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地方銀行に定められる「ベンチマーク」

昨今の本メルマガでは、新しい中小企業の評価内容に関するテーマが増えていますが、評価内容が変わるのは銀行から中小企業に対する評価、だけではなく金融庁から銀行(信金・信組)に対する評価についても、抜本的に変わることになります。

 

今回は、金融庁が地方銀行に対して新たにスタートする評価、ベンチマーク制度について触れていきます。

ベンチマーク制度の概要

7月22日のニッキン新聞で大きく採りあげられましたが、来年度からの本格運用を前提として、金融庁は地方銀行に対する新たな評価制度をスタートさせます。

 

各地方銀行が中堅・中小企業向け取引をどのように取り組んでいるのか明らかにするための指標を用意し(その指標がベンチマークです)、その指標の推移に対して「金融庁が各地方銀行と対話する」「優秀な地方銀行に対する表彰制度を検討するとともに、ディスクロージャー誌への掲載を推奨する」ことで、地方銀行の優劣を明確化しようというものです。

 

ベンチマークは全体で50項目以上とされていますが

・全ての地方銀行を対象とした、「共通ベンチマーク」が5項目

・それぞれが自ら選択して実行する「選択ベンチマーク」が50項目

 

と2段階に分かれます。今回は、「共通ベンチマーク」について簡単に紹介していきます。

共通ベンチマークの5項目

1.経営改善効果の表れたメイン取引先数とその融資額推移

意地悪な言い方をすれば、「メインバンクであるのに何もしないで放置していないか」をはっきりさせる指標ですが単に融資の回収をするのではなく、事業収益に対する貢献を求めている、と言えます。

2.貸し付け条件変更先の経営改善計画の進捗状況

これまで債務償還年数や債務超過解消年数の基準から必要な利益を逆算する計画の作成が横行していましたが達成不可能な計画には意味がないことになります。

3.銀行が関与した創業・第二創業の件数

「銀行が関与した」というのをどのように判断するかに依ります、この点はもっと調査が必要ですが単に保証協会保証付きや公庫の取扱いしかない創業融資の取扱いを金融庁は求めている、とは言えます。

4.ライフステージ別の与信先数とその融資額推移

ここまでの3点は、真っ当に経営をしている企業にとってプラスに働くものばかりですが、この点は注意が必要です。ライフステージの定義は決まっていない(弊社調べ)ものの、概ね「新興」「成長」「成熟」「成長鈍化」「衰退」に分かれ成長鈍化から衰退にライフステージが定められた企業については最終処理段階である、と定義されてしまうことになります。

5.地元の中小企業融資のうち無担保融資の割合

地元経済・企業へのリスクテイクを求めていることがよく表れています。ここ数年、本来の事業地域を越えて越境営業する金融機関が増えていますが、地域金融機関としての本来の姿での融資を評価しようという表れです。

中小企業側の対応としては、ある意味変わらない

次回以降、各項目に対する背景や解説を行っていきますが重ね重ね中小企業側の対応は、これまで以上に

 

・真っ当に努力していることを、自らアピールする

・自らの将来像を、銀行に逆提案する

 

ことが、最も強くなります。金融庁は銀行にコンサル機能を求めていますが、銀行はその全てに対応することは物理的に不可能です。であれば、自ら逆提案できる企業・経営者が銀行にもよい関心をもってもらえる、ということです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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