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銀行との交渉ケーススタディ その3

ここ5年間で、自社の経営計画を銀行に提出する企業が随分と増えました。単に融資を得るため、返済を待ってもらうために形式的につくられているものが、まだまだ多いのも確かですが決算書のみで判断される現況から、経営者の意志を明確にし、その実行力によって銀行からの評価を引き出す、それ自体は何ら悪いことではありません。

 

既に、計画書の進捗による評価の上下が、その後の銀行交渉の展開を変えている案件が増えています。

 

…とはいえ、相場の影響や発注元の都合で売上などが大きく変動してしまう中小企業は、自らの意志で状況を変える幅が小さいことから、一度作成した計画通りに事業が進まないことだって起こってしまうもの。そんなとき、どのように銀行に説明すればよいでしょう?

「仕方がない」と割り切ってしまってよい要因もある

計画に対して未達が大きいと、説明をするのもおっくうになってしまい、かえって銀行からの指摘が厳しくなる⇒そして、尚更説明できなくなるのは、あまりにももったいないことです。

 

しかし、要因があるのなら、まずはその要因が下記に該当するかどうか、確認していただきたいと思います。

 

・経営者自身や企業の力では、どうしようもないこと

 

例えば、取扱商品の相場が大きく下がってしまったとか、外国為替のレートの変動が常識的な範囲を超えて大きかったとか商圏の範囲内で公共事業があっても、中小企業では受注できないものばかりだったとか、そういったもので、自分の力では予想も不可能、回避も不可能だったものについては、その範囲内であれば「仕方ないこと」と言い切ってしまってもよいのです。

 

それこそ、リーマンショックや震災は一番分かり易い出来事で、予想も回避も無理、でも売上は下がりますよね。

 

そういうものまで無理やり理由を考えなくてもよいのです。ただし、1回だけ。予測・回避が不可能なものは、一度それを理由にしたら、その次からは、「適応していくこと」が求められます。私のお客さまでいえば、その会社は鉄スクラップ業者さんですがここ数年の鉄相場の低迷はかなり深刻です。

 

前期末時点で、不良化した在庫が大量に残ってしまいました。その在庫を開示し、その処分による今期の赤字は全て特別損失に計上することで、経常利益ベースでの改善をアピールしました。当然、今期からは「適応」しなければなりませんから、そもそも見込仕入を止め、在庫そのものを削減する方向で経営を続けています。

 

結果、当初赤字を出し、債務超過にもなってしまった会社ではありますが、銀行からの評価は以前よりもむしろ向上しています。かつては社長が銀行の前に出ることも怖がり、銀行も疑っていることを隠しもしなかったものが今は何ら問題なく、和やかな打合せを毎月行っています。

 

当然、「予測できて、回避できるもの」については一つ一つ確実にやっていくことが大前提ですが

 

  • やれると分かっていることは当然やる
  • 無理なものは無理でなくなるように、少しずつでも合わせる

 

この区分けが大事で、説明のしどころです。一般的には計画の進捗で問題がない水準は達成度80%とされています。しかし、その基準だけに捕らわれ過ぎてもいけないということです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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