銀行における自社分の貸倒引当金の積立額
金融庁が金融検査マニュアルの改定を
おこないました。
『「資本性借入金」の積極的活用について』
http://www.fsa.go.jp/news/23/ginkou/20111122-4.html
http://www.fsa.go.jp/common/about/shihonseikariirekin.pdf
債務の一部を資本性の高い「劣後ローン」に転換したり、
劣後ローンを新規に貸し付ける際の条件をマニュアルで明確化し、
金融機関に活用を促す。
劣後ローンは企業の資本と見なされ、負債額が目減りするため、
新規融資につながると期待する。
劣後ローンとは、よく「DDS」とも表現され、以前より、
お聞きになったこともあるかと思います。
国(金融庁)としても、なかなかこのスキームが活用されていない
ことを鑑み、この度、金融機関にとって条件緩和をおこなうことで、
少しでも活用されるようにしたいことがうかがえます。
この劣後ローンについて、信用金庫の方と最近話をしたことがあります。
坂 :「今回、金融庁から劣後ローンでの条件緩和がありましたが、
支店や本部としての取扱い環境に変化はみられますか?」
担当者:「まだ改定があったばかりなので、方針等はでていないが、
今回の条件緩和ですぐに対応が積極的になることはない
と思います」
坂 :「政府系金融機関や中小企業再生支援協議会での案件を
良く耳にしますが、その辺りはどうですか?」
担当者:「劣後ローンの仕組みは昔からあり、(中小企業再生支援)
協議会からそうした案件はないか、と案件紹介を求められ、
検討したこともありますが、 結局のところ、(貸倒れ)
引き当てが充分されていなければ、難しいです」
坂 :「協議会から求められ、検討された案件は
結局どうなったのですか?」
担当者:「(貸倒れ)引き当てを100%近くやっていた案件が
少ないこともあり、実施には至りませんでした」
今回の信用金庫の担当者の話からもわかるように、銀行としては、
自行の自己資本の問題は避けて通れません。規模が小さかったり、
体力的に厳しい銀行にとっては、貸倒引当金がかなり積まれた案件
でなければ採用は難しそうです。
逆に、体力ある信用金庫や、ある程度規模のある地方銀行や政府系
金融機関では、劣後ローンの実施可能性も出てくると思われます。
今回の、金融庁の金融検査マニュアル改定の話題を、金融機関担当者
等に振ることで、その銀行の取扱いの積極性や、自社の貸倒引当状況や
格付け状況を確認することもできるのではないのでしょうか?
常に銀行とのコミュニケーションをはかることを意識して
話題づくりをおこない、積極的に銀行の情報を入手してみてください。
執筆:坂将典