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事業計画策定

中小企業の経営改善を目的にした事業計画を策定しています。その策定には、決算報告書や事業内容の確認を経営者へのヒアリングなどを通して行われます。そして、経営改善の方向性を示し、未来像を達成すべく数値計画や行動計画を策定します。

 

時に銀行員からこのように言われることがあります。

 

「売り上げ計画を昨年対比20%アップで作成した時、売り上げ計画を下げてください」と言われ、

「売り上げ計画を昨年対比20%ダウンで作成した時、最低でも昨年と同程度を保ってください」と言われ、

 

結局は直前期の実績に近い売り上げ数字に落ち着かせるようにします。その方が上司からの追求が少なく、担当者も資料作成の手間が省けるからのようです。

 

ここで考えなければならないことがあります。

 

事業計画の策定は、一体、誰のため、何のために行うのかということです。金融機関の行内稟議を通すためのものではなく、中小企業の経営の成長や立て直しのためではないのでしょうか。書類の体裁を整えるのではなく、目利き力をフル活用して本来の目的を果たしてほしいと思います。

 

それでは、このような策定目的のズレはどこから生じるのでしょうか。銀行員がいわれる数字の根拠は、過去との比較や実績重視です。事業計画策定者としての数字の根拠は、過去の数字を参考にしながら未来を描きます。つまり、計画には過去と比較できない数字や全く実績がない数字も含まれます。

 

この違いは大変大きく、これから起こることを壊疑的にみてしまうと、中小企業の将来の成長可能性を阻害してしまう場合もありえます。もっと、中小企業の事業内容に興味を持ち、想像力を豊かにすべきです。

 

これまで述べたようなことが現場で起きた時、私はどのように対処しているかと言いますと、その答えは、計画数字を2種類策定することになります。

 

一つは金融機関が納得する数字計画、もう一つは実際に事業に直結したこれから取り組む数字計画です。

 

本来は一つに統一したいのですが、時間的な制約、担当者の行内での立場、複数行での金融調整などさまざまな要因により、しゃくし定規にいかないものです。担当者のなかにもこのような状況を理解している方もおり、そこはうまく調整してくださいと言われることもあります。ただ、この場合、後になって後悔する事態もあります。

 

それは、策定当時は担当者との話し合いで、表も裏も理解していただいていても、その方が転勤した場合、引き継いだ担当者はそんなことは知らないため、計画数字に対する達成率が大きく乖離しているので、作成し直してくださいと言われることです。身も蓋もありません。

 

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この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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