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粉飾決算を行っていることの銀行への伝え方

現在、粉飾決算を行ってしまっている。このような企業、実際はかなり多いのではないか、と思います。私の会社へご相談いただく企業でも、多くの方が粉飾決算を行っています。また粉飾決算は、それをはじめて行った時、だいたい軽い気持ちで行います。

 

今回の決算では利益を上乗せしても、次の決算でその分の利益を取り返して、正常な決算に戻せばよいだろう、と。しかしほとんどの場合、それはできずに、毎期毎期、粉飾決算が続いていってしまうことになります。

 

例えば、ある期の決算で、赤字が△2,000万円出てしまったとします。

 

それを、粉飾決算で2,500万円上乗せして、+500万円の黒字決算にしたとします。粉飾決算は、損益計算書だけいじればよいものではありません。つじつまを合わせるために、貸借対照表もいじる必要があります。損益で2,500万円の利益を上乗せしたら、貸借対照表でも2,500万円、実態より良く見せなければなりません。

 

粉飾決算で実態より2,500万円いじったものを、次の決算で実態に戻すには、次の期は2,500万円の利益を余分に出さなければなりません。

 

次の期に実際に+3,000万円の黒字を出したのであれば、前の期にやってしまった粉飾決算を通常に戻し、+3,000万円から2,500万円を引いて、その期の決算は+500万円の利益になります。しかし、現実を考えてみますと、前の期に赤字△2,500万円を出した企業が、次の期に+3,000万円の黒字を出すことは、かなり困難なことです。

 

それだけ多くの黒字を出すことができなければ、次の決算でも粉飾決算を行うしかありません。そして、毎期毎期、粉飾決算が続いてしまうことになります。また、粉飾決算を行ってしまった企業の多くは、実際は黒字を出すことはおろか、毎期毎期、赤字が続いてしまいます。

 

赤字は、現金預金の流出を意味します。粉飾決算で黒字にしても、現金預金の流出はどうしようもありません。現金預金の流出は、それを補てんしなければ、資金不足により会社は破綻してしまいます。

 

現金預金の流出を補てんするためには、銀行から借入するしかありません。そもそも、銀行から借入するために粉飾決算を行うのですから、赤字の企業は粉飾決算によって黒字にして、銀行の融資審査を通りやすくし、融資を受けることによってそれが赤字補てんとなるのです。

 

実際は毎期赤字続きなので、赤字補てんの借入により、借入金の総額はどんどん大きくなっていきます。そして、粉飾決算の上塗りを続け、借入金は膨らみ続け、どうしようもない状態まで、企業は追い込まれてしまうことになります。企業が借りられる融資の総額は、売上高の水準によって決まります。

 

いくら粉飾決算を行って銀行から借入を続けても、必ず限界はきます。その時には、大きく膨らんでしまった借入金、という現実が待っています。

借入金の限界が来たときにどうするか

融資が受けられなくなったら、とたんに大きい負担になるのが、既存の融資の返済です。融資の返済を減額もしくは猶予する、つまりリスケジュールの交渉を銀行に行うしかありません。それをしないと、返済により現金預金はどんどんなくなり、すぐに資金不足となり、破綻に陥ってしまいます。

 

また、そもそも粉飾決算の上塗りで限界まで借入金を膨らまし続けること自体が、取り返しのつかない大きな借入金に向かって突き進んでしまうことになりますので、当記事を読んでこれ以上の粉飾決算をやめようと考えていただいたのでしたら、すぐにでもリスケジュールを行うべきです。

 

なお、リスケジュールの交渉を行う際、粉飾決算をしていたことを、銀行に打ち明けるべきなのでしょうか。そもそもリスケジュールを行うと、リスケジュール期間中は新規の融資を受けることは困難となるため、融資を受けやすくするという意味での粉飾決算の意味はなくなります。

 

実際、自分の会社がどのような財務状況であるかを銀行に知ってもらい、銀行からの協力を得やすくするために、銀行に実態の財務状況を伝えるやり方をとることが、企業の再生をスタートするにあたって行うことが多いです。

「粉飾」という言葉を避ける

銀行に粉飾決算の事実を伝える場合、「粉飾」という言葉を使うと、やはり銀行への刺激度合いは強いです。そこで、「粉飾」という言葉を避けるようにします。ここで、実態、どのような財務状況となっているかを、実態の貸借対照表を作って銀行に示します。

 

そこでの言い方は、

 

「今回リスケジュールをお願いするにあたり、これからの経営改善のスタートのために、実態の資産・負債状況を精査して、実態の貸借対照表を作ってみた。」

 

というような言い方をします。そうすれば、「粉飾」という言葉を使わずに、実態の財務状況を銀行に伝えることができるわけです。また、それを一気に決算書に表すために、次の決算で前期損益修正損という損益科目を使い、一気に粉飾決算のウミを出す、という方法もあります。

 

その場合、

「これから経営改善に向けてスタートするにあたって、全ての勘定科目を精査して、損失を大きく出した。」

 

という言い方にします。ここでも「粉飾」という言葉を使わずに済ますことができています。このようにして、「粉飾」という言葉を使わずに、実態の財務状況を銀行に伝えることができます。

粉飾決算は経営者の感覚をマヒさせる

粉飾決算の悪いところは、銀行にウソついて融資を受けることもそうですが、それとともに、実際は赤字であることを黒字に粉飾することによって、その黒字の数字が、本当の数字だと経営者が思い込んでしまうところにあります。

 

粉飾決算が、あたかも本当の決算であるかのように、経営者が錯覚してしまうのです。粉飾決算を行っている経営者に、実際の数字を出してください、と言うと、ほとんどの経営者は出すことができません。

 

本当の数字を答えることができない、分からない状態になってしまっている。これでは、決算書を見て経営を振り返ることなどできるわけありません。

 

粉飾決算はそもそも銀行にウソをつくことですし、粉飾の上塗りで融資を繰り返すことにより膨大な借入金が残りますし、本当の決算がどうであるか分からなくなってしまうことにより経営ができなくなってしまいますし、何より粉飾決算が銀行にばれてしまわないかと経営者の精神衛生上良くない。

 

粉飾決算をやって融資を受け続けるのではなく、きっぱりと粉飾決算をやめ、融資のリスケジュールを行って、会社の再生に向けスタートを切りたいものです。

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