セコいけれども「銀行(員)に花を持たせる」のが強い?
金融円滑化法が世に出た頃より言われる、
「銀行のコンサル機能」、企業側にとって十分かどうか
そもそもそんなことが可能かどうかという議論はありますが
言葉を変え、内容が少し変わっていくとはいえ
同様の内容は残っています。
また、今後さらに問われていくことになります。
このポイントを逆手にとることで、銀行交渉をスムースに
できることを確認していきます。
経営改善計画の達成度「80%ルール」未達でも、問題ない?
経営改善計画は、その基本として各項目の達成度は80%が目処、
とされています。
未達が大きい場合には、その内容や対応を検証するとともに
場合によっては再計画も行われます。
あまりにも達成できていない場合には、
経営者としてどう考えるか、責任を感じないのか
という厳しい追及されることだってあるでしょう。
責任感が強いために、未達であることが心の重荷になり
銀行に対して何も言えなくなってしまう経営者の方も
多いのですが、必ずしも達成度が足りないことが
無条件でダメ、ということではありません。
「コンサル機能」を企業側が動かす、セコいけれども有効な手段
できれば、予め、前回の融資や条件変更継続時に
前振りをしておくのがよいのですが、
「現状では、改善策として○○を考えています」
ということを伝え、了解を得ておいて
(ここで、稟議にその内容を記載してもらうのがポイント)、
決算報告時に
「目標未達ではありますが、以前打ち合わせで取り組みを申し上げていた
○○は何とか形になり、今後も有力な改善項目となります。ご指導ありがとうございます。」
とすること。
経営改善の取組みを、
銀行の経営指導によって行われたことにする、という
随分セコいやり方です。
しかし、案外効果があります。
力のない銀行員が相手ほど、有効になりやすい
銀行員だって様々ですが、経営指導を行えるレベルの方は
そう多くはありません。
しかし金融庁から、本部から、目標として求められています。
結果、どうしてもコスト削減、特に人件費の削減の指導をしようと
する方が多いのです。何より分かりやすくはありますから。
もちろん、単なる人件費の削減だけが経営改善ではありません。
だから、こちらから
・(言い出しっぺは会社側でも)打合せ中に出てきた改善項目の実施にフォーカスして
・それを銀行側の指導によるものとする
方向にもっていく、ということです。
文字通り、花を持たせるわけですね。
自ら考えることができない銀行員ほど、飛びついてきます。
これだけで全て都合よく、とするのも問題ですが
あえて、銀行に立ち向かう経営者というのは、
単に言い争いをするというよりは
若手銀行員を見守り、育てるくらいの気概があってもよいのです。
その見地では、少しくらい花を持たせることで
その企業の改善ポイントを上手に伝えることもありだ、
そんな風に解釈していただければ、と思います。
本質は、真に有効な改善項目を見出し、現実化させることこそが
何より重要であることは、いうまでもありません。
執筆:今野 洋之