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銀行との交渉は、4月が一番やりやすい?

銀行は3月末が決算のため、いろいろと忙しいことは有名です。企業側にとっては、

 

  • 銀行の営業的な側面から、融資を得られ易いことがある
  • 同じく、各種以依頼を受けることが多い
  • 預金残高を積んで欲しい
  • 末日に極度設定のある借入を、限度いっぱいに使って欲しい(銀行に収益性のある)商品を買って欲しい。投資信託とか、外貨預金とか、保険、かつてはデリバティブやカードローン、などなど
  • 取扱件数が多いため、融資の申込は緊急の場合を除いて15日くらい迄に行う必要がある(特に保証協会宛は)

 

といった形で、苦慮しながらも対応されていることでしょう。再三お伝えしている通り、銀行からの依頼は自社にメリットがないのに「お付き合いで」やるのは余程の戦略的見地がない限りはお勧めしかねるもので、少々付き合ったくらいで自社が苦しい時に助けてくれるわけではないのですが、この辺りは本メルマガをお読みくださっている皆様には当然のこととして、今回はこれ以上触れません。お伝えしたいのは、「では、期が明けた直後はどうなっているの?」という点です。

期初の銀行員の動き

基本的に優秀な銀行員ほど4月に融資実行を行おうとします。今日、規模の大きい銀行ほど見た目の融資残高よりも実際の収益を目標として設定していますが、融資の収益=金利収益は、会計期間が4月から3月である以上4月に実行した方が、その期の収益としては大きくなるからです。前年度に充分な実績を出した担当者ほど、そこはコントロールします。今期はもう大丈夫、後は翌期にとっておこうとするわけですね。この点だけでも、目の前の担当者が「できる」方かどうか判断する目安になります。

 

が、大半はそうはいきません。前期末にギリギリまで案件を処理して、手許の材料がスッカラカンになった状態で4月を迎えます。

本部の目標設定に関する通知待ち

新しい期になって案件を持っていない、つまり「余裕のない」担当者は、もちろん早めに案件材料を得たいところですが、実は4月1日時点では見つけても提案はおろか支店内の事前協議すらしたくないのです。

 

なぜなら、期が変わった直後は、まだ本部から支店へ新しい期の目標やキャンペーンが通知されておらず、どのように取り組めば、より効率的に目標達成できるのか現場では分からないから、です。概ねゴールデンウィークまでに出揃う本部からの通知を待ちます。

 

これは、あまり馬鹿にできない影響が(銀行内部では)ありまして、例えば

 

  • 一定の条件を満たした融資なら、実行金額の2倍のカウントをするとか
  • 融資の実行条件に、〇〇を加える
  • 前期評価されたポイントが、今期突然なくなる

 

といった具合で、現場担当者の動きを直接変えるだけの破壊力があります。よって、案件の材料は探したいのですが、具体化はしないでおくのが、本人にとって得策なのです。銀行員だって、サラリーマン。

だからこそ、重要な交渉をはじめるチャンス

企業経営者から見ると、何だそれ?と思われるかもしれませんが、いい・悪いというよりも習性ですので、この状況を利用させていただくことを考えるべきでしょう。

 

経営者も忙しいですが、銀行員も大概忙しい。だから、「案件を探しつつ、具体化しないで様子見」、ある程度銀行員に時間的・精神的余裕のある4月~5月こそ、重要な交渉を進める絶好のタイミングです。

 

例えば、

  • 金利や担保・保証条件について緩和の交渉をしたい
  • 今期が事業計画と比べて未達で、今後の返済に懸念がある
  • 新規事業をはじめるにあたり、融資が夏に必要になるかも

 

といった具合で、3月決算の企業なら予測数値ベースで交渉をはじめても構いません。じっくり話をする機会がなかなか持てないのが今日の銀行取引ですから、相手に余裕がある時にできるだけやってしまうべきなのです。

 

自社の決算を待って…、とか遠慮する必要はありません、5月後半になれば、3月決算の企業の決算分析が次々と始まり、その後は何やかやで大体いつも忙しくなりますから、できるときに始めてしまってより納得のいく答えを求めていきましょう。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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