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経営者保証の無保証化の3つの要件

来年経営者保証に制限が入る、その内容は

今月既に報道されていますが、金融庁は2023年4月からの適用を目指し、金融機関が融資時に経営者保証を求める場合に説明責任を課しその内容や件数は金融庁へ報告することを検討しています。

 

手続きの違反や融資先企業とのトラブル、自主的な改善が期待できない金融機関に対しては行政処分となるという、「表面上は」なかなか厳しい内容のように見えます。

 

この規定、実際のところ経営者の負担は減るものでしょうか?

銀行の立場と状況を考える

現状では、新規融資に対する無保証の比率は約3割とされています。まだまだ少ない、という判断ではあるのでしょうけれど銀行側の本音は

 

  • 融資を増やせ、と言われるのに保証をもらえないのは貸し渋りに繋がらないか
  • 経営者個人と会社の資産が分離されていない企業が多い中経営者保証を軽くするのは銀行にとって厳しすぎる
  • 保証をもらうのに際して説明をする、ということだけなら特に変わるものはない

 

といったあたりです。

現状ではまだ大きな変化ではないが、前振りとして超重要

保証が要る・要らないの説明をする、ということが何かといえば、経営者保証ガイドラインに定められている経営者保証の無保証化の要件

 

  1. 法人・経営者の関係が区分・分離されている
  2. 財務基盤が強固
  3. 適時適切な情報開示をしている

 

に照らして、融資先企業経営者に対して要件を満たす・満たしていないを明らかにすることではないかと予想されます。

 

実際のところ、銀行は経営者保証ガイドラインを元にした無保証化を認める企業の条件を内部でもっており2013年の経営者保証ガイドライン導入以降、融資先企業に対しては常にチェックをしていますから「できる先には大体もうやっている」との認識でしょう。

 

となれば、今回の新たな規定は保証が何故必要化説明し、内容と結果を報告するという点で銀行員の仕事がまた増えるだけ企業経営者にとっては無保証化できる要件自体が緩和されるわけではないから大きく変わるものではない、とあまり効果のないようなものに感じられます。

「事業成長担保権」導入へのステップ

しかし、だからといって見過ごしていいものでもありません。何度か本メルマガでも紹介させていただいている事業成長担保権、これは企業の全資産と将来のキャッシュフローの全てを担保とするものですが、その代替として経営者保証を原則とらないもの、とされています。

 

事業成長担保権においては、元々経営者保証を必要としないのですから、結果的に新規融資はおろか、既存の融資ですら保証を外せる余地が大きいのです。

 

数年先の事業成長担保権の導入を前提としてその前振りとして経営者保証に制限を入れる、と考えれば今回の規定も納得のいくものになります。

 

どうあれ、無保証化は、経営者の生活保護という観点で極めて重要ですが無保証化を目指すならば事業成長担保権の導入を検討すること法人・個人(経営者)の関係をしっかりと分離すること実質での自己資本比率を最低でもプラスにすること適切な財務情報を適時開示できることが企業側に求められることは間違いありません。

 

本メルマガのテーマ「6年後を目指して中小企業向け金融政策の常識が変わる」に沿った移行措置、と言える内容です。今後とも、いち早く新情報をお伝えしてまいります。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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