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在庫が大きい企業を銀行はどう見るか

銀行が企業の決算書を見る時、貸借対照表において気になる科目の一つに、棚卸資産があります。棚卸資産の科目には、商品・製品・半製品・仕掛品・原材料などがあります。

 

これらは商品・製品として外部に販売することにより売上となりますが、粉飾決算において数字をごまかしやすい科目の一つとして、本当にそれだけの在庫があるのかどうか、銀行は見ています。なお銀行は、企業の在庫がどれだけの水準であるかを、棚卸資産回転期間という指標で見ています。

 

棚卸資産回転期間とは、棚卸資産の金額を、売上高で割って365を掛けたものです。

 

例えば棚卸資産が2500万円、売上高が3億円(30000万円)であれば、

(2500万円÷30000万円)×365=30日

 

となります。つまりこの企業は、30日分の売上高に匹敵する棚卸資産を保有している、ということになります。そして平成24年度のTKC経営指標によれば、黒字企業の平均は、業種別に次のとおりです。

 

建設業40日
製造業35日
卸売業22日
小売業26日
飲食宿泊業4日
サービス業7日

 

もっと細かな業種分類、またそれぞれの銀行が根拠としている平均値の指標により、あなたの会社の棚卸資産回転期間がどれだけの水準であるか、銀行の見方は異なってくるのですが、まずは上記の数字を目安にし、あなたの会社の在庫がどれだけの水準かを見てみてください。

 

そしてあなたの会社の在庫水準が業界平均に比べて明らかに大きいのであれば、銀行はあなたの会社に対し、次の2つを考えることでしょう。

 

1.過大な在庫を抱えてしまっているのではないか。

2.粉飾決算により在庫を過大に計上しているのではないか。

1.過大な在庫を抱えてしまっているのではないか。

過大な在庫は、在庫を仕入れたもしくは製造した時に見込んでいた売上がなかなか立たずに、在庫が残ってしまったものです。そして在庫は、売れない期間が長いほど、陳腐化していきます。将来、その在庫が今より売れやすくなる、ということはまず起きません。

 

そのため、過大在庫は早めに処分を行わねばなりません。なぜなら過大在庫は、倉庫代や管理費などの保管費用がかかり続け、また現金に換えられない分、借入金も返済できないためその分の金利費用もかかるからです。過大在庫を今のまま抱えていても何もよいことはありません。

 

そして過大在庫を処分するには、安い価格で販売するか、廃棄するしかありません。しかし棚卸資産として計上している金額より低い価格で販売、もしくは廃棄するのであれば、それは赤字として表面化することになります。

 

そこで、在庫を処分すれば、それによって表面化した赤字を銀行が憂慮して、銀行から今後融資を受けることが難しくなるのでは、という心配が起きます。そこで、在庫を処分する際、銀行対策としてやっておきたいことを述べます。

(1)在庫の処分による損失は特別損失として計上する

特別損失とは、ある決算期だけに臨時的に発生した損失のことを言います。在庫の処分がその期だけ特別に発生したものであると言えるのであれば、関与税理士に相談し、特別損失で計上します。

 

決算書の損益計算書において、当期純利益は特別利益や特別損失の影響を受けるため、それよりも銀行は、営業利益・経常利益がどれだけあるかを、その企業がどれだけ事業で稼ぐ力があるかを見るための数字として重視します。

 

そのため、その期だけに臨時的に発生した損失であれば、特別損失に計上して営業利益・経常利益に影響を及ばさないようにします。

(2)銀行にあらかじめ説明する

在庫処分は、企業の財務をスリムにするための本来なら前向きな行動のはずです。それを銀行に説明します。「在庫で計上されている金額のうち、2,000万円分は長期間売れていない不良在庫です。今回これを処分し、健全な財務体質になります。」ということを、銀行内全てに正確に伝わるように口頭ではなく書面にて説明するようにします。

 

そもそも銀行は過大な在庫に対し、それを資産価値のないものとみなし差し引いて貸借対照表を評価しています。それであれば、過大な在庫を処分することは、今後の融資への影響は少ないですし、企業の財務体質改善の行動の一つとして銀行は前向きな評価をします。

 

なお2,000万円分の簿価の在庫を安く売って500万円手に入れられる場合、それを既存融資の内入れ返済にあてるよう銀行が言ってくることがあります。

 

ただしその500万円は貴重な運転資金となるものです。今回売却した在庫の仕入資金としてもともと融資されたものの返済を求められるのでないかぎり、在庫の売却代金は既存融資の内入れ返済にあてる筋合いはありません。売却代金は既存融資の返済に充てず、手元の現金預金を潤沢にしておきたいものです。

2.粉飾決算により在庫を過大に計上しているのではないか。

実際に、粉飾決算として在庫を過大に計上しているのであれば、銀行に対し、経営改善計画書を提出しその中で、貸借対照表が実態ではどうなのかを示し、返済条件緩和(リスケジュール)や融資など銀行からの支援を求めていくようにします。

 

粉飾決算をやっている企業であれば、よほど精巧でないかぎり、決算書の中で不自然な部分が多く出てきます。在庫が不自然に大きいことは銀行は気づくため、粉飾決算をやっているのではないかと疑いをかけられてその企業は融資を受けにくくなるものです。

 

そのような状態で、さらに粉飾決算を行って銀行をだまそうとせず、正直に銀行に伝え、銀行の支援を求めていくようにします。

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