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大きな差が出ている銀行のリモートワーク取組み

三菱UFJ銀行が大きく先行する

先日、三菱UFJ銀行の方とお話をしていた際に、以下の内容を教えてもらいました。

 

・近日、一人一台の業務用PCが配られる

・そのPCには、勘定系システムや稟議システムが内蔵されている

・支店からの持ち出しが許可されるため、本格的なリモートワークが可能になる

 

とのことでした。正直、驚きました。

 

銀行の業務には契約書や請求書、現金といった「現物」の取扱が多く存在すること、重要な顧客情報が非常に多いこと求められるセキュリティが非常に高く、システム構築にもコストと時間が膨大にかかることから、リモートワークからはまだまだ遠い業種ではないか?と思っていたのですが

 

勘定システム:資金移動の実行や決済

稟議システム:融資等の意思決定

 

については、各員に専用PCを持たせることで対応しよう、というのです。これにより、銀行員は自宅でも稟議を決済し、資金を移動させることができるようになります。

大きな業務リストラを断行する一つの要

元々、三菱UFJ銀行は2023年度までに店舗を4割削減し約10,000人分の業務を削減する(2017年度に比べて)ことを発表していました。この取組みは、そのための一手であり、三菱UFJとしては既定路線、コロナだからと慌ててやっていることではありません。

 

このタイミングで実行できる、というのはコロナに関係なく長年準備をしていたからこそでしょう。システムに優位性のある銀行から、徐々に追従するでしょうけれど二歩も三歩も、前を走っていることを感じました。

金融機関全体としては様々

店舗が大きく削減されるわけですから、現金をはじめとした店頭取引の利便性は低下することになります。

 

「顧客が望むから頑張る」ではもう限界で

「こちらの(提供企業側)の都合に合わせてくれたら、

 できる限りのサービスを提供する」

 

方向に、銀行のリーダー的存在が向かっています。

 

一方、地域金融機関である信金・信組の中にはその逆をいこうとしているところもあります。

 

例えば、ここしばらく廃絶に向かっていた集配金業務をあえて復活させている信金があるのです。

 

集配金自体には信金側の大きな時間とコストを要するものの、「集配金時はお伺いし、社長と面会する機会をいただく」という思想で、フェイストゥフェイスを定期的に行うことで信頼とビジネスチャンスを得たいという考え方。

 

どちらが正しいというよりは、それぞれが生き残りをかけた工夫をしている、ということです。

 

IT技術の活用によって、効率的な運営を行う銀行(金融機関)その他の方法で効率だけではないサービスを考える銀行(金融機関)、それぞれの個性が出てくるのでしょう。

 

利用者である企業・個人もまた、どの銀行との取引が相性がいいのか、考える機会になります。

 

ただし…、長期的には、銀行のIT化(DX)は避けられません。何しろ、効率性が高まる⇒収益性が向上するため、できる金融機関とできない金融機関では差がついてしまうのです。効率の追求だけではお客はついてこない、という議論も当然ですが、最終的には「素の効率性が高いから、余裕分で非効率なこともできる」わけです。勝敗は明らかです。

 

確実なことは、銀行だって今まで通りの経営はできず、顧客都合に合わせてばかり、とはいかなくなっているということ。

 

コロナ収束後に、中小企業の都合と銀行都合とがかみ合わなくなることも増えるでしょう。改めて、中小企業と銀行はよい関係を目指す一方で単なる依存にはならないように、気を付けなくてはなりません。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社へ入社。
    約7年間で対応してきた相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。
    一般的な金融取引の見直しの他、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。
    粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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