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金利が安いからマル保融資にしましょう、という自殺行為

銀行員は、本当にマル保好き

マル保(信用保証協会の保証が付いた融資)を銀行(員)が大好きなことは、融資に触れてきた経営者ならご存知のことでしょう。銀行は回収不能になっても保証協会が払ってくれる(代位弁済)、つまり、貸倒の心配をせずに金利だけ借り手企業からいただけるわけですから、安心なわけですが。

 

それ以上に、稟議が楽、というのが銀行現場の本音です。資金使途は何だ、とか返済原資はどれだ、とか稟議意見欄には大して触れることもなく、「信用保証協会の保証を得ているため、本件取扱致したい」とだけ書いておけば、認可のハンコをもらえます。事務的に楽なんです。頭を使わなくてもいいのです(全額保証してもらえるわけでもなくなっているのですがその部分は今回横において)。

マル保⇒プロパーへの借替取組みはレアケース?

私が銀行員の時、よくやっていたことがあります。それは、マル保融資からプロパー融資への切り替え。上記からの流れだと、私がマゾヒストなのかという懸念が出ても仕方ないのですが、そうではありません。ビジネスとして、銀行員=サラリーマンとして、私なりに筋を通すためによく提案し、お客さんのご了解をいただき、実行してきました。

 

というのもマル保融資をプロパー融資に切り替え

⇒金利は上げさせていただく(銀行(私)のメリット)
⇒マル保融資は何かあったときのため、温存する(借り手企業のメリット)

 

を明確化させていたのです。

 

はっきり申し上げてしまうと、今はプロパーができるけれど来年以降はできないかも、という心配のある企業様には、特にその旨もお伝えした上で提案させていただいていました。

 

当時は、ビジネスローンなどというものもあり、マル保よりもプロパー融資の方が金利は高いことが多かったものですから、プロパー切替は、大半の場合お客さんの金利負担は増えたのです。しかし、提案した全件、提案内容での実行をさせていただきました。

 

正直に申し上げましょう。その時の私のいた銀行は、「プロパー融資の「実行額」が、目標として重要視されていた」「金利収益額の「増加」が、目標として重要視されていた」ので、この取組みは

 

・お客さま企業の資金繰りに保険をつけることができる
・プロパー融資の実行金額を、融資残高を増加させなくとも稼げる
・金利を上げさせていただくので、金利収益は当然増える

 

ので、お客さんである経営者が意図と内容を了解して下さるならば互いにメリットはあったのです。この取組みは、当時のタイミングが良かっただけともいえますが状況に合わせて、企業の借入をリスクのない方向に持っていくその意味では良かったかな、と今も思っています。…同じ動き方をする同僚や先輩が極端に少なかったことが今も不思議ですが…。

 

通常取引をしている状態で金利を上げさせて、という銀行員は今も多くはいないようです。

プロパーでできるものは、プロパーで!

現在はマル保融資の方が高コストになる場合も多いです。何しろマル保融資は金利以外に、保証協会に保証料を支払わなくてはならないので、金利+1%を考慮する必要があります。

 

不良債権処理が終了した金融機関は、正常先への信用コストを抑えられるため、以前よりも低金利での取組みができるようになっている、という銀行財務上の要因もあります。

 

また、格付けが金利に直結するプロパー融資と比べて格付けとある程度無関係に金利を設定できるマル保融資、という違いも考慮すると、格付けが改善基調にある企業であれば尚更にプロパー切替は金利面でのメリットがでる可能性があります。

 

1億円以上の事業規模を持つ企業の場合資金の安全弁として、マル保融資を使い切らないというのはよい対策ということができるでしょう。金利でメリットがでなくても安全のため金利でメリットがあれば、尚更に。

 

とはいえ、銀行は放っておくと、大多数は過去も今も、楽なマル保融資の方に寄せようとしてしまいます。任せてもダメなんです。一方、自社でどこまでできるかなどの判断は困難かもしれません。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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