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債務償還年数にいつまで囚われる?

メルマガ「銀行とのつきあい方」でも何度も採り上げてきた債務償還年数。

 

(長期借入+短期借入)/(年間キャッシュフロー)

 

によって算出される、「結局、キャッシュフローによって何年で借入返済が可能か」という指標です。

 

ここ20年以上、金融検査マニュアルによる評価体系においては最重要とされてきており、実態としては自己資本比率と合わせて「この2つの指標が未達の場合、かなり新規融資は厳しくなる」というものでした。

 

今日、金融検査マニュアルも廃止となって、金融庁もこの指標からの脱却を目指してはいるのですが長年続いてきた常識を覆すのにはいましばらく時間がかかりそうです。

 

企業経営者とも、銀行の方とも、お話をしている中でまだまだ意識的・無意識的に関わらず「借入が一定期間で返済できるだけのキャッシュフローがないといけない」という概念が、まだ前提となっていることが大半です。

債務償還年数はどのようにして否定できるのか

歴史的に考えれば、債務償還年数は金融検査マニュアル以前から存在してはいましたが、ここまで依存もしていませんでした。常識とはいっても数十年スパンでみれば常識でもなんでもないのですが、改めてどのような考え方が今後の当たり前になるのか、まとめておきたいと思います。

 

  • 企業が存続しつづけていくことが前提ならば正常運転資金は「一定期間で返済する必要がない」
  • 成長途上の企業に対して債務償還年数を運用しても過去会計資料は今後よりも小さな規模感でしか評価ができず企業の成長に対して資金供給を行うことができない
  • 1期の決算書によるキャッシュフロー評価で返済能力を測られると、一時的な赤字すら企業は出すことができなくなる
  • コロナ融資により増大した企業の借入、赤字が増大した状況からすると、債務償還年数を根拠とした評価を続けても「貸せる企業など存在しない」ことになる

債務証券年数からの脱却は銀行も救う

債務償還年数が未達であることで融資ができない、という問題を解消することは結局のところ銀行も救うことになります。

 

極端な話、赤字でも債務超過でも(債務償還年数が未達でも)、今後の成長性を認められるなら胸を張って企業が必要なだけ追い貸しすればよいのです。「お金を貸す先がない」という銀行からみた問題が一気に解決するわけです。

 

ただ、これだけでは銀行のとれるリスクに限界があるため事業成長担保権の検討も進んでいます。一つ一つのトピックは、案外と繋がっているのです。

 

ただし、企業側は単純に安心してよいというものでもなく、これら新制度は「会計資料という数値面」のみならず「事業の足元の状況」「運営方針」「改善行動」といった行動面・数値のみでは測れないポイントでも評価を得ることで利用可能になるものです。誰でも利用できるものではなく、選ばれる必要があることにご留意下さい。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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