コラム

  1. ホーム
  2. > コラム
  3. > 事業承継
  4. > 事業承継の資金調達と連帯保証問題|利用できる融資制度と経営者保証ガイドラインを解説

事業承継の資金調達と連帯保証問題|利用できる融資制度と経営者保証ガイドラインを解説

事業承継を検討する経営者が直面する財務上の課題は、大きく2つあります。「承継に必要な資金をどう調達するか」「銀行への連帯保証(経営者保証)をどう扱うか」です。

 

特に連帯保証の問題は、後継者が「保証を引き継ぎたくない」と承継を拒否する最大の原因の一つであり、多くの中小企業の事業承継を阻んでいます。一方で、適切な手続きを踏めば連帯保証を解除・軽減できる制度が存在しており、活用できていないケースが多く見られます。

 

この記事では、事業承継に必要な資金の種類・調達方法、そして連帯保証問題への対処法を専門家の視点で解説します。

事業承継にはどのような資金が必要になりますか?

事業承継で発生する資金ニーズは、主に以下の4種類です。

 

資金の種類 具体的な内容 主に誰が必要か
①株式買取資金 従業員・役員承継(MBO)やM&Aで、後継者や買い手が自社株式を購入するための資金 後継者・買い手
②税金(贈与税・相続税) 生前贈与・相続で株式を移転する際に発生する税負担。自社株評価額が高いほど大きくなる 後継者(親族内承継)
③設備投資資金 承継後の事業強化・設備更新・デジタル化投資などに必要な資金 後継者・会社
④運転資金の安定確保 承継直後は取引先・金融機関が様子見になりやすく、資金繰りが不安定になるリスクがある。手元流動性の確保が重要 会社・後継者

事業承継の資金調達として利用できる融資制度は何がありますか?

民間金融機関への相談に加え、以下の公的融資制度・支援制度を活用できます。

日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金」

事業承継に特化した公的融資制度です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、事業の承継・集約に必要な設備資金および運転資金に使用できます。通常、個人への融資は行わない日本政策金融公庫が、後継者個人への株式取得資金として融資できる点が特徴です。金利は一般融資より優遇されており、長期・低金利での調達が可能です。

信用保証協会「事業承継特別保証」

事業承継時に後継者が必要な資金を調達する際、信用保証協会が保証することで金融機関からの借入をしやすくする制度です。経営者保証(連帯保証)を不要とする融資を支援する仕組みも含まれており、後継者の保証負担を軽減できるケースがあります。

事業承継・M&A補助金

中小企業庁が設けている補助金制度で、専門家費用・設備投資・マーケティング費用などが対象になります。返済不要であるため資金負担を大きく軽減できますが、審査基準が厳しく、承継後の事業計画の具体性が問われます。最新の募集要項は中小企業庁のウェブサイトで確認してください。

メインバンクへの事業承継融資の相談

近年、民間金融機関も事業承継向け融資商品を拡充しています。長年取引のあるメインバンクは会社の実態を把握しているため、柔軟な対応が期待できます。早めに承継計画を共有し、金融機関との関係を後継者に引き継いでおくことが、承継後の資金調達をスムーズにするうえで重要です。

事業承継時に旧経営者・新経営者の両方から連帯保証を取られるのですか?

金融庁の調査によると、事業承継時に旧経営者の個人保証を解除せず、新経営者からも二重に保証を取るケースが約4割に上っていることが報告されています。これは後継者にとって「自分の個人財産まで担保に入れる」ことを意味し、承継拒否の大きな原因になっています。

 

ただし、法律上「二重保証を取らなければならない」という義務はありません。2014年に導入された「経営者保証に関するガイドライン」と、2023年の改正によって、承継時の連帯保証を解除・軽減できる道が広がっています。

経営者保証ガイドラインを活用して連帯保証を解除・軽減できますか?

できます。「経営者保証に関するガイドライン」は、全国銀行協会と日本商工会議所が2014年に策定した自主的なルールで、一定の要件を満たせば経営者保証なしで融資を受けられる内容です。

 

特に2023年4月の改正では、事業承継時における連帯保証の扱いが大幅に強化されました。主なポイントは以下の通りです。

 

項目 内容
原則:新旧二重保証の禁止 事業承継時は、原則として旧経営者と新経営者の両方から保証を取ることを禁止。やむを得ず二重保証を求める場合は金融機関が合理的な理由を説明する義務が生じる
旧経営者の保証解除 承継後、旧経営者が経営に関与しなくなる場合は、原則として旧経営者の保証を解除する方向で検討することが求められる
新経営者の無保証化 財務の健全性・法人と個人の資産分離・情報開示の透明性という3要件を満たせば、新経営者の連帯保証なしでの承継が認められるケースがある

 

ただし、ガイドラインは法的拘束力がないため、金融機関の対応にはばらつきがあります。交渉には、会社の財務状況の改善と、専門家(事業承継コンサルタント・税理士)を交えた根拠ある説明が必要です。エクステンドでは、財務改善と並行した経営者保証の解除・軽減交渉を支援しています。

借入が多い状態でも事業承継はできますか?

可能ですが、借入が多い状態のままでは後継者が保証を引き受けることに消極的になりやすく、親族内承継・従業員承継が難しくなるケースがあります。対策として有効なのは以下の3つのアプローチです。

 

アプローチ1|承継前に財務改善・借入圧縮を進める
収益改善・経費削減・不要資産の売却などで利益を確保し、借入残高を計画的に圧縮します。借入が減るほど後継者の心理的・財務的ハードルが下がり、連帯保証の解除交渉も進めやすくなります。

 

アプローチ2|経営者保証ガイドラインを活用した保証解除交渉を行う
上述のガイドラインを活用し、承継前から金融機関と保証解除の交渉を始めます。交渉には時間がかかるため、承継予定の2〜3年前から動き出すことが重要です。

 

アプローチ3|M&Aを選択肢に加える
借入が多い場合、M&Aによる第三者承継では売却後に借入を返済できるケースがあります。また、買い手企業が大手・優良企業であれば、金融機関が旧経営者の保証を解除しやすくなるという側面もあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 後継者に株式を買い取る資金がない場合、どうすればよいですか?

日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」や信用保証協会の「事業承継特別保証」を活用することで、後継者個人への融資が受けやすくなります。また、現経営者が後継者に対して株式を分割払いで譲渡する「分割承継」や、会社が自己株式を取得して後継者の買取負担を軽減する方法も選択肢です。従業員承継(MBO)の場合は金融機関との事前協議が重要で、早めに専門家を交えて資金計画を作成することをおすすめします。

 

Q. 事業承継税制(特例措置)を使えば贈与税・相続税の資金は不要ですか?

事業承継税制の特例措置を活用すると、自社株式にかかる贈与税・相続税の全額(100%)が納税猶予されます。ただし「猶予」であり「免除」ではないため、要件を外れた場合は猶予税額と利子税を一括納付しなければなりません。特例措置の適用には事前の計画書策定・認定申請などの手続きが必要で、2027年3月末が申請期限(承継自体は期限後も対象)のため、早めに税理士に相談することが重要です。

 

Q. 経営者保証ガイドラインを使っても、銀行に断られた場合はどうすればよいですか?

ガイドラインは法的拘束力がなく、金融機関の対応にはばらつきがあります。断られた場合は、まず「なぜ解除できないのか」の理由説明を求めることが重要です(ガイドライン上、金融機関には合理的な理由の説明義務があります)。改善すべき点(財務健全性・法人と個人の資産分離・情報開示)を明確にしたうえで、改善後に再交渉するか、別の金融機関との取引に切り替える検討も選択肢です。交渉に行き詰まっている場合は、財務改善と保証交渉に実績のある専門家に相談することをおすすめします。

 

Q. 事業承継後も旧経営者の連帯保証は残り続けるのですか?

2023年の経営者保証ガイドライン改正により、旧経営者が経営から退いた場合には、原則として保証解除を検討することが金融機関に求められるようになりました。ただし実際の解除は、会社の財務状況・新経営者の資質・残債の状況などによって判断されます。承継前から金融機関に保証解除の意向を伝え、財務改善の取り組みを示しながら交渉を進めることが、解除実現への近道です。

 

Q. 事業承継の資金調達について、最初に相談すべき窓口はどこですか?

まず日本政策金融公庫の最寄り支店か、メインバンクに「事業承継に向けた資金相談がしたい」と伝えることが最初のステップです。公的制度(補助金・特別保証)については、各都道府県の「事業承継・引継ぎ支援センター」が情報提供・専門家紹介を無料で行っています。連帯保証の解除交渉が絡む場合は、財務改善と銀行交渉の両方に対応できる事業承継専門コンサルタントを早めに関与させることをおすすめします。

 

Q. 銀行借入が多く、後継者に継がせることを躊躇しています。どう考えればよいですか?

借入が多い状態への躊躇は、多くの経営者に共通する悩みです。ポイントは「借入が多いから継がせない」ではなく、「借入問題を解決してから継がせる」という発想の転換です。具体的には、①承継前に収益改善・借入圧縮を進める、②経営者保証ガイドラインを活用して連帯保証の解除交渉を行う、③M&Aという選択肢も含めて検討する、の3つのアプローチがあります。借入問題を放置して承継を先送りにするほど、後継者候補の年齢も上がり選択肢は狭まります。財務改善と並行して早めに専門家に相談することが、最も現実的な解決への近道です。

 

認定支援機関のエクステンドでは、事業承継に関するご相談を受け付けています。後継者への承継タイミング・株式の扱い・後継者教育など、事業承継でお悩みでしたらまずは下記バナーより「事業承継簡易診断」をお試しください。現状の課題を整理から始める専門家サポートが受けれます。

金融機関紹介実績No1
支援機関
contents
  • 事業再生
  • M&A
  • よくある質問
  • 実際の事例集
  • オンラインショップ
  • 会社概要
無料相談のお申し込み

一人で悩む経営者へ
後悔しない決断を一緒に見つけましょう