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中小企業等経営強化法案って何? その10

前回、中小企業等経営強化法による中小企業評価においてこれまでの貸借対照表の実態(時価)査定のみならず損益計算書の実態査定が重要視されるようになることに触れました。

 

営業利益が重視される実態損益においては、あらゆるコストが売上原価なのか販売管理なのか営業外なのか特別なのかの見直し査定が入り、例え最終利益が同じであったとしてもコストの振分けが変わることで営業利益については金額が変動することがあり得ます。

 

例えば、売上原価に計上していたコスト500万円を特別損失に振り返ることで、税引前利益・最終利益は同じでも売上総利益・営業利益・経常利益は500万円増加する、という具合です。実務上よくある、着目していただきたい点を挙げていきます。

過年度発生の含み損の計上

相場の誤判断や見込み仕入などで、過去に仕入れた在庫が死蔵化し、その損切りを行った場合などです。これまで、多くの企業はその存在を表に出すのを嫌がることが多く、売上原価の中で処理をすることが多かったのですが経営改善を行う処理の一環であるとともに、現在の損益としては向上していることを明快に示す、という意味では、一過性のものであれば今後は特別損失に振り返る等の処理を行うべきです。

役員退職金

役員報酬や退職金についても、金額の明示を怖がる経営者が多いのですが、特に退職金については特別損失での計上を考慮したほうが営業利益の改善に繋がります。

 

訴訟費用などの特殊な費用

 

訴訟については、銀行が訴訟の存在自体を評価減にするため、扱いは慎重に行うべきですが、自身に道義上の問題がないのであれば訴訟の存在と経緯・内容を胸を張って説明することで問題としないようにすることは可能です。そうなれば、当然その費用を特別損失に計上可能となります。

 

概ね、何となく表に出すものが怖い、と経営者が思ってしまい売上原価や販売管理費の中に溶け込ませてしまうコストを特別損失に計上し、営業利益を「現在の」「本業の」利益として評価してもらう、という認識でOKです。過去のものは過去のもの。今はこれだけ改善しているんだから、と言ってしまう方が有利になる、という仕組みです。

どうしても会計上の計上ができない?

どうしても、会計上の処理はできない事情があるけれど、本来の営業利益は別であることを銀行に分かって欲しい場合は?

 

その場合は、決算書とは別に、「実質の(営業)利益」を説明する資料を自らつくり、銀行に損益の実質査定を依頼することになります。

 

貸借対照表の実質査定と異なり、損益計算書の実質査定の大半は、企業側からの説明がないと銀行は対応できません。といいますか、気づくことができません。

これは銀行側の責任はありません。企業経営者に説明責任があるものですから。だからこそ、経営者は自社の本当の力を把握して、銀行を説得していく必要があります。

理解はしたけど、自社で適用できるかな?と迷われたなら、お取引している税理士先生とともに弊社宛ご相談下さい。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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