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これからの企業財務評価の仕組みと融資判断 その2

金融庁の考える仕掛け

11月5日発行分の当メルマガでお伝えしていました 新たな企業財務評価の仕組みのポイントは、以下の5点でした。

 

  1. メインバンク制を改めて定義、企業とメインバンクの継続的な対話によって支援を決めていく
  2. 日常的なモニタリング・対話を行う代わりに、財務評価一辺倒での融資判断をしない
  3. 各融資と資金使途をしっかり紐付け、運転資金は正常運転資金範囲内であれば、元本返済を求めない設備資金は償却資産と返済期間を合わせる
  4. どうしても担保が必要だが、目に見える担保対象資産がない場合、「事業そのもの」を担保にすることを認める
  5. 全般としては経営者保証の解除を進める一方で、経営者保証と経営者の所有する株式を担保とすることを制度として認める

 

これらは金融庁が主導して、今後地域金融機関の中でも特に中小企業に対して影響力をもつ地方銀行には強く求められる公算です。

 

1.2.3については、これまでも当メルマガで よく触れてきた内容ですので、ここで改めて説明することは 省かせていただきますが、端的にまとめれば

 

・メインバンクが積極的に各企業と継続的に対話をし、相互理解を深めることで財務評価一辺倒の企業評価を脱し、正常な運転資金と評価されるものについては元本の返済を付与しないで融資を行う(極力プロパーで)

 

といったところでしょうか。実際に、そのような運用がなされていると感じる案件も増えておりコロナ禍で横槍も入ってはいますが、少しずつでも前に進んでいる実感はあります。

 

一方、4.5については、どちらかというと新しい話。

 

4.はまとめてしまえば「中小企業の事業を担保にする=中小企業の株式を担保にする」ということです。そのための法改正も実際に進んでいます。

 

5.も付随する内容で、融資に対する経営者保証について「経営者保証を求めない代わりに、経営者の保有する自社株式を担保とすることを認める」ということです。単純にこの制度の良し悪しを語ることは難しいのですが、

 

「貸し手にとって融資はどうしてもローリスク商品であり、担保なしでのリスクテイクには限界がある」

 

「借り手にとって担保に出せる資産はそう多くはなく、かといってそれで融資が受けられないのでは事業ができない」

 

という互いの問題に対して、自社事業≒自社株式を担保にすることで融資の実行を可能にする、という選択肢を追加して対応の幅を広げられる、という意味で肯定的に捉えたい、と考えます。

 

広義では、銀行によるDES(デット・エクイティ・スワップ)を中小企業に対しても運用していく、という意図なのでしょう。これまでもあったDDS(デット・デット・スワップ)が通常の負債(借入)を劣後債という、より返済優先度が低い負債に振り替える内容であるのに対して、DESは負債(借入)を純資産(株式)に振り替えるものですから。

 

もちろん、自社株式を担保にするというのは経営として容易に了承できるような話ではありませんが、さしあたってはそこまで踏み込んででもやる、という新たな選択肢ができつつある、という認識でよいのではないでしょうか。

 

ただし、自社株が簿価での担保価値になるとは考えにくいです。時価評価による価値算定が入ることを想定すれば

 

  • 自社の価値を上げる
  • 価値が過小評価されない情報の開示ができる

 

ことが必要条件になるであろうことは、他のテーマでもお伝えしている通りです。

 

やはり、これからの融資は1社でも多くの企業が対象になる、ということは想定されていません。選ばれた企業がより手厚い支援を受けられる、というものになりますので融資による資金調達を想定するのであれば、見合った財務体質・体制の構築が必須であることはご留意下さい。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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