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信用保証協会保証付融資においての「見合い」と連帯保証人の問題

「見合い」とは?

信用保証協会保証付融資においての「見合い」とは

 

「担保として、不動産であれば(根)抵当権を銀行が設定しているが、もしその不動産を売却処分し、借入の返済に充当する場合に、信用保証協会が優先的に(もしくは劣後して)その充当金を受け取ることができる、と“銀行と信用保証協会との間で決めている”もの」

 

を意味します。これだけだと分かりにくいので、「見合い」を別の表現でいうと、

 

「銀行に差し出したはずの担保の実質的な権利が、不動産登記簿に記載されることなく、しかし実際は銀行ではなく信用保証協会のものになっていること」となります。

 

この最大の問題点は、

 

「銀行と信用保証協会、借り手の話合いによって本来は決まるはずのものであるが、それが実際には借り手に伝わっていない場合がある」

 

というところにあります。つまり、経営者の方が知らない「見合い」が存在する場合、企業側は「自社は信用保証協会の無担保枠で借りている。一方で銀行には不動産担保を差し出しており、プロパーの有担保では、まだ借入余地が残っているはず」と思っているのに、実際はそれが「見合い」として実質、信用保証協会の担保となっており、その担保余力がなくなっている→借りたい時に借りられなくなっている、という可能性があるのです。

 

これは、大半の銀行の稟議システムが、「見合い」の存在を明確に表示しにくい状態であることが遠因となっており、融資担当者すら問題が発覚するまで気づいていなかったことが、実例としてありました。

 

実務上、借入申込に対して信用保証協会からの保証決定がなされた場合、借り手である中小企業へは、銀行経由で保証決定の通知(東京信用保証協会の場合、たいてい緑がかった少し厚い紙のもの)が交付されますが、銀行へも同様の通知がされています。

 

銀行への保証決定通知においては、「見合い」条件の場合にはその条件(金額や、優先・劣後の区分)が記載されます。「見合い」の条件を知るには、銀行にその通知を確認してもらうか、信用保証協会に「弊社の借入に、見合いをしているものはありますか?」と聞くのが、よいでしょう。

 

少しでも疑念を感じた方は、一度、確認してみて下さい。

 

※優先見合い・劣後見合いについて
「見合い」には、優先見合いと劣後見合いの二通りが存在しますので、一例を挙げて説明をします。見合いの抵当権金額が2000万円として、500万円の優先見合い条件がなされていた場合、その売却金額が1500万円であれば、保証協会がまず500万円を回収、それから銀行が1000万円を受け取る、となります。同じ条件で劣後見合いの場合は逆に銀行が1500万円を回収することになり、この場合は保証協会の回収金額はゼロになります。

信用保証協会は「連帯保証人の脱退」をしていない

もう一点、知られているようで、知られていない点があります。例えばこのような事例です。

 

現社長が、長年の部下に社長を譲る

社長を退く際に銀行と交渉して、連帯保証人を脱退させてもらい、以降新社長が連帯保証人となった・・・と思い込んでいた

その後、前社長は全く業務から離れ、ゆったり生活をしていたところで、信用保証協会から突然「債務者である会社が返済不能になったので、連帯保証人として返済して下さい」と通知が来る

 

これは実際にあったことです。なぜ、このようなことが起こるのか。要因を記していきます。

連帯保証契約書の有効範囲という問題

銀行から融資を受ける際には、例えば証書貸付であれば、「金銭消費貸借契約書」に、借入人である会社の印を押していることでしょう。実際に押印されたことのある方にとってはおなじみかもしれませんが、この際、多くの場合は

 

「プロパーでの借入の場合は、契約証書上の連帯保証人欄の記入はしないが、信用保証協会保証付融資の場合には、必ず一枚ごとに連帯保証人の記入・押印を行っている」

 

ことと思います。これは、プロパーでの借入の場合には、別途銀行宛に差し出している「連帯保証契約書」で、すでに連帯保証を入れているため、個別の契約書での記載を省略しています。

 

一方、信用保証協会保証付融資の場合には、それとは別に、「金銭消費貸借契約書」一枚一枚全てに、連帯保証人として記入・押印をしています。

 

銀行宛に差し出している「連帯保証契約書」については銀行と交渉し、連帯保証契約が解除された思っていても、信用保証協会保証付融資において「金銭消費貸借契約書」それぞれ個別に記載した分については、連帯保証がそのまま有効となったままになっているのです。

 

この場合、社長交代後に融資実行されたものについては、信用保証協会自体が原則、新社長の連帯保証を要求しますので、前社長の連帯保証はついてきませんが、社長交代時までに融資実行され、融資残高がまだ残っているものについては、その融資を完済するまで、連帯保証人としての責務が残り続けることになります。

 

当然、これを避けようとすれば、信用保証協会保証付融資の既実行分についても連帯保証を外してほしい、という要望を出したくもなります。しかし、それは困難であります。

信用保証協会の規定による問題

なぜ困難か。それは、信用保証協会は「社長(代表取締役)勇退による連帯保証人の脱退」という規定を、そもそも持っていないとされるためです。

 

正直なところ、

 

「いや、それは規定の方がおかしくはないだろうか?」

という気持ちにもなるのですが、実際に信用保証協会の方に直接聞いてみた際も、

「規定がなく、大変申し訳ないが取扱いのしようがない」

 

との回答でした。ただ、前社長の連帯保証がついた信用保証協会保証付融資を、「借換え」してその融資を完済した形にし、前社長の連帯保証を消すことは可能です。日本の中小企業でも、経営者の世代交代をスムーズに行うこと、承継へのニーズが高まっています。

 

どのような負債にどのような担保や保証人が付いていて、それを譲り渡していくのか。それには正確な状況把握と知識が欠かせません。この、連帯保証人の脱退に対する知識も念頭においた上で、将来的な承継について検討してみてください。

 

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