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M&A売却成功の秘訣|企業の強み分析や企業価値の見極めから契約締結まで

M&A売却準備の重要性

事業・企業を第三者へ承継(譲渡)するお客様とのインタビュー(面談)の中で色々なことをご説明、ご質問させていただきます。

 

M&A売却を成功させるためには、適切な準備が不可欠です。特に重要なのが、自社の特徴や強みを正確に把握し、それを買い手に効果的に伝えること、そして契約実務において適切な手続きを踏むことです。

企業の特徴と強みの見極め方

今回は、その質問事項の中で、我々M&Aアドバイザーが冷静な眼で行う重要な質問についてお話いたします。それは、「御社(売り手様)の譲渡対象の事業・企業の特徴、強みを教えて下さい」です。

 

売り手様からは、様々なご回答があります。

 

勿論、インタビューアーである我々アドバイザーは、社長の回答に、真摯に傾聴させていただきます。しかし、一方で、誤解を恐れずに申し上げますと、疑いの眼をもってお聞きしています。「今、社長が仰っている強み・特徴は、全くの第三者、特に将来の買い手候補から見ても同様に強み・特徴だろうか?」

アドバイザーの視点から見る強み分析

例えば、

 

「我社(売り手様)の社員は真面目で、一生懸命働きます」という回答は、本当に、他社と比べても明らかにそうなのか?

 

「●●●の特許を持っている」という回答は、その特許はちゃんとマネタイズできているのだろうか?

 

「我社は、同業他社に比べて販売価格が安い」という回答は、その安さを支える他社を凌駕するコスト構造に裏打ちされているのか?

 

「我社の技術は、優れている」という回答には、日本全体、世界全体と比較しても優れているだろうか?

 

などです。何か少し、意地悪な味方ですね。でも、これだけではありません!もっと重要なこともちゃんと考えています!

隠れた強みの発見方法

それは、今、インタビューに答えている社長でも気づいていない特徴・強みはないだろうか?

 

将来の買い手候補の視点から、特徴・強みは何だろうか?

 

です。様々な経営リソースの中で、

 

  • 獲得するのみ苦労しなかったもの
  • 獲得したのがなかり以前であるもの
  • 獲得したリソースなのに今活用していないもの
  • 売り手様にとってあまりにも当たり前な経営リソース

 

これらは要注意です。これらは売り手社長の口からは出てこない(或いは場合によっては、弱みとして認識してることさえある)ので、我々は思考、構想力を巡らし、頭をグルグル回転させながら、”隠れた特徴・強みを見つけよう、見つけよう”考えています。そして、実際に、ここから、特徴・強みを発見することが多いのです。

 

勿論、発見した特徴・強みが全ての買い手候補にとって特徴・強みであることもありません。Aという特徴・強みが、Xという買い手候補には確かに魅力的なのですが、Yという買い手候補には全く響かないことも往々にしてあります。ここは我々アドバイザーが買い手候補に応じて、コントロールしながら進めていきます。ここまでは、特徴・強みについてのお話でした。

M&A契約プロセスの流れ

企業の強みや特徴を整理した後は、いよいよM&A契約の実務プロセスに入ります。ここからは、M&Aの契約における最後の砦とも言える「表明保証」を中心に、契約締結までの流れについてお話いたします。

 

M&Aでは、通常、売り手様と買い手様の間にM&Aアドバイザーが介在することになります。そのアドバイザーを通じて、質問や資料のやり取り、交渉が行われます。

 

例えば、売り手側が提出した資料について、買い手側から質問が投げかけられ、売り手側が回答する。また、買い手側から追加の資料提出の要望に応じて、売り手側が資料を提出する。その追加された資料について更に質問が来る。。。。

 

途中、売り手側と買い手側の面談や現地見学などを挟みつつ、このようなことを繰り返すことによって交渉が行われ最終的な条件が詰められていきます。

 

経済的条件(譲渡価額)を中心に、取引先の取り扱い、従業員の取り扱い、連帯保証の取り扱いなど重要な大枠の条件が合意された場合、基本合意契約(最終譲渡契約の前の仮契約的なもの)を締結します。

デューデリジェンスの重要性

この基本合意が締結された後、弁護士、会計士などの買い手側から依頼された専門家による最後の調査が行われます。これをデュー・デリジェンス(DD)とか買収監査といいます。専門家によるDDの結果、偶発的な債務など大きな問題が発見された場合、最終譲渡契約に進まず、終了というケースもあります。

 

デュー・デリジェンス(DD)で大きな問題が発見されなかった場合は、めでたく最終譲渡契約が締結されます。長い前段でしたが、本日のメインはここからなのです。

表明保証:契約の最後の砦

M&Aでは、どんなに精緻で詳細なDDを実施しても、売り手側と買い手側の情報の非対称は絶対になくなりません。

 

つまり、売り手側が知っている情報と同じ情報を買い手側が同じように理解することは絶対に不可能ということです。これは、買い手側の方がリスクが大きいという意味でもあります。

 

したがって、M&Aにおける最終譲渡契約書では、表明保証という条項がたっぷり設けられています。これは、謂わば、情報を強者の売り手側が、情報弱者の買い手側に、私の知る限り、対象会社には、○○のようなことはない(だから安心してください。もし○○があったらその損失は保証します。)という誓約をすることです。

表明保証の具体例

例えば、

 

  • このM&Aは第三者からクレームがない(第三者の権利を侵さない)
  • 株式は正当な理由で正当な株主(売り手)が所有している
  • 対象会社の資産は正当な権利で取得されている
  • 重要な資産に大きな瑕疵はない
  • 対象会社においては、現在係争がない。将来もその予定はない
  • 労働争議・労働問題は起きていない。残業などの未払いない
  • 決算書は正しい会計規定で作成されている
  • これまで虚偽の報告はしていない

 

などなど、ここまで売り手側と買い手側が培ってきた信頼関係を最後に担保・補完するのが、この表明保証です。信頼関係があるから、表明保証が不要なのではなく、信頼関係があるからこそ、必要なのが表明保証です。

契約書の規模と重要性

ちなみに、インターネットで「株式譲渡契約 雛形」で検索すると様々な雛形が出てくることがあります。しかし、このような簡便な契約書は親族内、取引先など親密な関係の形式的な雛形です。表明保証という文字はどこにもありません。

 

我々が扱うM&Aの株式譲渡契約は、小規模、スモールなM&Aであっても、表明保証だけで、20項目~30項目あり、全体では、A4で20ページから30ページの最終譲渡契約書になります。

 

表明保証なくして、M&Aなし

NO 表明保証、NO M&A です。

 

表明保証のないM&Aは買い手側として買ってはいけないし、売るのであれば、売り手側は買い手側に求められなくても、当然のように表明保証をしないとならないのです。(表明保証する内容はケースバイケースです。表明保証する項目も、売り手側と買い手側が交渉して決定します。)

まとめ:成功するM&A売却の秘訣

M&A売却を成功させるためには、以下の点が重要です。

1. 自社の真の強みを把握する

表面的な強みだけでなく、隠れた価値や買い手の視点から見た魅力を発見することが重要です。

 

2. 適切な契約実務を行う

表明保証を含む適切な契約書の作成により、売り手・買い手双方のリスクを軽減し、信頼関係を構築できます。

 

3. 専門アドバイザーとの連携

経験豊富なM&Aアドバイザーと連携することで、自社では気づかない価値の発見や適切な契約手続きが可能になります。

 

M&A売却は一生に一度の重要な決断です。適切な準備と専門的なサポートにより、最適な条件での売却を実現しましょう。

 

エクステンドでは、経営者様からの無料相談を受け付けています。M&A・事業承継・企業売却をご検討中の方、自社の強み分析から契約実務まで包括的なサポートをお求めの方はお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。M&A・事業承継の専門コンサルタントが親身になって対応致します。

この記事の著者

  • 松原 良太

    ・青山学院大学経済学部 卒業
    ・オーストラリアボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA)修了。
    ・財団法人日本M&Aアドバイザー協会 代表理事
    ・株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
    ・AMD capital management 株式会社 代表取締役
    ・株式会社ビザイン・ファミリー・アドバイザーズ 取締役
    ・近著(共著):この1冊でわかる-M-A実務のプロセスとポイント

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