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余裕のある時にこそ銀行から融資を受ける

私が銀行員時代に、銀行が新規で融資を行った企業が、数ヶ月から1年程度で返済ができなくなったり、いきなり破産したり、ということはよくありました。新規企業でも融資を出したということは、決算書などを見て融資審査を行い、この会社へなら融資をしても最後まで返済してもらえる、と銀行が判断した、ということになります。

 

しかしそれでも、数ヶ月していきなり返済できなくなるのです。ではなぜ、銀行はそんな企業に融資をしてしまったのか。考えてみます。

なぜ新規融資先は返済できなくなることが多いのか

まず第一に、銀行の融資審査のウェートは、決算書の内容が8割であり、決算書の内容で左右されやすい、ということです。しかし中小企業で、しかも業績が悪化している企業で、なんの粉飾もない正しい決算書を出しているところは少数です。

 

多くの企業は、業績が悪化している中で、銀行から融資を止められたら資金繰りがまわらない、なんとか融資を受け続けようと、粉飾に手を染めてしまいます。そして銀行側では、粉飾決算は実際、見抜けることはなかなかありません。私が銀行員であった7年半の中で、自分のお客さんで粉飾決算が分かったことは2回しかありません。

粉飾が判明した事例1

粉飾が判明した事例の1つ目は、社長から銀行に提出された決算書と、その顧問税理士から銀行に直接提出してもらった決算書の内容が、違ったということ。同じ期の決算書なのに、なぜ違うのか。ちょうど、貸借対照表の純資産が200万円、違うのです。

 

税理士から銀行に提出された決算書は純資産は150万円のプラスでしたが、社長から銀行に提出された純資産は△50万円のマイナス、つまり債務超過でした。はじめ税理士から提出された決算書を見て融資が出たのですが、その後、なんらかの理由で社長からも同じ期の決算書を提出してもらい、ちょうど200万円、数字が違ったのです。

 

そして社長を問い詰めたら

 

「自分では分からないので税理士に聞いてくださいと言われ、税理士の電話番号を教えてもらって、税理士に聞いてみたら、「えっ、社長、そっちの決算書を出してしまったんですか・・・(絶句)」というやり取りがありました。

粉飾が判明した事例2

粉飾が判明した事例の2つ目は、前々期の決算書と、前期の決算書で、繰越利益の数字が合っていなかったこと。通常の決算書と、粉飾の決算書、2つの決算書が存在したのです。

 

以上2例とも、通常の決算書と粉飾決算書、2つの決算書が存在し、しかも企業側の単純な「ミス」によって、粉飾決算が判明したパターンです。

 

しかし粉飾決算は、税務署に出している通常の決算書自体を粉飾しているケースが多いものです。この場合は決算書は1つしかありませんので、上記例のような「ミス」は起こらず、粉飾決算であるかどうかは銀行は分かることがほとんどないです。

 

銀行員もプロですから、この決算書は怪しい、と感じることは多くあります。しかしそれが実際に粉飾決算かどうかは、企業から白状されるか、全ての仕訳が記録されている総勘定元帳をつぶさに調査するしか、分かりません。

 

そして「上手い」粉飾決算であれば、銀行はその決算書を怪しいとも思わず、銀行は企業からだまされてしまうのです。そして、そのような企業に銀行は新規先として融資を行い、数ヶ月して返済できなくなる、というパターンがとても多いのです。

 

こういうことが多くあるため、銀行は新規企業の融資審査は慎重なのです。

 

一方、何年も融資取引を行っている企業では、その銀行において返済実績があります。何年もの返済実績、そして長年の資料のやり取りや、銀行と企業とのコミュニケーションの中で、その銀行においての企業の信用は付いてきます。ですから銀行は、既存先に対しての融資審査は新規先よりはゆるくなります。

 

新しい銀行で融資を受ける時、5年の分割返済が希望であったのに1年の分割返済となってしまったり、融資金額3000万円希望であったのに1000万円に減らされてしまったりするのは、銀行は新規先に対して慎重だから、というのが大きいのです。

 

そして返済実績ができてきたら、次の融資では3年返済にしてくれたり、融資金額を大きくしてくれたりします。それは、銀行はその企業の返済実績を見て、企業を信用するようになってきたから、ということです。

資金に余裕がある時でもあえて借りる

銀行は「晴れている時に傘を貸し、雨が降った時には貸さない」とはよく言われることです。

 

業績が良い時や資金繰りが十分まわっている時に融資を受けても仕方がないとわれわれは思うものですが、業績が良い時こそ、あえて融資を受けて返済実績を付けておくべきです。また融資を受ける銀行を増やしやすい時期とも言えます。

 

資金繰りがまわっている中、あえて融資を受け、返済実績をつけておく。これが、業績が悪くなったり、資金繰りがまわらなくなったりした時に、そんな状況でも銀行から円滑に融資を受けるための、信用構築となります。

 

また借入を多くして、現金預金を増やしておくと、業績が悪くなった決算書の内容を見られて銀行から融資を受けることが困難になった場合に、資金繰りを持ちこたえるだけの時間稼ぎともなります。経営者が、会社の資金繰りを考えるために一番見るべき部分は、現金預金の量であり、借入残高ではありません。

 

借入残高を見ると、それを減らそうという意識が働き、十分な現金預金がないのに借入残高を減らそうとしてしまいがちです。そして借入残高は少なくすることができても、資金繰りは苦しくなります。

 

現金預金が多ければ、業績が悪い時期でも、資金繰りは持ちこたえるのです。長い間、時間稼ぎができれば、経営を立て直す、資金繰りを立て直すことも十分にできるでしょう。

 

なお業績が悪化した時には、現金預金を減らしてしまう前に銀行に融資を申込み、その時に、現金預金がこれだけあるから企業の資金繰りは当分持ちこたえらえる、その間に経営を立て直す、と、経営改善計画書ととともに銀行に説明をすることもできます。それだけ、現金預金があるというのは心強いことなのです。

 

晴れている時に傘を借り、雨が降った時にでも傘を借りられるようにするには、企業の業績が良く、資金繰りが回っている時にこそ対策を行いやすいと言えます。

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