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事業譲渡も再生と承継の手法のうち

M&Aといえば、企業の買収や合併などといった企業再編手法の総称です。企業の(一部の)事業や営業権等の資産を譲渡する「事業譲渡」を指すことが多く、日本国内においても、2000年前後より年間1,000件を超えここ1~2年では、公表されているものだけでも年間2,000件以上、非公表を含めれば、実態ではその数倍と言われています。

 

 ※M&Aというのは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略称

 

以前は年商で数十億円以上の規模を持つ企業が行うもの、というイメージでしたが、既に規模は問題ではなくなっています、取扱いを行う専門家も随分と増えました。私自身、再生への取組みとして、ここ2年でゼロ円~数百万円という譲渡価格設定での事業譲渡を4件行っています。

 

社長にとってみれば、自分自身の一部ともいえる会社を第三者に委ねるというのは、気持ちの引っ掛かりがあるのが当然です。

 

「自分が経営から逃げたように思えて(見えて)しまうから、本当にM&Aはいいのだろうか…」

 

と相談された社長もいらっしゃいました。しかし、逃げだなんてとんでもない、真っ当な手法の一つです。

経営者の責任果たすことができる

経営者の責任というのを「事業」「雇用」「生活」を必要なだけ将来に残していくことだ、と考えれば

 

  • 後継者がいない
  • 自社努力では将来的に利益を生むのが困難
  • 債務超過の脱却が超長期に渡る

 

と判断される場合、事業譲渡によってより確実に「事業そのもの」は存続することができます。また、事業譲渡にあたって該当する社員の雇用を譲渡先に保障してもらうことで、雇用を継続できます。

 

無理に続行して事業継続不能になるよりも、はるかによいことです。事業と雇用を続ける道をつくることによって、経営者としての責任を果たすことができる、というわけです。私の案件の場合、出店していた小売店の地域に大手ブランドの参入が決定したことで自社での将来の売上が苦しくなることが予想されたことから

 

  • その地域に出店する意欲がある
  • 他のブランドを取扱可能で、進出してくるブランドに対抗できる
  • その店に勤務する社員を雇用してくれる
  • のれん代の他、在庫の買取をしてくれる

 

先に提案を持込み、実行にこぎつけることができました。結果、将来の赤字を回避しつつ、社員の雇用を守り在庫買取資金も含めると数千万円のキャッシュを手にして資金繰りも改善させたのです。

相続・承継時リスクやコストの回避・削減

一部譲渡であっても会社資産を軽量化できることで将来的な相続時のコストを抑える手法をとることができます。

 

また、買収側にとっても、例えば「純資産が大きすぎて、このままでは相続(承継)時の税金があまりにも大きい」場合、あえて債務超過の企業を買収することで自社株評価を下げる動きをとることもできます(当然、利益は出せる状態でないと困りますが)税制もからむので案件毎に状況が異なりますが、企業の純資産が充分大きい、もしくは逆に債務超過だからといって事業譲渡を検討する必要がない、ということではない

 

⇒どんな状態の企業でも検討余地はある

 

とご理解下さい。

経営者への慰労や保障

渡す側の経営者にとっては、譲渡金が債務の返済や退職慰労金の原資となるため、その後の生活が確保されます。中小企業の社長の多くは将来現役と考える方が多いため馴染みが薄いかもしれませんが、経営としての責任は早めに引き継いでしまった上で、余裕のある状態で現場の教育等を行っていただくのは一向に構わないと思うのですが、いかがでしょうか?

 

今回はM&Aについて触れましたが、現状の世の中の仕組みはできれば社長は60代の内に承継を済ませてしまう方が税制でも、さらには銀行対策でも、有利になるものです。その背景については、次回申し上げようと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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