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事業承継税制とは?特例措置の内容・要件・メリット・デメリットと注意点をわかりやすく解説

事業承継で後継者に自社株を引き継ぐ際、多額の贈与税・相続税が発生することがあります。この税負担を大幅に軽減・猶予できるのが「事業承継税制」です。

 

ただし、事業承継税制はメリットが大きい反面、要件が複雑でデメリット・リスクも存在します。申請すれば終わりではなく、適用後も継続的な要件維持と報告義務が課されます。制度の全体像を正確に理解したうえで活用することが重要です。

 

この記事では、事業承継税制の仕組み・要件・メリット・デメリット・申請期限を専門家の視点で解説します。

事業承継税制とはどのような制度ですか?

事業承継税制とは、後継者が贈与または相続によって非上場会社の株式等を取得した場合に、贈与税・相続税の納税を猶予(一定条件で免除)できる制度です。「経営承継円滑化法」に基づく都道府県知事の認定を受けることが適用の前提となります。

 

対象は主に法人版(非上場株式)と個人版(個人事業主の事業用資産)の2種類があり、中小企業の多くは法人版事業承継税制が対象となります。

一般措置と特例措置はどう違いますか?

事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」の2種類があります。2018年度の税制改正で設けられた特例措置は要件が大幅に緩和されており、現在は特例措置の活用が基本です。

 

比較項目 一般措置 特例措置
納税猶予割合 贈与税100%・相続税80% 贈与税・相続税ともに100%
対象株式数 総株式数の2/3まで 全株式
後継者の人数 1人 最大3人
雇用維持要件 5年間平均8割維持が必要 実質撤廃(未達でも理由説明で継続可)
特例承継計画の提出 不要 2027年9月30日までに提出必要
承継(贈与・相続)の期限 期限なし 2027年12月31日まで

事業承継税制の主な適用要件は何ですか?

特例措置の適用には、先代経営者・後継者・会社の3者それぞれに要件があります。主なものを整理します。

 

対象 主な要件
先代経営者 会社の代表者であったこと・贈与時点で代表を退いていること(相続の場合は死亡)・筆頭株主であったこと
後継者 贈与・相続後に会社の代表者となること・18歳以上であること・贈与の場合は3年以上役員在任・一定の株式保有要件を満たすこと
会社 中小企業者であること・非上場会社であること・資産管理会社でないこと・風俗営業会社でないこと

事業承継税制を活用するメリットは何ですか?

メリット1|多額の税負担を猶予・実質免除できる
自社株の評価額が高い会社では、贈与・相続時に数千万〜数億円規模の税負担が生じることがあります。特例措置を活用すれば贈与税・相続税の100%が猶予され、後継者が次の後継者に承継する際には猶予税額が免除されます。

 

メリット2|後継者の資金負担なく承継できる
納税猶予によって、後継者が多額の納税資金を準備しなくても済みます。承継直後の事業資金・設備投資・運転資金を確保しやすくなります。

 

メリット3|贈与型・相続型どちらにも対応できる
生前贈与による早期の株式移転にも、相続発生時の承継にも対応しているため、承継計画に合わせた柔軟な活用が可能です。

事業承継税制のデメリット・注意点は何ですか?

事業承継税制は強力な制度ですが、適用後に取り消しとなると、猶予税額+利子税を一括納付しなければならないという大きなリスクがあります。主なデメリットと注意点は以下の通りです。

 

デメリット・注意点 内容
①適用後も毎年の報告義務がある 都道府県庁・税務署への年次報告書・継続届出書の提出が必要。提出漏れや虚偽報告は取り消し事由になる。
②取消事由に該当すると多額の追徴が発生 後継者が代表を退いた・株式を譲渡したなどの事由が発生すると、猶予税額と利子税を一括で納付しなければならない。
③M&Aによる売却が制約される 適用後にM&Aで株式を売却すると取り消し事由になりやすい。将来のM&Aの可能性がある場合は活用を慎重に検討する必要がある。
④特例承継計画の提出期限がある 特例措置の利用には2026年3月31日までに都道府県へ特例承継計画を提出する必要がある(承継自体は2027年12月末まで)。
⑤手続きが複雑で専門家が必要 10種類以上の書類収集・都道府県への認定申請・税務署への申告など、専門知識のない個人での申請は難しい。事業承継税制に詳しい税理士が不可欠。
⑥後継者以外の相続人との不公平感 後継者だけが税制の恩恵を受けるため、他の相続人との間で不公平感が生じやすい。代替財産の準備など事前の対策が必要。

申請期限はいつですか?今すぐ取り組むべきことは何ですか?

特例措置を活用するうえで、最初に動くべき期限は2027年9月30日(特例承継計画の提出期限)です。この計画書を提出しないと特例措置の適用を受けられません。

 

計画書の作成には税理士・認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認が必要なため、提出期限の6か月前(2025年9月頃)には専門家との相談を始めていることが理想です。すでに期限が迫っている場合は、早急に事業承継税制に詳しい税理士・認定支援機関に相談してください。

 

なお、承継(贈与・相続)そのものの期限は2027年12月31日までですが、計画提出なしには適用できないため、まず計画提出を最優先で進めることが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 事業承継税制は必ず活用すべきですか?

必ずしも全員が活用すべき制度ではありません。将来的にM&Aを検討している・事業の継続性に不安がある・後継者が複数の事業承継を想定しているなどのケースでは、取り消しリスクが高くなるため慎重な判断が必要です。一方、株価が高く自社株の承継で多額の税負担が見込まれる・後継者への親族内承継が確定している場合は、活用メリットが非常に大きくなります。自社の状況に合わせて、税理士と入念に検討することをおすすめします。

 

Q. 特例承継計画を提出したら、すぐに贈与・承継しなければなりませんか?

いいえ。特例承継計画の提出と、実際の贈与・相続による承継(2027年12月31日期限)は別のスケジュールです。計画を提出したうえで、その後の承継タイミングは柔軟に設定できます。まず「計画提出だけ先に行う」という進め方も有効ですので、期限が迫っている場合は計画書の準備を優先してください。

 

Q. 事業承継税制を使った後、業績が悪化して赤字になった場合はどうなりますか?

特例措置では雇用維持要件が実質撤廃されているため、業績悪化・赤字・従業員減少があっても、その理由を都道府県に報告することで猶予が継続できます。ただし、報告義務の懈怠や虚偽報告は取り消し事由になるため、状況が変化した場合でも税理士と連携しながら適切な報告を続けることが重要です。

 

Q. 自社株の評価額が低い場合、事業承継税制を使う意味はありますか?

株価が低い(=税負担が小さい)場合は、事業承継税制のメリットが相対的に小さくなります。適用後の報告義務・取り消しリスク・専門家費用などのコストと、猶予できる税額を比較して判断することが重要です。株価が低い場合は、贈与税の基礎控除(年110万円)を活用した暦年贈与のほうがシンプルで使いやすいケースがあります。

 

Q. 事業承継税制の相談はどこにすればよいですか?

事業承継税制に詳しい税理士、または「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」に相談することをおすすめします。特例承継計画の作成には認定支援機関の確認が必須要件のため、認定支援機関に該当する税理士・中小企業診断士・コンサルタントへの相談が効率的です。なお、各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターでも初期相談と専門家紹介を無料で受け付けています。

 

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