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新しい担保「事業成長担保権」とは

メルマガ「銀行とのつきあい方」2022年8月26日号で、新しい担保として事業成長担保が現在検討されていることに触れました。

 

現在日本には存在しない、新しい担保の形で中小企業にとって新たな資金調達の方法として銀行にとっては融資促進のための保全として活用が期待されるものですが、なにしろ「事業成長」という言葉の指すものは、

 

  • 預金や不動産をはじめとして、固定資産や無形資産を含む企業が所有する全ての資産
  • 全ての将来のキャッシュフロー

 

というものであり、また包括的に第一順位の設定を登記によって行うものとされています。

ある意味、株式担保よりも重い

ということは、一旦事業成長担保権を差し入れした場合には担保権者である銀行は、延滞等した企業に対して預金・売掛金・在庫・設備等、企業の持つあらゆる資産を押さえる権利を持つことになります。

 

この場合、担保権者として株主総会等を通す必要もないでしょうから、株主よりも強いと言えるのではないでしょうか。今後、どのように法制度として処理方法を決めるのか、によるでしょうけれども、、、融資が得られるようになるから、と安易に担保提供するわけにもいかないでしょう。

メインバンク制の先鋭化と繋がる

しかしながら、そもそも低金利の融資を銀行がしていくのにリスクを取れ、無担保でやれとばかりでは無理があります。

 

ここには明快な意図があって

 

  • 事業成長担保権はそもそも包括担保になるため、必然的にメインバンクが担保権者になるということ
  • メインバンクが唯一の担保権者になり、十分な保全を持つことで、融資先に十分な支援を行えるようにすること
  • 担保権者、とはいっても自らが貸倒れをしたくなければ融資先に真っ当に向き合い、融資先企業の発展・再生に貢献すること

 

ということです。

 

事業成長担保権は、メインバンク制を実現するための具体的な方策の一つであり、また企業と銀行の関係性を単なる債務者・債権者という対立関係から、共生関係に変えていくための手段として捉えることができます。

 

本メルマガでも何度か触れてきたメインバンク制の再構築、企業と銀行の関係性の変化とはこのように一つの線で繋がっており、どれかを選んで「これだけ実現する」というものではありません。

「6年度に目指すもの」は法制度化

既にPart6になってしまいましたがここしばらくのメルマガのテーマ「6年後を目指して中小企業向け金融政策の常識が変わる」とは、事業成長担保権を法制度化するまでにかかる、と現在予測されている時間なのです。

 

反対もあるでしょうし、実現内容が金融庁の思惑通りではないこともでてくる可能性はありますが、現状ままでは中小企業も地域金融機関も立ち行かなくなることは明らかである以上、これらの合理的な施策を止めることはできないと判断できるでしょう。

 

弊社としましては、今後これら新たな中小企業向け金融政策を前提として、お客様企業に最も先進的なサービスを提供してまいります。来週の金曜日は、この新しい中小企業向け金融政策における財務指標について触れてみたいと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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