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事業性融資の推進等に関する法律案が国会での審議に

「事業性融資の推進等に関する法律案」が閣議決定され国会での審議に入ることになっています。この概要は事業性融資の推進を国の責務として、

 

・企業価値担保権を創設し、新たな担保制度を活用することで経営者の個人保証を制限(解除)していくこと

 

・この支援のため、経営革新等支援機関の上位にあたる新たな専門家の認定制度を導入すること

 

等を柱としています。ここでの企業価値担保権は、これまで「事業成長担保権」と呼称してきたものですが、

 

・企業の貸借対照表上の全ての資産(無形資産を含む)や将来のキャッシュフロー(入金、つまりは売上そのもの)の全てを一括して担保とする

 

・経営者保証については粉飾等の特殊な要因の除き解除が原則

 

・この新たな担保を活用し、企業の財務(貸借対照表や過去の損益)のみならず、事業性(将来的な売上・利益・キャッシュフロー)を評価した新たな融資の形を行う

 

ものであり、呼び名は変わったものの内容については変わっていない、と言ってよいでしょう。

 

金融庁から当法律案についての概要が発表されている一方で経済産業省からは「再生支援の総合的対策」が発表されており、今年は中小企業向けの金融行政にとって大きな節目の年になることは間違いないようです。

備えは今から

ここ1~2年程、この件についてはずっと触れてきたのですがようやく本当に動き出したことで、大言壮語を吐いていたわけではないことにホッとしているのも確かですがあまり安心ばかりしているわけにもいきません。

 

企業価値担保権等については、2~3年後の実施を目指して検討が続いていくわけですが、これまで融資が難しいとされてきた、利益改善に目処がついたが過去の赤字による貸借対照表の毀損が激しい企業に対しても思い切った融資が可能になるとはいえ、「営業利益・(営業)キャッシュフローがプラスであること」が基本、誰でも借りられるというものではない、ということは改めて留意が必要です。

 

今赤字だからお金が足りない、ではなくて利益率を改善した上で売上が増加し、合わせて仕入が増えるため、新たな運転資金が必要になるから、というものへの融資なのです。事業構成や内容の見直し、新事業への取組みを行い、その成果がある程度必要になることから今日申し込んで明日借りられる、という形態の融資ではありません。

 

また、財務的には

 

  • 全資産やキャッシュフローの担保提供をしてよいのか
  • 粉飾に対しては非常に厳しいため、放置は厳禁

 

といった判断や対処が求められます。やはり、問題への対応には時間を要するものでしょう。

 

これからの成長企業に対しても再生企業の出口戦略としても利用可能な一方で企業側にとって経営者保証の解除を見込める魅力的な制度ですが、準備を要するものであることは念頭において今から、将来どんな融資が必要なのか、そのために企業価値担保権の提供は経営者判断として可なのか、検討をはじめていただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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