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深刻な中小企業の人材難と業務改善の最大の壁

「売上を拡大させる計画にしたいことは理解しますが、社員の確保ができるのかな、、、」と思うことが増えっぱなしです。

 

株式会社パーソル総合研究所の発表によれば、2030年には7000万人以上の労働需要に対して、供給は6400万人程しか見込まれず、差引で600万人以上の人手不足になることが予測されています。

 

さらに、若年労働者はより大きな企業での就業を望む傾向があり高齢者においても福利厚生面でも大企業が有利なため、人手不足は中小企業によりしわ寄せが来ることで中小企業にとっては一層厳しい環境になります。

 

2030年を待つまでもなく、すでに深刻な問題になっていることは経営者様の大半が認識されていることと思います、売上を確保したいのに、労働力が足りない、これは、今日の中小企業の抱える大きな課題です。

既存対応の延長による解決は望めない

  • 今後企業の倒産が増えることで、労働力が市場に出てくる?
  • 女性や高齢者等の社会進出がより活性化されれば緩和される?
  • 扶養制度が変わることで、パートの方がより長時間働ける?

 

等は、それぞれ政策として問題の緩和要因にはなりそうですが人手不足が解消できる程のインパクトになるかと言われると今のところは難しそうです。残念ながら、政策によって待っていれば解決される、という考えは持たずに取り組む必要があります。

 

あまり気持ちのいい話ではありませんが、政府としては長期的な日本の人口・経済力の縮小を前提として「今無理の労働力確保にコストを割いても、そのうち必要な労働力は少なくなるから」と、短期的に大きなテコ入れをすることは無駄だと考えているような節を感じます。政府に期待することはちょっと難しく、企業側で現状を打破しなくてはならないのです。

確保できる人の範囲で事業を構築する

よって、手法とすれば

 

  • 少ない人数でのオペレーションをするつまり、人の生産性を上げる
  • 採用費や報酬等、人に対してよりコストをかけることで人数を確保する

 

の2つを考慮しなくてはなりません。

 

実施されたことのある方ならば身に覚えがあるのではと思いますが、ハローワークでの募集等の安価な方法では募集企業の望む人材を採用することが困難になっているのが現状です。

 

募集をかけても応募が殆どなく、あってもマッチングとして合わない、仕方ないと考えて採用してもマッチングとして無理をしているから退職率が非常に高く、すぐにまた募集をかけることになる、、、という悪循環に陥ります。

 

そのため、私のお手伝いしている企業では人材派遣会社の利用をして人の確保をすることが増えました。コストは増えますが、変動費として捉えられること、戦力化できる率が高いことから、今のところ高コストでも損益悪化要因とはなっていない、と各企業で判断されています。

 

一方、人の確保については最低限度以上見込まずにその人数で確保可能な売上から事業収益を出していくことを想定すること、可能ならばDX等の導入で管理部門のコストを下げていくことを検討していくことになります。

 

しかし、DXの導入等の業務改革は、想定以上に上手くいきません。機能すれば確実に企業の固定費を削減できる業務改善がどうして失敗してしまうのか?

業務改善がうまくいかない

「業務効率を上げ利益率を改善する取組をしているが思うようにいかず、失敗してしまった」というご相談が増えました。

 

生産性の更なる改善が問われるようになって随分と時間が経ってきました。増える原価や経費に対抗していくためには利益率を上げる必要があり、売上の拡大に限界がある以上生産性の向上に焦点が当たることはもちろんのことです。

 

が、いざ手をつけると上手くいかない。

 

経営という見地では事業の統廃合、対お客さんであれば値上げや配送の集約等の合理化、内部的にはDX等を踏まえた内部プロセスの合理化や原価の見直しによって生産性を見直していくのが常道ですが、やってみたけど上手くいなかなかった、というのは驚くほど多くの中小企業で起こっている事実です。

社長と社員の違いが出やすい

生産性の改善は会社が必要な利益を上げていくために必要、といえば反対する人はほとんどいないでしょう。しかし、会社の利益を優先で捉えられる経営者と自身の給与を先に考える社員では、そもそもスタートラインが異なります。

 

はっきり言ってしまえば、業務改善、生産性向上というのはそれだけで考えると、社員にとっては

 

  • 仕事のやり方が変わる
  • 一人当たりの業務負担が増える

 

ため、意識的・無意識的かはともかくやりたくないもの、という認識からはじまります。特に分かりやすい例としては、現在テレビCM等でもよく放映されている「請求書の電子化」については、導入を検討する企業での反対は会社の経理部門から発生することが大抵なのです。

 

経理担当者にとって請求書を紙から電子に移行することは

 

・仕事のやり方が変わり、よりITに頼ることになる

新たな業務を覚えなくてはならない

 

・業務が合理化されれば自分の仕事が減るかもしれない

つまり、会社から要らないと言われるかもしれない

 

と解釈されることで、生産性の向上に属するものは、自身の敵、とされてしまうのです。

業務改善できた会社は何をした?

従って、生産性の向上にあたっては社員からは反対がでやすい・障害となりやすいことを踏まえ合理化される部門への人的な配慮や事前の摺合せが必須です。

 

私のお手伝いしている会社様では、事前に

 

  • (合理化により必要人員が減る部門に対して)将来的に他部門の業務も受けてもらうことを打診
  • 生産性の改善による利益向上額の一部を賞与として還元
  • 事業全体の見直しと合わせて、人材配置を全面的に変更

 

するなどしています。単純に業務だけを取り出して合理化するよりも事業全体の再構築の中で、人材配置をも含めて対応した方がより大掛かりにはなりますが受け入れてもらいやすいようです。

 

同じ利益であるならば、仕事量が少ない方が経営としてはよいことは言うまでもありません、ですが実施にあたっては社員の一部、もしくは全体に影響があるので社員自身の利便性やそれぞれの立場に配慮しながら進めなくてはならない、ということなのでしょう。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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