金融機関(メガバンク)からこの企業の格付けを正常債権に戻すことを検討したいので、過去に作成した計画書をブラッシュアップして欲しいとの申し出がありました。

 

そこで、小生はその金融機関担当者になぜこの企業の格付けを検討するに至ったのかを問いかけると、この数年間継続して収益を創出し、その結果、債務超過会社から脱却し資産超過会社として安定的に事業活動を行っていると判断しているとの事でした。

 

要約をすると成長性、収益性、安定性があるといったところでしょうか。

 

それでは、もう一つ重要な概念として金融機関からその企業を見た債務償還年数はどうでしょうか。

 

この企業は現在、元々の約定返済から返済猶予を受けており、それでも正常債権に戻す対象になっているのです言い換えれば現状の返済で新たに「期限の利益」を取り直すことを意味するのです。

 

それでは、金融機関が考える対企業に対する債務償還年数はどうなっているのでしょうか。

 

一言で言えば

 

「運転資金はずっと貸しておきますよ。
 それ以外の借入金は10年(金融機関によっては15年)で
 返してくださいね。」

 

と言ったところです。

 

もう少し詳細に述べると、金融債務残高(借入金)から所要運転資金相当額並びに現預金残高及び換金性の高い資産(上場企業の投資有価証券等)を差し引いたものをFCF(簡易FCFで表現すると当期利益+減価償却費)で割った数値が10年内に収まっていれば良しと言ったところです。

 

当該企業で言えば現状から見て債務償還年数は約8年です。所要運転資金とは売上債権+棚卸資産-仕入債務を指し、特に棚卸資産については適正在庫(①個数②金額③日数)を算出する必要があります。

 

運転資金相当額も含め債務償還年数が10年程度に収まるのであれば、支援金融機関の協力を前提にこれまでの金融債務残高を長期借入金として新たに期限の利益をとる交渉を行い、新たに必要な資金需要(所要運転資金相当額等)については短期借入金を設定してもらう交渉も可能になるでしょう。

 

いずれにしましても、金融機関が柔軟な対応をしているこの時期に可能な限り収益により資産超過会社に転じ、債務償還年数についても先行きの読める期間内で収まる企業体になる事が金融機関との交渉を有利に運ぶ条件になります。

 

特に再建半ばの企業様に関しては、『出口』をしっかりと決めて再建に邁進して貰いたいと思います。

 

執筆:沖原 厚則

 

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