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事業承継=節税対策という落とし穴

中小企業経営者の高齢化に伴い、ここ数年で大きく採りあげられるようになった事業承継や相続。

 

簡単には経営者としては承継、個人としては相続という形で使い分けられていますが、この問題には、関わってくる専門家が弁護士・税理士をはじめとした各士業の他、保険業なども含めて非常に多岐にわたります。

 

実績のある先生方の教えは、もちろんいただくべきであって必要なものはどんどん取り入れるべきなのですが、どうも、一番大事なものから逃げて、安易な手法だけに頼らないように経営者側が強く意識する必要がありそうです。

節税の結果、会社の財務内容は悪化するという承継でいいの?

企業経営者にとっては、会社の承継と個人の相続は双方大事なものですが、少しでもキャッシュを残したいという思いが、少しでも税金を減らしたいという欲と混じってしまうと間違った承継・相続になる可能性が非常に高いのです。

 

簡単・代表的な例でいえば、

 

・後継者が株式を取得する資金を得るため、会社から貸付をする(単純に後継者の所得を増やすと税金が発生するのを嫌がって)
⇒会社の財務内容は悪化する、最悪実質で債務超過になり得る

 

・以前の承継相続時に、税対策で株式を多くの相続人に分散させてしまった
⇒今後買戻し請求を受けた場合の資金が足りない

 

・株式時価評価を落とすために、過剰な赤字を作ってしまう
⇒財務格付けが低下、その後の資金調達が不利になる

 

といったあたりでしょうか。

 

・事業で使用する個人の資産(工場の土地など)を後継者(ご子息)に相続するため、それ以外の資産は他の相続人に渡すことにしてしまう(生前贈与の税金が気になりすぎて無対策)
⇒後継者の個人資産に、現預金が全く残らない
⇒何かのときに会社に投下する資金が残らない

 

といったように、その場で見える税金だけを気にした結果後で気付けば後継者にとって一方的に不利な形になってしまう出来事が急増しています。せっかくの承継ですから、「これでダメならお前(後継者)のせい」と断言できるようでないと、もったいないですよね。

事業承継は、何を誰にどう残すかであって、税金は結果。となりの事例は参考になるとは限らない

会社の歴史、積み重ねてきたものは大きく、人の想いが込められるだけに、例え同じ状況であったとしても関わる人が変われば正解だって変わるのが事業承継の難しさです。

 

税金にのみ着目しても失敗してしまうのも、当たり前のことです。100社あれば100通りの承継になるものであって、そのためにこそ、専門家を使うべきなのでしょう。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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