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融資申込みに必須の「資金使途」

融資を申し込むにあたって、銀行から必ず「資金使途」というものを聞かれます。

 

資金使途とは、銀行から融資を受けた資金の使い道、という意味で、融資を受けるには、資金の使い道を明らかにしなければならない、ということです。

 

資金使途には、大きく2つに分かれます。

 

・設備資金
・運転資金

 

です。設備資金として融資を申し込むにあたっては、必ず、その設備の見積書等、証拠書類が求められます。そして融資がおりたら、その資金を、支払先へすぐに振り込むことがが求められます。また、後日、融資によって手に入れた設備を、銀行員が確認に行くこともあります。

 

なぜなら、設備資金として出した融資を、別のものに使われないようにするためです。

 

一方、運転資金とは、事業において資金繰りを円滑にまわしていくための資金です。

 

運転資金は、資金繰りに使われるための資金なので、何に使うか、証拠書類を出すことはできません。そのため、運転資金として融資を受けたい場合は、その旨を銀行に伝えるだけでよいことになります。将来6ヶ月〜1年ぐらいの予定資金繰り表を作り、融資を受けるとどう資金繰りがまわるか、銀行に伝えると、審査においては多少、有利になります。

 

しかし実際は、運転資金の融資といっても、「ハネ資金」として融資が必要な場合が多いのです。

 

ハネ資金とは銀行用語ですが、キャッシュフロー内で既存の融資の返済ができない場合、返済が進むにつれ資金は減少していくのでそれを補てんするための資金、のことを言います。

 

つまりハネ資金とは、既存の融資を返済していくための資金ということになりますが、まさか「既存の融資を返済していくために融資を受けたい」とは言えませんので、運転資金として融資を受けたい、と銀行に伝えるのです。

 

また、運転資金といっても、その資金の支払先が決まっている場合もあります。

 

例えば、建設業によく見られる、工事引当の資金。

 

工事の、外注費や材料費の支払いが先行し、入金が後になる場合、企業の資金繰りは大きな負担になります。そのため、工事の発注書や契約書などを証拠書類として、入金予定日に一括返済をすることを約束して、融資を受けます。

 

例えば、季節ごとに売上の増減が激しい業種を対象とした、季節資金。

 

例えば衣服製造業で、冬のシーズンに向け夏のうちに衣服を製造し、在庫として蓄えておく、このような場合には夏の時期にいろいろな支払いが先行しますが、その時期に融資を受けて、冬のシーズンに売上を上げて資金を回収し、それを返済にあてます。短期の融資となります。

 

また、賞与資金や納税資金として、融資を受けることもあります。

 

これらは全て運転資金の範ちゅうですが、何に使うかが明確なので、証拠資料を出すことができます。工事引当の資金であれば発注書や契約書、季節資金であれば製品や商品の製造・仕入→販売計画や昨年の実績、賞与資金であれば賞与支給予定の計算書、納税資金であれば税理士から出される納税予定などです。

 

単なる運転資金として融資を申し込むと、証拠資料は必要ありませんが、工事引当の資金や季節資金、賞与資金・納税資金など、資金使途をしぼった運転資金として融資を申し込むと、証拠資料を求められます。設備資金が証拠資料を求められることと同じことです。

 

とすると、単なる運転資金として融資を申し込んだ方が面倒くさくなくてよいのでは、ということになりますが、資金使途をしぼった運転資金として融資を申し込むと、審査が有利になるのです。

 

なぜなら、資金の使い道がこの場合はっきりしているので、銀行としては融資を出しやすいのです。設備資金も同じです。一方、銀行に伝えた資金の使い道どおりに、支払いにあてなければならない、という制約もあります。設備資金であれば、融資が出たその場で支払先に振込を求められますから、不正のしようがありません。

 

しかし、資金使途をしぼった運転資金であれば、そうもいきません。

 

例えば、工事引当の資金。外注費や材料費など、支払先は多数であり、また支払時期も工事の進捗状況に応じてまちまちなので、銀行もいちいち、監視できないのです。

 

そこで、不正が働きます。工事引当の資金は、その工事のための支払いにあてなければならないのですが、資金繰りの中でごちゃごちゃになり、過去の未払分にあてられてしまうことが多くなります。

 

そうすると、工事入金があって一括返済をしなければならないのを、返済しなければならない銀行とは別の銀行に入金になるようにして、その資金は一括返済にあてず、他の支払いにあてていく、という不正が働くことになります。

 

これは、銀行との約束違反であり「不正」ですが、生き残っていかなければならない企業としては、そうも言っていられません。

 

そのため、工事代金の入金があったのにそれを別のことに使ってしまい、銀行には、工事がのびのびになって入金がまだない、ということを言って、一人で悩みを抱えてしまっている中小企業経営者が大勢いらっしゃいます。

 

私たちは、このような悩みを抱えている経営者からもご相談を受けることが多く、ではどうしたらよいか、解決策を提示しております。

 

やってはならないことは、高金利でお金を借りたり、無理に第三者保証人(家族や社員以外の保証人)を頼んでお金を借りたりして、銀行へ返済しようとすることです。そういうことを行うと、悪い方、悪い方へと進んでいってしまいます。

 

話はそれましたが、以下にまとめます。

 

  • 融資を申し込む際、資金使途は必ず聞かれる。
  • 資金使途には、大きく分けて設備資金・運転資金がある。
  • 運転資金には、資金使途がしぼられた運転資金と、単なる運転資金とがある。
  • 設備資金や資金使途がしぼられた運転資金は、証拠資料が求められ、支払先も限定されるが、審査は単なる運転資金の場合より有利となる。
  • 単なる運転資金として申込む際は、「運転資金として借りたい」と伝えるだけでよいが、資金繰り表などを添付するとよい。

 

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