連帯保証人は人柱 その2
連帯保証人は人柱についてです。会社が事業運営をしていく中で、切っても切り離すことができないのが、銀行との融資取引になると思います。
仮に、今は事業運営が好調で無借金経営をしていたとしても、会社の業績は日々変化しているので、いつ銀行から融資を受けるのか分かりません。
そして中小企業は銀行から融資を受ける時に、その殆どの会社の代表者が連帯保証人になります。ちなみに共同代表で複数名を商業時している場合は、原則、肩書が副社長・専務・常務であったとしても商業登記上が代表取締役になっているので、銀行は商業登記上の代表取締役の連帯保証を求めてきます。
保険パーソンの方は、連帯保証人が署名捺印をしている連帯保証債務が相続財産であることを知っている方が多いと思いますが、中小企業経営者は以外にもその事実を知りません。
私が事業再生の現場で面談相談を約450件、顧問先として今まで約50先の計500先の中小企業経営者と接見してきました。事業再生コンサルとして活動していますが、必ず連帯保証債務についての認識について確認していました。
社長さんが現状、事業再生のフェーズで大変だと思いますが、もし社長さんの身に万が一のことがあった場合に、社長さんが銀行融資で連帯保証人になっている連帯保証債務がどうなると思いますか?と質問します。
このような質問をした時の社長さんの表情はどのような表情をしていると思いますか?大抵の社長さんは、質問の意味すら理解していないようなイメージで考えたふりをしています。
もちろんその答えは一つしかないので、私は連帯保証債務は相続財産であり、御遺族になる御家族が90日以内に相続放棄をしない限り、相続される負の財産となりますと回答します。
ただでさえ事業運営が厳しいのに、会社の代表として連帯保証人になっている自分の身に万が一のことがあった場合は、家族にかなり迷惑を掛けてしまうと焦るようになります。
生命保険パーソンで法人生保を中心に活動している方からすれば、今回の内容は当たり前と思うかもしれませんが、仮に、連帯保証債務=相続財産と知っていると仮定するのであれば、何で中小企業の社長さんが連帯保証債務=相続財産ということを知らない人が多いのか私は疑問でなりません。
この連帯保証人のことを私は人柱と呼んでいます。人柱と聞くと嫌なイメージがあるかもしれませんが、一家の大黒柱と意味合いは同じです。会社はヒトで機能しており、特に、中小企業の場合は社長の影響力は絶大だと言われております。
社長の身に万が一のことが起こった場合の会社の売上・利益・資金繰りや銀行融資の影響を考えるだけで心配事がつきなくなるのではないでしょうか。会社の大黒柱でもある社長さんはそれだけ責任があるのです。その責任を財務的見地で保険パーソンのみなさんが理解した上で、中小企業のお節介焼きになることが中小企業の企業防衛策の最初の一歩だと私は考えます。
生命保険はヒトにかけるものであり、それがたとえ会社の場合であったとしても、生命保険の被保険者は社長を含む経営幹部や従業員の人が保険の対象になることは私があえて言うまでのことでもありません。
連帯保証債務は借金です。連帯保証債務は相続財産です。仮に、決算書の入手が難しいと考えている生保パーソンの方々でも、連帯保証債務のことで中小企業の社長さんに気付きを与えることはできるのではないでしょうか。