コラム

  1. ホーム
  2. > コラム
  3. > M&A(事業承継)
  4. > M&Aとは?言い換えで理解する中小企業買収・事業承継ガイド

M&Aとは?言い換えで理解する中小企業買収・事業承継ガイド

M&Aとは何か?言葉の印象を変えてみよう

M&Aとは、英語のmergers(合併) and acquisitions(買収)の略です。なんか少し大袈裟な感じがしますよね。

 

M&Aをニュース・新聞で聞く機会が多いとは思いますが、報道されるのは数百億、数千億円、数兆円という途方も無い数字のM&Aですよね。M&Aと聞いて、少し大袈裟な感じを抱くのはそのせいだと思います。

 

しかし、実際には、

 

・1円での譲渡

・数十万での譲渡

・数百万円での譲渡

 

など、小さなM&Aも非常に多く実施されています。勿論、そのような小さなM&Aは弊社でもお取り扱い、成約事例は沢山ございます。

 

数千”億”であろうと、数百”万”であろうと、売り手側が非上場企業である場合は、基本的には、やることは同じです。しかも、実際に多く行われていて一般的になりつつあるのに、名称が少し大袈裟で違和感があるという事象は珍しいのではないでしょうか。

中小企業にとってのM&Aの現実

M&Aといえば、企業の買収や合併などといった企業再編手法の総称です。企業の(一部の)事業や営業権等の資産を譲渡する「事業譲渡」を指すことが多く、日本国内においても、2000年前後より年間1,000件を超えここ1~2年では、公表されているものだけでも年間2,000件以上、非公表を含めれば、実態ではその数倍と言われています。

 

※M&Aというのは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略称

 

以前は年商で数十億円以上の規模を持つ企業が行うもの、というイメージでしたが、既に規模は問題ではなくなっています、取扱いを行う専門家も随分と増えました。私自身、再生への取組みとして、ここ2年でゼロ円~数百万円という譲渡価格設定での事業譲渡を4件行っています。

 

本当はM&Aニーズがある、或いはM&Aしか選択肢がない売り手様もこの名称が大袈裟な故足枷になり、売却の機会を逃すということも実際にはあると思います。

M&Aを分かりやすく言い換えると

そこで、私が特に、中小企業M&Aの売り手側オーナー様にM&Aとは?を説明する場合、次のような別表現をして、より理解をしていただくように務めています。

 

M&A=mergers & acquisitions を言い換えると…

①自社内で解決できない経営課題と第三者(社)と連携して解決すること

売り手側オーナーの立場に立つと、例えば、ご自身が引退しようと考えた時に、ご子息様はじめ親族に会社を譲渡できる人材がいない場合(譲渡できる人材がいる場合は、M&Aでなく相続の話)は、第三者(社)に譲渡する必要があります。

 

買い手側に立つと、中長期的なゴールを達成するのに必要なピースが自社内で生成出来ない場合は、第三者(社)に求めることになります。

②事業・企業を(売り手側オーナー様が気に入った)第三者に友好的に譲渡・承継すること

読んで字の如しで、一部の事業や会社全体を”任せたい”と思える第三者(社)に譲ることです。中小企業のM&Aでは、通常、売り手側と買い手側は、何度も面談をし、様々なことで合意して初めて契約調印となります。

 

①にしても、②にしても、いくつか目的達成するために採り得る経営戦略の1つということです。

 

そう、M&Aは特別なものではなく、皆様が日々考えている経営戦略の1つなのです。

事業承継の構成要素

事業承継のことを考え始めると、きりがないとある経営者が言われていました。それもそのはずです。検討事項が現在の経営課題に加算され、かつ、経営者の頭にある事柄を利害関係者も含めて見える化する必要があるからです。

事業承継とは何か

事業承継は単に「株式の承継」+「代表者の交代」と考えられることがあり、事業承継対策といっても、例えば親族内承継であれば一時的に利益を減らして株価を下げて贈与すればよい、M&Aであれば株価の評価を高め売却益を確保すればよいといった手法の議論に終始してしまう傾向があることが指摘されています。

 

しかし、事業承継とは文字通り「事業」そのものを「承継」する取組であり、親族内承継においても事業承継後に後継者が安定した経営を継続していくために、現経営者が培ってきたあらゆる経営資源を承継する必要があります。

承継すべき3つの経営資源

後継者に承継すべき経営資源は多岐にわたりますが、「人(経営)」「資産」「知的資産」の3要素に大別されます。

 

人(経営)とは、

経営権・後継者選定・後継者との対話・後継者教育などです。

 

資産とは、

株式・事業用資産(設備・不動産等)・資金(運転・借入金等)・許認可などです。

 

知的資産とは、

経営理念・経営者の信用・取引先との人脈・従業員の技術・顧客情報などです。

 

円滑な事業承継を実現するためには、上記の各経営資源を適切に後継者に承継させていく必要があります。株式の承継も事業承継にあたっての重要な事項ではありますが、事業承継の取組全体の中では資産の承継の一部に過ぎません。

事業譲渡という選択肢

社長にとってみれば、自分自身の一部ともいえる会社を第三者に委ねるというのは、気持ちの引っ掛かりがあるのが当然です。

 

「自分が経営から逃げたように思えて(見えて)しまうから、本当にM&Aはいいのだろうか…」

 

と相談された社長もいらっしゃいました。しかし、逃げだなんてとんでもない、真っ当な手法の一つです。

経営者の責任を果たすM&A

経営者の責任というのを「事業」「雇用」「生活」を必要なだけ将来に残していくことだ、と考えれば

 

・後継者がいない

・自社努力では将来的に利益を生むのが困難

・債務超過の脱却が超長期に渡る

 

と判断される場合、事業譲渡によってより確実に「事業そのもの」は存続することができます。また、事業譲渡にあたって該当する社員の雇用を譲渡先に保障してもらうことで、雇用を継続できます。

 

無理に続行して事業継続不能になるよりも、はるかによいことです。事業と雇用を続ける道をつくることによって、経営者としての責任を果たすことができる、というわけです。

実際の成功事例

私の案件の場合、出店していた小売店の地域に大手ブランドの参入が決定したことで自社での将来の売上が苦しくなることが予想されたことから

 

・その地域に出店する意欲がある

・他のブランドを取扱可能で、進出してくるブランドに対抗できる

・その店に勤務する社員を雇用してくれる

・のれん代の他、在庫の買取をしてくれる

 

先に提案を持込み、実行にこぎつけることができました。結果、将来の赤字を回避しつつ、社員の雇用を守り在庫買取資金も含めると数千万円のキャッシュを手にして資金繰りも改善させたのです。

M&A・事業譲渡のメリット

1. 相続・承継時リスクやコストの回避・削減

一部譲渡であっても会社資産を軽量化できることで将来的な相続時のコストを抑える手法をとることができます。

 

また、買収側にとっても、例えば「純資産が大きすぎて、このままでは相続(承継)時の税金があまりにも大きい」場合、あえて債務超過の企業を買収することで自社株評価を下げる動きをとることもできます(当然、利益は出せる状態でないと困りますが)。

 

税制もからむので案件毎に状況が異なりますが、企業の純資産が充分大きい、もしくは逆に債務超過だからといって事業譲渡を検討する必要がない、ということではない

 

⇒どんな状態の企業でも検討余地はある

 

とご理解下さい。

2. 経営者への慰労や保障

渡す側の経営者にとっては、譲渡金が債務の返済や退職慰労金の原資となるため、その後の生活が確保されます。中小企業の社長の多くは将来現役と考える方が多いため馴染みが薄いかもしれませんが、経営としての責任は早めに引き継いでしまった上で、余裕のある状態で現場の教育等を行っていただくのは一向に構わないと思うのですが、いかがでしょうか?

まとめ:早めの準備が成功のカギ

このように事業承継に向けた取組において検討すべき事項は、多面的であり大変な作業のように思われますが、「事業」そのものを「承継」する取組を中心に、取り組むべき課題を明確にすれば、日々の事業運営の中で取り組むことができることも多いです。

 

しかし現実、事業承継には多くの時間を要することから、円滑な事業承継には不可欠であると頭では分かっていても、十分な準備期間を確保し、これらの作業を着実に進めていない場合もあります。

 

準備ができていないと感じた場合、ここで一度振り返っていただく機会にしていただければと思います。決して事業承継の準備において、早すぎることはありません。

 

現状の世の中の仕組みはできれば社長は60代の内に承継を済ませてしまう方が税制でも、さらには銀行対策でも、有利になるものです。

 

M&Aを言い換えてみましたが、いかがでしょうか?少し、遠い大企業だけのお話ではないと感じていただけましたでしょうか。

 

エクステンドでは、経営者様からの無料相談を受け付けています。M&A・事業承継・事業譲渡をご検討中の方、後継者問題でお悩みの方はお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。M&A・事業承継の専門コンサルタントが親身になって対応致します。

この記事の著者

  • 松原 良太

    ・青山学院大学経済学部 卒業
    ・オーストラリアボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA)修了。
    ・財団法人日本M&Aアドバイザー協会 代表理事
    ・株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
    ・AMD capital management 株式会社 代表取締役
    ・株式会社ビザイン・ファミリー・アドバイザーズ 取締役
    ・近著(共著):この1冊でわかる-M-A実務のプロセスとポイント

金融機関紹介実績No1
支援機関
contents
  • 事業再生
  • M&A
  • よくある質問
  • 実際の事例集
  • オンラインショップ
  • 会社概要
無料相談のお申し込み

一人で悩む経営者へ
後悔しない決断を一緒に見つけましょう