事業再生の5つの手法とタイミングの重要性
昨今は、世界情勢の悪化、原材料費の高騰、急速に進む円安など、日本経済を取り巻く環境は厳しいものとなっています。中小企業の中には、このような要因によって事業状況が悪化し、会社存続の危機に立たされている企業もあるのではないでしょうか。
会社を継続させるためには、現状を見直し、債務の整理を視野に入れながら事業を再生させる必要があります。中小企業の事業再生方法には、主に5つの方法があります。ここでは、中小企業の事業再生に適した方法をご紹介します。
事業再生をどこに相談すべきかお悩みの方や、事業継続させる手段をお探しの方は「無料相談」をご利用下さい。
事業再生(企業再生)とは倒産を回避する手段
事業再生とは、厳しい状況に置かれた事業を立て直し、倒産を回避するものです。事業再生では債務の整理を行い、借入金や買掛金の弁済、支払い期限の延長等の調整も行います。そのうえで収益性が高く、将来性のある事業を軸に据え、採算の取れない事業や競合他社との差別化が難しい事業などを縮小または改善することで、事業を継続させていきます。
また、事業再生には、法的な整理を用いる民事再生や会社更生、企業が任意で債務の整理を行う私的再生などがあります。このうち、会社更生法に基づき、裁判所が介入して債務整理を行う会社更生は、複雑な手続きが必要なものであり、手続きにも時間がかかることなどから、関係する企業の多い大企業が利用することの多い方法です。
中小企業の事業再生の場合は、会社更生に比べて比較的短時間で手続きを進められる自力再生や民事再生が用いられることがほとんどです。
中小企業に用いられることの多い事業再生の方法とは
中小企業が事業再生を検討するときに用いられることが多い手法を5つご紹介します。
自力再生
自力再生とは、外部機関や法的手続きに頼ることなく、企業が自らの経営資源と判断力によって事業の立て直しを図る方法です。債務超過に陥る前の比較的早期の段階で、経営陣が主体的に事業構造の見直しや収益改善に取り組むことで、事業の再生と継続を目指します。
自力再生のメリットは、外部への情報開示が最小限に抑えられるため、取引先や金融機関からの信用を維持しながら事業再生に取り組める点にあります。また、経営の自主性を保ちながら、迅速な意思決定と柔軟な施策実行が可能となります。さらに、債権者との交渉や法的手続きが不要なため、時間的・金銭的コストを大幅に削減できます。
しかし、自力再生を成功させるためには、経営陣による正確な現状分析と実効性の高い改善計画の策定が不可欠です。不採算事業の整理、人件費や固定費の削減、新規事業の展開、営業力の強化など、多岐にわたる施策を同時に推進する必要があります。また、銀行からの追加融資や返済条件の変更についても、自社の交渉力のみで対応しなければならないため、相応の経営力が求められます。
自力再生は事業再生の第一選択肢として位置づけられ、この段階での適切な対応が、より深刻な事態への進行を防ぐ重要な分岐点となります。
エクステンドは、自立再生を専門とする事業再生コンサルティングファームとして、これまで数多くの中小企業の自立再生を成功に導いてきました。当社では、経営状況の早期診断から具体的な改善施策の立案・実行支援まで、自力再生に必要な全てのプロセスをワンストップで提供しています。
特に、資金繰り改善、銀行との交渉、事業最適化、組織再編など、自立再生に不可欠な専門領域において豊富な実績とノウハウを有しており、企業の自主性を最大限に尊重しながら、実効性の高い事業再生計画の策定と実行を支援いたします。
経営状況に不安を感じた段階で、できるだけ早期に専門的な診断を受けることが、自立再生の成功確率を高める鍵となります。エクステンドでは無料相談を実施しており、自立再生の可能性について詳しくご説明いたします。事業継続でお悩みの経営者の方は、まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。
資金繰り・資金調達など財務でお困りの方は「無料相談」をご利用下さい。
法的再生:民事再生
民事再生とは、民事再生法に基づき裁判所に申し立てることで手続きを行う債務整理の方法です。民事再生は会社の規模にかかわらず利用できる仕組みで、会社の経営者を変更することなく事業の再生を図ることができます。
民事再生のメリットは、債務の一部の免除または弁済の猶予が受けられることであり、経営陣が退陣することなく事業の再生に取り組める点にあります。しかし、民事再生は裁判所が介入するため、民事再生の申し立てがあったという事実が公表され、取引先や仕入れ先などとの関係に影響を与える可能性が生じます。
一般的には、事業再生を検討する際に、第一段階として民事再生を検討するケースは多くありません。自社による事業の再生や私的再生が難しいと判断した場合に、法的再生である民事再生に進むケースが多くなっています。
私的再生
私的再生とは、裁判所が介入しない債務整理の方法です。民事再生の場合、民事再生の申し立てを行ったという事実が公になるため、外部にマイナスのイメージを与えてしまう可能性があります。
私的再生では、法律に則った手順を踏む必要がないため、企業の規模や状況に合わせて自由に事業再生を実行できます。また、事業再生に取り組んでいるという事実が外部に知られることはないため、会社の信用を損なうことなく事業を継続できるといったメリットもあります。しかし、私的再生では債権者との協議や債権者集会などを開催し、事業再生計画について債権者全員の手続きが必要となる点に注意が必要です。
私的再生を図る際には、私的整理に関するガイドライン研究会が公表している「私的整理に関するガイドライン」や「事業再生ADR」、「中小企業活性化協議会」などの支援機関を活用して事業再生を進めるケースが多くなっています。
M&Aによる事業再生
M&Aとは企業の買収や合併を行うことで、事業再生の手段としてM&Aを選択するケースもあります。事業再生を考える中小企業の場合、債務が超過していたり、収支が赤字だったり、決して経営が順調な状態にはありません。しかし、赤字が続いている事業であっても、他の企業にとっては事業拡大のチャンスにつながる可能性があるなど、魅力的に映る場合もあるのです。
事業再生を目指したM&Aには、不採算事業や一部のノンコア事業を別の会社に譲渡する事業譲渡と、株式を買い手側の企業に売却して事業の一部を継承する株式譲渡の方法があります。
第二会社による事業再生
債務超過の企業では、収益性の低い不採算部門と収益性の高い部門がはっきりとしていることが少なくありません。そのようなケースでは、不採算部門をそのまま残し、収益性の高い事業を会社分割や事業譲渡などによって切り離して運営する方法があります。これは第二会社方式と呼ばれる方法で、新たな法人(第二会社)を立ち上げて収益部門の事業を継承し、不採算部門を残した元の会社は特別清算などを行うものです。
この第二会社方式のメリットは、税務上の損金算入の手続きが簡単にできることなどから、出資するスポンサー企業や融資を行う金融機関からの理解を得やすい点にあります。また、不採算事業を切り離し、収益性の高い事業だけに注力していくため、事業再生を実現できる可能性が高くなる点もメリットだと言えるでしょう。
手法比較一覧表
項目 | 自力再生 | 私的再生 | M&A | 第二会社 | 民事再生 |
---|---|---|---|---|---|
裁判所介入 | なし | なし | なし | なし | あり |
外部公表 | 最小限 | 限定的 | 一部公表 | 限定的 | 全面公表 |
費用負担 | 低 | 中 | 中〜高 | 中 | 高 |
手続期間 | 短期〜中期 | 中期 | 中期〜長期 | 中期 | 長期 |
信用への影響 | 最小限 | 小 | 中 | 小 | 大 |
適用タイミング | 経営悪化初期 | 債務問題深刻化前 | 事業価値残存時 | 部門分離可能時 | 他手法困難時 |
推奨度 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
事業再生はどこに相談すべきか?専門家選びの重要性
事業再生を検討する経営者の多くが最初に直面するのが「どこに相談すればよいのか分からない」という問題です。エクステンドがこれまで1,900社以上の中小企業の事業再生に携わってきた経験から言えるのは、相談先の選択が事業再生の成功を大きく左右するということです。
相談先を間違えることで生じるリスク
実際に相談を受けた事例で、製造業A社(従業員50名)の経営者は、最初に地元の税理士に相談されました。しかし、税務の専門家である税理士では債権者との交渉や事業計画の再構築といった事業再生の核心部分への対応が困難でした。結果として貴重な6ヶ月を消費し、その間に債務は更に膨らんでしまったのです。
このケースが示すように、事業再生は高度な専門性を要求される分野であり、適切な専門家を選ばなければ時間とコストの両方を無駄にしてしまいます。
相談先 | 対応可能範囲 | 適用場面 |
---|---|---|
税理士 | 税務処理、基本的な財務分析 | 軽微な経営改善 |
弁護士 | 法的手続き、債権者対応 | 民事再生等の法的整理 |
事業再生コンサル | 包括的な事業再生支援 | 私的再生から法的整理まで全段階 |
認定支援機関の事業再生コンサルという選択肢
事業再生において最も重要なのは、財務面での課題解決と事業計画の再構築を一体的に進めることです。認定支援機関でもあるエクステンドなら、金融機関との交渉から事業計画の策定まで、事業再生に必要な全てのプロセスを統合的にサポートができます。
先ほどのA社の事例では、その後当社にご相談いただき、債権者との協議を通じて債務の3割削減を実現し、不採算部門の整理により月次損益を黒字転換させることができました。適切な専門家への相談が3ヶ月遅れていたら、倒産は避けられない状況でした。
事業再生を成功させるためには、経験豊富で包括的な支援が可能なコンサルタントへの早期相談が不可欠です。一人で悩み続けるのではなく、まずは無料相談を活用して現状を客観的に評価してもらうことから始めることをお勧めします。
中小企業の事業再生はタイミングが大切
経営不振に陥った場合、会社を再生させるか、倒産するかのどちらかを選ばなければなりません。この先も事業を継続させたい、会社と従業員を守っていきたいと考える経営者であれば、事業再生の選択をするケースが多いでしょう。
しかし、事業再生の道は決して簡単ではありません。もし、簡単に事業を再生できるようであれば、業績が伸びずに債務が増えることもなかったでしょう。債務が増えてしまった背景や、事業が思うように収益を伸ばせない裏側には、必ず原因があるはずです。業績不振の原因が分かっていても、どうして良いのか改善策が分からずに悩んでいる場合もあるかもしれません。また、原因を見つけられなくても、とにかく今できることを必死にやろうと頑張っている方もいらっしゃるでしょう。
事業再生を成功させるためには、まず事業の不振を招いている原因を追究すると同時に、債務の整理についても考える必要があります。経営者は経営のプロではありますが、事業再生に携わってきた機会は多くないはずです。事業再生の成功には「どの手段を選ぶか」という選択も重要ですが、同じように「タイミング」も重要となります。
自力による立て直しが可能なタイミングが過ぎれば、私的再生を考えなければならなくなります。私的再生も難しい段階まで進んでしまえば、民事再生の検討が必要になります。
業績悪化や資金繰りに悩んでいるようであれば、事業再生をどこに相談すべきか迷わず、できるだけ早く経験豊富なエクステンドに相談し、事業再生の道を検討することをおすすめします。
事業継続させる手段をお探しの方は「無料相談」をご利用下さい。
まとめ
中小企業が事業再生をする場合、4つの方法が考えられます。法的整理である民事再生の場合、経営状況が厳しい状態であることが広く知られることとなってしまいます。もし、関係する企業の経営状況が厳しいと知ったら、自社に影響が及ぶことを懸念し、進んで取引をしたいとは思わないでしょう。したがって、事業再生においては民事再生という選択は最終手段となります。
収益を改善させ、事業を再生させたい場合には、事業再生をどこに相談するかが重要です。タイミングを見逃さず、できるだけ早めに事業再生のノウハウを持つエクステンドに相談することをおすすめします。
エクステンドは、毎月多くの中小企業の経営者から相談を受け、これまでに多くの中小企業の事業再生に携わってまいりました。相談は無料です。事業再生を検討しているようであれば、ぜひエクステンドまでご相談ください。まずは下記バナーの「無料相談」をご利用ください。