信用保証協会のコロナ融資は借り換えできる?コロナ借換保証終了後に使える制度【2026年最新】
コロナ禍で多くの中小企業が利用した、いわゆる「ゼロゼロ融資」。その据置期間が明け、元金返済のピークを迎えるなかで、「毎月の返済が重い」「保証協会付きの融資をまとめて借り換えたい」という相談が急増しています。
民間金融機関(信用保証協会付き)のコロナ融資の返済負担を軽減する手段として、かつては「コロナ借換保証」がありました。しかしコロナ借換保証は2024年6月末で申込受付を終了しています。本記事では、信用保証協会の仕組みの基本から、終了した制度の位置づけ、そして現在も使える借り換え・返済負担軽減の制度(2026年最新)までを、認定支援機関の財務コンサルタントの視点で整理して解説します。
日本政策金融公庫(公庫)から直接借りたコロナ融資の借り換えについては、日本政策金融公庫の借り換え完全ガイドで詳しく解説しています。本記事は民間金融機関・信用保証協会ルートの解説です。
信用保証協会とは|役割と仕組み
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき、中小企業・小規模事業者の金融の円滑化のために設立された公的機関です。全国47都道府県と4市(横浜市・川崎市・名古屋市・岐阜市)に設置されています。
信用保証協会の役割
中小企業や小規模事業者は、大企業に比べて経営リスクが大きいと見られ、希望する額の融資を受けにくいことがあります。そこで公的機関である信用保証協会が保証人となることで、金融機関から融資を受けやすくなります。信用保証協会は、中小企業と金融機関を結ぶ「懸け橋」の役割を果たしているのです。
信用保証制度の仕組み(代位弁済とは)
信用保証協会は、事業者や金融機関からの保証申込を受けると、事業内容などを審査して保証の可否を決定します。保証が承諾されると金融機関が融資を実行します。もし事業者の返済が滞った場合、信用保証協会が事業者に代わって金融機関へ返済(代位弁済)します。その後、事業者は金融機関ではなく信用保証協会に返済していくことになります。
この仕組みがあるため金融機関は安心して融資でき、その対価として事業者は信用保証料を支払います。保証料率は事業者の経営状況に応じて異なります。
信用保証協会を使った「借り換え」の基本
保証付き融資の借り換えとは、既存の借入を、信用保証協会の保証を付けた新たな融資に組み替えることで、返済期間の延長・複数借入の一本化・返済負担の軽減などを図る手法です。ゼロゼロ融資のように複数の借入がある場合、まとめ直すことで資金繰りの管理が楽になります。
コロナ借換保証は2024年6月末で終了しています
コロナ借換保証とはどんな制度だったか
コロナ借換保証は、2022年10月の総合経済対策を踏まえ、2023年1月10日から始まった制度です。民間ゼロゼロ融資の返済猶予の満了が2023年7月〜2024年春に集中する見込みだったことに備え、コロナ融資を受けた事業者の返済負担を軽減し、新たな資金需要にも対応することを目的としていました。主な内容は次のとおりでした。
- 民間ゼロゼロ融資の上限(6,000万円)を超える1億円までを保証
- 本来0.85%程度の保証料を、補助により0.2%まで低減
- 「伴走支援特別保証制度」を活用した制度のため、金融機関の伴走支援と経営行動計画書の作成が必要
制度としては役割を終えていますが、「かつてこうした借換保証があった」という前提を知っておくと、後継制度の理解がスムーズになります。
コロナ借換保証の“終了後”に使える借り換え・返済負担軽減の制度【2026年最新】
コロナ借換保証は終了しましたが、返済負担の軽減や既往債務の借り換えに使える制度は現在も用意されています。国の資金繰り支援は、単なる借換から「経営改善・事業再生とセットの支援」へと軸足が移っているのが特徴です。
① 経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)
コロナ借換保証や「感染症対応型」の経営改善サポート保証(2025年3月末で終了)の実質的な後継にあたる制度です。事業再生に取り組む中小企業の資金調達を、信用保証協会が別枠で保証します。
| 取扱期限 | 2025年3月14日〜2027年3月31日(時限措置) |
|---|---|
| 保証限度額 | 2億8,000万円(一般保証とは別枠) |
| 保証割合 | 責任共有(80%)。ただし100%保証、およびコロナ禍のセーフティネット保証5号からの借換については100%保証 |
| 保証料率 | 国の補助により0.2%(補助前は原則0.8%または1.0%) |
| 主な要件 | 経営サポート会議・中小企業活性化協議会・認定支援機関等の支援で作成した事業再生計画(全債権者の合意が必要)に基づいて事業再生を行うこと |
単純な借り換えではなく、事業再生計画とセットで使う制度である点がポイントです。計画策定には認定支援機関の関与が欠かせません。
② モニタリング強化型特別保証制度
2026年に新設された制度で、取扱期限は2029年3月末まで(時限措置)。月次で財務状況・資金繰り状況を金融機関と信用保証協会に報告することで、経営状況の変化の予兆を早期に把握し、支援につなげる仕組みです。事業再生の一歩手前の「予兆段階」や、前向きな成長投資を検討する企業に向いています。
③ 小口零細企業保証制度(100%保証)での借り換え
信用保証協会付きで民間金融機関からコロナ融資を借りている小規模事業者の場合、小口零細企業保証制度でコロナ融資を借り換え、据置期間を設定することで、一定期間の返済負担を軽減する方法があります。100%保証で、小規模事業者が利用しやすい常設の制度です。
④ セーフティネット保証5号 など
指定業種に該当し、売上高が一定以上減少している場合は、一般保証とは別枠のセーフティネット保証5号を活用できる場合があります。自社が対象かどうかは、業種指定の状況や売上要件によって変わります。
公庫から直接受けたコロナ融資については、公庫側の「危機対応後経営安定資金(セーフティネット貸付)」や資本性劣後ローンが受け皿になります。詳しくは日本政策金融公庫の借り換え完全ガイドをご覧ください。
制度を使う前に押さえておきたい注意点
- 借り換えは「新規融資」を伴い、借入総額はいったん増える:目の前の返済は楽になっても、返済義務そのものがなくなるわけではありません。
- 審査があり、通らないこともある:保証協会の審査に落ちるケースもあります(信用保証協会の審査に落ちた理由と通過のポイントもあわせてご確認ください)。
- 現行制度の多くは「事業再生計画」「全債権者の合意」が前提:単純な借換ではなく、経営改善への取り組みとセットで利用する設計になっています。
- 取扱期限・要件は変更される:本記事の内容は執筆時点のものです。実際の利用時は、金融機関・信用保証協会・専門家に最新情報をご確認ください。
保証協会の借り換え・審査を成功させる3つのポイント
事業再生コンサルタントとしての支援経験から、審査を通すうえで重要な3点を挙げます。
1. 事業計画書・資金繰り表を精緻に準備する
現行制度の多くは事業再生計画を前提とします。資金繰り悪化の原因分析、現実的な改善策、最低1年(できれば3年)の月次資金繰り表を用意しましょう。
2. 税金・社会保険料の滞納を解消しておく
滞納は審査で大きなマイナスです。申込前に解消するか、難しい場合は分割納付の相談・計画を立て、納税証明書を取得しておきます。
3. 認定支援機関を活用する
事業再生計画の策定や全債権者との合意形成、金融機関・保証協会との調整は専門性が高い領域です。認定経営革新等支援機関のサポートを受けることで、制度活用の成功率が高まります。
よくある質問(FAQ)
Q. コロナ借換保証はまだ利用できますか?
A. できません。コロナ借換保証は2024年6月末で申込受付を終了しています。現在は、経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)や小口零細企業保証制度などが借り換え・返済負担軽減の選択肢となります。
Q. 民間のコロナ融資を日本政策金融公庫に借り換えできますか?
A. 原則としてできません。公庫の借り換え制度の対象は公庫の融資に限られます。民間借入は信用保証協会の制度で対応します。公庫融資についてはこちらの記事をご覧ください。
Q. 100%保証で借り換えできますか?
A. 小口零細企業保証制度は100%保証です。また経営改善サポート保証(強化型)でも、コロナ禍のセーフティネット保証5号からの借換については100%保証が適用されます。
Q. 事業再生計画は自社だけで作れますか?
A. 作成自体は可能ですが、現行制度では経営サポート会議・中小企業活性化協議会・認定支援機関などの支援を受けて策定した計画であることが要件になります。専門家の関与が実質的に必要です。
まとめ|借り換えは「経営を立て直すスタートライン」
民間金融機関(信用保証協会付き)のコロナ融資は、かつてのコロナ借換保証が終了した今も、経営改善サポート保証(強化型)や小口零細企業保証制度などを使って借り換え・返済負担の軽減を図れる可能性があります。ただし、現行制度の多くは事業再生計画とセットであり、借り換えはあくまで経営を立て直すためのスタートラインです。新たな融資を加えた借入は、いずれまた返済が必要になります。目先の返済問題だけでなく、収益を上げるための事業計画づくりまで見据えることが重要です。
株式会社エクステンドは認定経営革新等支援機関として、制度の選定から事業再生計画の策定、金融機関・信用保証協会との調整、そして根本的な事業回復までを一貫して支援しています。コロナ融資の返済や資金繰りにお悩みでしたら、一人で抱え込まず、まずはエクステンドにご相談ください。
※本記事の制度内容は執筆時点の情報に基づきます。各制度は取扱期限や要件が変更される場合があるため、実際の利用にあたっては金融機関・信用保証協会の窓口、または専門家に最新情報をご確認ください。
監修:株式会社エクステンド(認定経営革新等支援機関)財務コンサルタント







