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私的整理ガイドラインの「経営者責任」は軽くなった?

4月15日より新たなガイドラインが適用された

これまで運用されていた私的整理ガイドラインは原則として経営者の退任を求める等、ちょっと中小企業には使いにくい内容であったことを踏まえ、新たに「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」がまとめられ、この度運用開始、となりました。

 

中小企業でも適用しやすくするための大きな変更点は他にもございますが、今回は「経営者責任」について、現在私がお手伝いしている企業様の実例をもって、改正状況を説明してみようと思います。

経緯

そのお客様企業は、コロナ禍で売上が一時7割減少するような大変な損害を受けましたが、コロナ前から取り組んでいた経営改善努力が認められ、DDS(無理やり圧縮すると、借入の返済を10年以上先送りにして、該当の借入相当額を負債ではなく純資産として評価、財務評価を底上げして企業再生へ繋げていく企業再生の手法)の検討に入っていたのです。

 

DDSは金利も既存借入より低くなるため、利益向上の側面からも叶うのならば有り難いこと、として中小企業再生支援協議会(4月からは経営改善支援センターと統合して「中小企業活性化協議会」)と打ち合わせを進めていたのですが、、、

協議会と銀行とで言い分が違った

1月から4月にかけて、メインバンクからは

 

  • DDSの導入ともなれば、銀行も相応のリスクを背負うため、経営者責任の履行を求めざるを得ない
  • 具体的には、役員報酬の大幅削減及び、代表取締役社長の退任また、退任後は役員や社員として残るのではなく、完全に会社から去る
  • 余裕資産については、原則全て売却して会社に投下する(借入返済に充てるかどうかはともかく)

 

これが前提になりますよ、と殊更に説明を受けました。

 

正直無理があります。

 

役員報酬の削減は、程度の問題こそありますが貸し手が歩み寄りをしてくれるのだから、借り手もできる範囲で、ということで理解はできます。しかし、退任して会社から去る、というのはどうなのでしょう?

 

社長は会社の顔であり、銀行から言われたから辞めます、なんてことしたら、その後会社は果たして経営ができるでしょうか?また、経営者は退任したからといって会社から出ていく、なんて社長の生活保護の観点からいって一方的に過ぎないでしょうかこれらは、上場企業に対してならば分かりますが中小企業の場合は画一的に言われても困るのです。

 

DDSであれ、他の何らかの手法であれ、目的が「中小企業の再生」であるのならば社長を排除することが逆効果になることも十分想定されるわけでして、

 

社長の再生への長年の努力をメインバンクは見てくれていないのだろうか?あんまりではないか?ガイドラインも変わるのに、、、と考えたためメインバンクの頭越しにはなってしまいますが協議会の方へ直接意向の確認に伺いました。すると、協議会の方からは真逆のコメントをいただいたのです。

 

  • 役員報酬の削減は要検討事項だが、社長や現役員が十分に生活できる金額は確保されるべき
  • 退任についても、協議会側からはいつまでに、という要求はしない方向
  • 退任後も、報酬金額や役職については議論の余地はあるが、会社に残ること自体に問題はない
  • 余裕資産の会社投下については、既にやられていると認識しているため、今の所それ以上は求めない

銀行の主張は無視できないが、鵜呑みにし過ぎない

あまりにも反対過ぎて、苦笑いせざるを得ないのですが(しかし、本当にホッとしました)協議会側はガイドラインの改正に対して十分な準備をしていたということなのでしょう。

 

新ガイドライン上では「感染症などの影響に配慮しながら、必ずしも経営者の退任を求めない」と明記されています。もちろん、この会社様が従前より行っていた改善努力が評価されてのことであるのは言うまでもありませんが。

 

一方、銀行側ではガイドラインに対する整備がまだこれからなのかもしれません。

 

重要なことは、ガイドラインの経営者責任の履行に対してゼロでいいとは言えませんが、目的が「会社が将来的に再生を実現すること」「経営者の生活を保護すること」であることに照らして、実情に即した運用をすることではないでしょうか。

 

銀行はどうしても転勤が多く、担当が替わっていくことで融資先企業への対応に一貫性が失われがちです(これには銀行側のやむを得ない事情もあるのですが今回は割愛します)。さらに本件のように、制度の改正への対応の端境期では対応がマチマチになることもあるのでしょう。

 

改めて銀行との交渉においては必ずしも、銀行がいつも正しいわけではない辛抱強く、関係者との対話を続けていくことが大事だとご認識いただければ幸いです。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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