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社長は、どこまで社員の言うことを聞くべきか

事業再生の現場において、社長と社員の関係性は、とても重要です。社長が悩んでいる時、最終的に社長の悩みを救うのは、コンサルタントではなく、実際に業務を遂行している社員です。

 

だからこそ、社長は社員に悩みます。

 

「自分はこうしたいが、社員に反対されている…」
「社員全体から突き上げされてしまっている、自分は自分でみんなの為を想ってやっているのに…」

 

といういら立ちを覚えたことはありますせんか?そんな時、どちらが正しいと思えばいいのでしょうか。

集合知、という考え方

ネット社会の浸透を発端として議論されるようになった概念の一つに「集合知」と呼ばれるものがあります。つまり、

 

多様な人々が情報を持ち寄り、意見や議論を深めればより付加価値が高く、正確なものになる。結果、優秀な一人の人間を超えることができる

 

というもの。代表例としてよく挙げられる実例は、「牛の体重あてコンテスト」。

 

牛を1頭つれてきて、参加者が自分の予想する牛の体重を思い思いに回答し、集計してみたところ、その平均値は牛の実際の体重を示すのだそうです。一人のプロより、たくさんのアマチュアが正しいという考え。派生して、「一人の指導者やリーダー」と、「所属者全員」の意見はどちらがより正しいのか、という議論になります。

※厳密には集合知の定義等もいろいろ分かれるのですが、ここでは省かせて下さい

 

企業経営においては「社長」と「社員全体」とに置き換えます。

「みんなの意見」が有効な場合には、条件がある

会社は人間によって運営されますから、本当かどうかも分からない情報から噂が先行し、時に誤った主張や判断が下されてしまいます。

 

「みんなそう言っている」

 

この社員さんの言葉でグラッとしたり、落ち込んだりしたことのない方はいらっしゃらないでしょう。

しかし、みんなの意見が集合知として有効とするためには、最低でも以下の条件が必要です。(参考:「みんなの意見は以外に正しい」(ジェームズ・スロウィッキー著)

 

  • 各人が独自の情報をもっている
  • 各人が他人の考えに左右されない
  • 各人の意見にばらつきがある
  • 各人の意見を集計・集約する仕組みが存在している

 

つまり、

 

「根回し」
「先入観」
「主観的な判断による集計」

 

このようなものがあればあるほど、有効さを失ってしまいます。

 

実際、「みんなそう言っています、だから社長は間違ってます!」という社員がいても、その「みんな」というのが

 

Aさん:「●●と思わない?」
Bさん:「まあね」

 

くらいの会話からかもしれないですし、そもそもAさんが自分にとって有利な情報しかBさんに与えていないとしたら、もはやただの誘導尋問です。

中業企業の本来の強みを活かす

中小企業の場合は、そもそも生き残るために必要な武器として、経営判断のスピードを確保することは決して譲ることはできません。

 

ただでさえ中小企業には時間・資源・資金が限られています。自らの意思で早めることのできる経営意思決定、経営判断をその都度いちいち社員全員に計っていては大手企業に勝てる要素を自ら棄てていることになります。そんなことはあってはなりません。

 

従って、中小企業経営においては、特に全体の意見を集め、集約する機能を持っていない限りは、必要外に周りの意見に流されることはお勧めできません。しかし、一方で、社員全員で一丸とならなくては再生も発展も実現不可能。社員の考えも汲み取りたい。

 

こうなれば、答えはまとまります。

 

  • 最終決断は自ら即決する
  • 社員さんの意見の吸上げは、日常の中で行う
  • 社員さんからの「みんなそう言っている」は、必ずしもその通りとは言えない

 

〇〇を決めるため、みんなに聞いてみようとするのではなく、△△と聞いているし、自分もそう思うからそうしようとできる機会を可能な限り増やそう、ということです。

 

どこまでも社長は孤独な商売ですが、協力して、下支えしてくれる社員や取引先・銀行を含む関係者まで、どこまで常日頃を理解し、されているかなのでしょう。よく企業活動が失敗したときにコミュニケーションが足りない、もっと対話しなければという反省をしますが、これも同じこと。

 

判断を一瞬でできるように、そのための基盤を普段からつくっておくべきでしょう

 

執筆:今野洋之

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