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当座預金保有企業が銀行からの信用を低下させる4つの行動

当座預金がある企業で、銀行からの信用を低下させる、4つの行動があります。

それは、次のとおりです。

 

  • 過振り(かぶり)
  • 当座預金残高不足
  • 先日付小切手
  • 依頼返却

 

それぞれについて説明します。

過振り

銀行が、当座預金の保有企業の依頼により、一時的に、当座預金の残高を超えた金額を支払いすることです。

 

過振りは、臨時の当座貸越ということになりますが、一方で、当座貸越枠が設定されていないところの臨時の当座貸越のため、銀行としては回収が困難となりやすく、銀行は、信用が高い企業や、定期預金を保有している企業、その企業が得意先などから逆に受け取った他店券(他の銀行や他の支店の小切手・手形)を預けてもらった企業に対してしか、過振りを認めません。

 

私が銀行員時代、よく「かぶった、かぶった」という掛け声を聞きましたが、その意味は、この過振りでした。過振りは、信用が高い企業などしか認められないといっても、銀行から見てこの過振りは、企業の信用を低下させる一つとなります。

当座預金残高不足

当座預金保有企業が振り出した小切手や手形が、支払銀行として指定されている銀行にまわってきて、それを支払いすると、当座預金が残高不足になってその小切手や手形が支払われなかった場合、それは不渡りとなります。

 

不渡りが6ヶ月以内に2回続くと、銀行取引停止処分となり、その企業は全ての銀行の当座預金が2年間使えず、また全ての銀行から融資が受けられなくなり、それは、企業が倒産するきっかけの一つとなります。

 

毎日、銀行の本部から支店に配布される資料に、その当日に当座預金残高がマイナスになる企業一覧があり、その日のうちに当座預金のマイナスが解消されないと不渡りになるため、担当の銀行員は朝の早いうちにその企業に電話し、入金してもらい、当座預金残高のマイナスを解消してもらうよう、企業に依頼します。

 

一日に何度も、当座預金がマイナスである企業の、当座預金の残高を確認しなければならないので、銀行員としては、当座預金がマイナスとなった企業への対応は大変な労力となります。

 

銀行が閉店となる15時までにマイナスを埋めてもらえないのであれば、銀行としてはなんとか不渡りを解消しようと、その企業の経営者や役員の個人預金がないか調べたり、もしくはその企業に訪問して現金を入金してもらったりするなど、銀行としては、企業の不渡りを防ぐために必死で動くものです。

 

なぜなら、不渡りとなったら、それがきっかけとなり企業は倒産、銀行から出している融資は貸倒れとなってしまうからです。

 

私が銀行員の時、当座預金がマイナスとなる企業は、いつも同じ企業でした。それを繰り返している企業は、不渡りにならなくても、銀行からの信用は低下します。

先日付小切手

支払いを先の日にする場合、普通は手形を振り出すのですが、当座預金があっても銀行に手形の振り出しが認められていない企業の場合、小切手に、振出日を先の日付にして、振り出す小切手。それを先日付小切手といいます。

 

小切手は、支払いを先に延ばすために使うものではない性質があるのに、小切手で先の日付を振出日としてあえて記載することにより、その振出日の前に、小切手を受け取った企業が銀行に持ち込まないように約束してもらい、手形と同様の、支払い日の先延ばし効果を、小切手振出企業がねらうものです。

 

手形の振り出しを認められていない企業は、まだ銀行からの信用が高くない企業であり、それにも関わらず先日付小切手を振り出そうとする企業は、銀行からは「そんなに資金繰りに困っているのか」という見方をされ、銀行からの信用は低くなります。

 

なお、小切手の振出日を先の日付にしても、小切手を受け取った企業から、銀行に取り立てに持ち込まれれば、その先の日付に関係なく、小切手振出企業は支払いをしなければなりません。

先日付小切手は、振出日を先の日付で書いておくことで、振出先企業に対し「この日までは小切手を銀行に持ち込まないでくれ」という抑止効果でしかないわけです。

依頼返却

手形を振り出した企業が、その手形の支払期日に支払いができない場合、手形を受け取った企業に依頼をし、その手形を返却してもらうことによって、手形の支払期日の先延ばし、つまり手形のジャンプを行います。

 

手形を受け取った企業が、その手形の支払日に銀行に取り立ててもらうため、手形を自分が取引している銀行に預けている場合、手形の受取り企業は、銀行に依頼して返却してもらわなければなりません。手形の支払銀行として指定されている銀行と、手形の受取り企業が手形を預けた銀行が同じ場合、その事実が、手形の支払銀行支払支店、つまり手形を振り出した企業が取引している支店にも分かってしまうことになります。

 

こういうことが行われると、手形を振り出した企業の、銀行からの信用は低下することになります。

 

特に、その手形が交換、つまり手形の支払銀行に取り立てのためまわっている時点で、手形を返却してもらうことを銀行用語で特に「依頼返却」と言い、ぎりぎりになって不渡りを防ぐための行動なので、その手形を振り出しながら、依頼返却によって不渡りを防いだ企業は、その銀行からの信用を大きく低下させることになります。

 

なお、依頼返却は、手形だけでなく小切手でも行われますが、小切手は振り出し後、それを受け取った企業がすぐに銀行に持ち込むのが通常であり、振り出し企業は自社の当座預金の動きを見ながら小切手を振り出すため、小切手の依頼返却が行われることは少なく、依頼返却は手形のケースがほどんどです。

当座預金を保有している企業が気を付けること

以上、当座預金を保有している企業に対し、銀行への信用を低くする、4つのケースを述べました。

 

いずれのケースも、よく起こるケースです。それぞれが、銀行からの信用を低下させるケースなので、このようなことが極力起きなくて済むよう、日頃の資金繰りを注意しておかなければなりません。

 

当座預金は、選ばれた企業しか開設できないものであり、その口座を開設すると、企業としては大変便利なものですが、一方、それに甘えた資金繰りもしてしまいがちなので、日頃の資金繰り管理をしっかり行うよう、気を付けてください。

 

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