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事業譲渡も再生と承継の手法のうち

2014年4月7日号

事業譲渡も再生と承継の手法のうち


M&Aといえば、企業の買収や合併などといった
企業再編手法の総称です。
日本国内においても、2000年前後より発表件数で
年間1,000件を超えるようになり、リーマン・ショック以降も
おおむね年間1,500件が発生、ここ1年では2,000件を確実に
超えている、と言われています。



※M&Aというのは、
 Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略称です



この数値はあくまで発表されたリリースや事実を
調査会社が集計したものです。
大手や中堅企業が関わっているものは含まれるでしょうが
中小企業同士のM&Aは調査会社も追いきれないため
数値に反映されておらず、
実態ではこの数倍、とされています。



中小企業でのM&Aでは主に事業譲渡ということになります。
多くの専門家・コンサルタントが
手がけるようになり、譲渡価格についても以前と較べれば
お手軽な金額での取引も一般化してきたことから、
より現実的な手法となりました
(私自身、ここ数年でゼロ円~数百万円という譲渡価格設定での
事業譲渡を数回行っています)。



一方、社長にとってみれば、自分自身の一部ともいえる
会社を事業譲渡で第三者に委ねるというのは、
気持ちの上での引っ掛かりがあるのが当然です。



「自分が経営から逃げたように思えてしまうから、
 本当にM&Aはいいのか疑問が…」



と相談された社長もいらっしゃいました。
しかし、ほんの少し考え方を変えれば、
逃げだなんてとんでもない、真っ当な手法の一つです。


1.経営者の責任の履行ができる



経営者の責任というのを「事業」「雇用」「生活」を
必要なだけ将来に残していくことだ、と考えれば



・後継者がいない
・自社努力では将来的に利益を生むのが困難



と判断される場合、事業譲渡によって
より確実に「事業そのもの」を存続することができます。
また、事業譲渡にあたって該当する社員の雇用を
譲渡先に保障してもらうことで、雇用を継続できます。
無理に続行して最終的に店じまいするよりは、
ずっと良いことです。
事業と雇用を続ける道をつくることによって、
経営者としての責任を果たすことができる、というわけです。



私の案件の場合、出店していた小売店の地域に
大手ブランドの参入が決定したことで
自社での将来の売上が苦しくなることが予想されたことから
「その地域に出店する意欲がある」
「他のブランドを取扱可能で、
進出してくるブランドに対抗できる」
「その店に勤務する社員を雇用してくれる」
「のれん代の他、在庫の買取をしてくれる」
先に提案を持込み、実行にこぎつけることができました。
結果、将来の赤字要因を回避しつつ、社員の雇用を守り
在庫買取資金も含めると数千万円のキャッシュを手にして
資金繰りも改善させたのです。


2.相続・承継時リスクやコストの回避・削減



一部譲渡であっても会社資産を軽量化できることで
将来的な相続時のコストを抑える手法をとることが
できます。
また、買収側にとっても、例えば
「純資産が大きすぎて、このままでは相続(承継)時の
 税金があまりにも大きい」
場合、あえて債務超過の企業を買収することで
自社株評価を下げる動きをとることもできます
(当然、利益は出せる状態でないと困りますが)。



この問題は経営方針や税制がからむので
案件毎に状況が異なりますが、
企業の純資産が充分大きい、逆に債務超過だから
といって事業譲渡する必要がないということではない



⇒どんな状態の企業でも検討余地はある



とご理解下さい。


3.経営者への慰労や保障



渡す側の経営者にとっては、譲渡金が債務の返済や退職慰労金
の原資となるため、その後の生活が確保されます。



中小企業の社長の多くは将来現役と考える方が多いため
馴染みが薄いかもしれませんが、
経営としての責任は早めに引き継いでしまった上で、
余裕のある状態で現場の教育等を行っていただくのは
一向に構わないと思うのですが、いかがでしょうか?


今回はM&Aについて触れましたが、現状の世の中の仕組みは
できれば社長は60代の内に承継を済ませてしまう方が
税制でも金融機関対策でも、有利になりやすいものです。
その背景については、次回申し上げようと思います。

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